異世界転生してハーレムルートなのにヤンデレしか選択肢がないんだが?

守村 肇

06 そろそろ事務局でようかなと思ってた





「あ、この世界のファーストコンタクトってエレーナさんッスか?」
「おう、北門とかいうのの外で声かけてもらったんだ」




「じゃあエレーナさんはルートに入って来ないッス」


「あら、そうなの?」


「代わりにパーティのメンバーにはなるっぽいッスね、先生役なんじゃないッスか」




 速報です。俺のイチオシであるエレーナが早急にルートから外れました。


 残念さは否めないけど、ここでエレーナがヤンデレたら俺は死ぬだろう。
 だろうっていうか死ぬ。異世界で1人逞しく生きていけるほど俺のメンタルは鋼じゃない。




「まあウタキって私の好みとはちょっと違うし仕方ないわね」


「なんでそうやって俺の心をえぐりにかかってくるわけ!?」




 かいしんのいちげき! こうかはばつぐんだ!
 ここで思わせぶりなこと言われても困るけど今のいう必要あった!? 俺のライフはもうゼロよ!




「あははっ、まあいいじゃないッスか!エレーナさん超しっかりしてるからきっと頼もしいッスよ」


「お前な、笑ってるけど俺は瀕死だよ?」


「この国のベン・ケイっていう偉人も立ったまま死んだって逸話があるから瀕死くらい余裕ッスよ」


「これ本当にドッキリとかじゃねえんだよな?おい」




 なんだベン・ケイって。雑すぎるぞ世界観。




「まあ登録も終わったし陛下に謁見しに行きましょう」


「え、王様に会えるの?」




 こんな得体のしれない奴と謁見して大丈夫なのだろうか。セキュリティがばがばすぎて逆に心配になる。
 王様ってもっとこう、雲の上というか、自分たちと違う生き物みたいな認識じゃないのか?




「この国の王族はわりとフランクに会える立場の人たちッス」


「ウタキは固定役職持ちだからあっておいた方がいいと思うのよ」


「王妃様がルート入って修羅場とかやなんだけど、俺」


「…それはそのときッス」


「わあ、目を逸らさないで欲しいなあ俺」




 リトは露骨に目をそらした。
 っていうかパキラのやつ鼻で笑ったんだけどなんなのこいつ????




「王妃じゃなくて王女に気をつけたほうがええぞ」


「え、しゃべったんだけど」


「魔獣じゃからの、問題はそこじゃなくて王女な」


「パキラはヴァニキソスって生き物なので賢いんッスよ~」


「もうこれ以上俺に異世界ドッキリつっこんでこないでくれる?」




 とにもかくにも、俺の特殊なルートについては王様にも伝えておかないとまずいだろうっていうのなんとなくわかる。
 だって下手したらヤンデレで傾国するじゃん。俺、そうなったら謀反とか死罪とかじゃ済まないよね絶対。




 「俺は基本毎日ここにいるッスから、用がなくても声かけてほしいッス!」


 「リト、お前いいやつだな」


 「お、俺はウタキさんがわりとタイプっていうか」


 「ここにきてそういうのやめよっか?」




 友人になりたいタイプってことッスよ! もう! と起こられたし、またパキラに鼻で笑われた。

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