別にこれはいつも通りで

松葉 楓

1年生 秋 第1話

なんか、暇だ。
まあ、授業中ではあるけども。

そんなことを考えて窓の外をふと見た。
別のクラスが外で体育の授業をしている。

この時期は1、2年生は体育館でバスケの授業をしてる。
けど、何故か準備運動と言って外で準備体操とグラウンドを2周走らせられるのだ。

みんな、頑張ってるなあ。
5時間目は私達のクラスだけど、まあこの暇な授業よりは幾分かましだなとか外を眺めながら色々考える。
秋めいてはきたけれどまだまだ夏の暑さが残っている。日差しが今日は特に強い。窓際の席だからなおのこと暑く感じる。

私は何気なく、ある人物を探して追いかける。
まあ、授業以外は一緒にいるし別にわざわざ授業中まで見なくても良いよなとは思っているけど。

あ、見つけた。
真顔で特に何も考えず走っているようだ。
いや、ある意味で言えば考え事してる…?
ような…?
まあ、とにかく真顔だった。

一緒にいる時は笑顔でいることが多い気がするからあれはあれで新鮮かもしれない。
…かな。

「ちょっと」

「えっ」

「えっ、じゃないここ読んでって」

「ああ」

と隣から声をかけられる。
慌てて、でも静かに立ち上がる。
まずい、また先生の目が怖くなったなこれは
あ…

「何ページそれ」

「43ページ…!5行目…!」

「どうもどうも」

小声で聞くと、小声で教えてくれた。


「えっと…それのめぐりを七人の天女は…あ、あし…し…?…」

あれ、なんて読むんだ。
…あ、下に書いてあった。

「あ、すみません。…えー# 趾頭舞踊__ しとうぶよう__#しつづけているが汚辱に浸る月の心に……」

悔しいことにその後も2、3回読めずにつっかえた。
ふりがなぐらい書いてあってもいいじゃないとか思ったけど、ちょっとは真面目に授業聞いとけば良かったかなとも思った。
せめて先に読み方ぐらいは調べときゃ良かったかな。

軽く息を吐いて椅子に座ると、外では準備運動が終わった人達が少しずつ体育館へと移動していた。

そうだ。一応、さっきのところ丸で囲っとこう。
読めなかった2、3箇所を丸で囲むと、あと約1時間後には昼だと言うのに大きなあくびが出た。
あくびを誤魔化そうと手で押さえて横を見た。

「ふっ、あーあ…あ…」
あ、目が合った。

こちらを見上げて少し驚いた顔をした後、笑顔で手を振ってくれた。
私も小さく応える。

そして、体育館の方に友達と走っていった。



私は視線を机に戻し、丸で囲んだところにふりがなを書き始めた。

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