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開拓惑星の孤独

舞夢宜人

第40話 開拓惑星の水平線の向こう側

 目指す開拓地No.47-89-0001だった開拓地がある南第一大陸は、北第一大陸とだいぶ離れているので、上海市を出航したから南第一大陸の北側の海岸が見えるまでに4日、開拓地区No.47-89-0001だった開拓地まで5日かかる。予定では、途中3日目の朝にに赤道を通過することになる。時計と天測による測位では、北半球系の天測から南半球系の天測に切り替えることもあって、測位担当の負担は重い。GPSなんてものは何十年も前に機能を失っているので、天測に頼るしかないのである。晴天が続いているのが幸いだ。


 そんな船員たちを横目に、乗客である私たち夫婦と長崎夫妻とで赤道祭と称して懇親会を開いた。今日は、船員たちにもいつもより豪華な食事が供されるはずである。


「開拓地区No.44~47の南第一大陸は、最初の20年で開拓地の半数以上が水害と旱魃で音信不通になっています。当時残っていた場所は大きな河川の流域になっていたりしてそれなりに条件が良かった場所なので、生き残っていてくれればいいのですが……」
「河川の近くは、水害の危険がありますからね。」
「季節が南半球で北半球の逆になりますので、食料品生産の補完という意味ではうま味のある場所だ。鉱物資源が安価に掘削できるのであれば、投資して、輸入もしたい。」
「農作物については、原産地に近い気候で、大量生産したほうが安価に大量生産できるというのもある。」
「とりあえず、生き残っていて、交流可能であれば、交渉次第といったところだろう。」「鉱物資源の入手先は多ければ多いほうがいい。」


 南第一大陸については、1ヶ月ほどかけて4つの重点開発地域を巡り、交渉した。いずれも3万人程度の自給自足型の農村であった。平地が多いのはよいが水が不足気味で、広大な牧草地になっていることが多い。水源開発をすれば、他の農作物を大規模に栽培できる可能性がある。鉱物資源が豊かであることが確認できた。亜鉛鉱とニッケル、鉄鉱石、リチウム鉱、金など、豊富な鉱物資源があることは確認できたが、それを掘削して利用するだけの設備と資源が欠けているので、採掘機材と、輸送手段が必要ということだった。地域によって特定の資源に偏っているために資源はあるのに採掘機材が不十分で発展が遅れた面があるので、輸送路の確保と、物によってはインゴットまでの精製設備を建設すれば十分な可能性がある。少なくとも金や銀などを除けば大和連合のものより含有量的な効率や採掘コストが10倍以上違う鉱物が多いので、採掘機材と輸送手段の提供をして開発を加速することになろう。母船からの支援があった時代にこれだけの鉱物資源があることが確認できていたら、違った歴史になったかもしれない。


 補給のために上海市に戻る船の甲板で六花が話しかける。
「あるところには、あるのねえ。気候が厳しいのが難だけれど。用意するものが用意できれば、将来性がある。鉱物資源なんか、含有量が少ない鉱石から頑張って精製しているのが、馬鹿みたい。」
「駿河市は、多少コストはかかっても、バランスよく資源があったから先行して成長できた。地域で孤立しているときはそれでも良かったが、より発展したければ、外部からの資源を輸入することが必須だ。南第一大陸は不運が多かっただけだ。大和連合は、鉱物資源に頼らない3次産業以上で経済を回していけるようにならないと、将来的には世界に埋もれてしまうだろう。食料自給率を落とさないように注意する必要がある。」
「そうかといって、このまま鉱物資源の流通が少ないと、共倒れになる可能性も高いね。」
「弊害も多いけれど、物流を強化していく必要だけはある。」
「観光にしても、現状だと珍しい風景が見られるというだけだから、より珍しい風景ということでは、南第一大陸の方が、規模にしても、見栄えにしても良いものが多かったから、南第一大陸はその点でもリードする可能性があるわねえ。」
「愚痴を言っても始まらないよ。」


 その後、半年ほどかけて北第一大陸の南側にある開拓地区No.36~43を巡ったが、いずれも3万人程度の自給自足型の農村であった。しいて言えば、綿花や米、スパイス類の栽培に適しているというのと、ルビーやサファイアといった酸化アルミニウム系の宝石が産出しやすいというだけである。宝石類については人工的に作成できるので、価値はあまりない。もう少し人口が増えてくれれば、工業製品の売り先にはちょうどいいだろう。食料自給ができていることもあって、政治が安定しているのが利点だが、それ以外に特記すべき事項がない地域でもある。大陸中央の山岳部に観光で登山するというのでなければ、観光で訪れる人も少なかろう。


 開拓惑星では、やはり、各街のスタートが同一であることもあって、似たような状況の街が多いというのも事実だ。地域の独自性が出てくるのには、もう少し時間がかかるのかもしれない。現地を見てそれを確認したこと自体が、ある意味で贅沢なのかもしれない。





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