開拓惑星の孤独

舞夢宜人

第23話 開拓惑星の独り立ち

 開拓地に入植してから20年。とうとう最後の降下船が母船を旅立った。母船で最後まで保守作業をしていたスタッフが生命維持の限界で脱出したのである。既に5年前から資材の提供や人員の積極的な提供は行われていない。これも一つの時代の終わりなのだろう。
 私たちの開拓地は、3か所の合計で1200名を超える大所帯となった。妻達は約100名にもなる孫たちを筆頭とする孫世代の子供たちのの保育に汗を流している。4分の1以上が20歳未満の子供や孫の世代ということもあり、活気にあふれている。妻達は、妊娠している娘や嫁たちを見ると、羨ましそうに最後にもう一人欲しいというが、睦月に「私も欲しいけれど、孫で我慢しておけ。」と釘を刺されていた。おそらく、どんなに忙しくとも、妊娠期間中は私が家族サービスに精を出していたので、もっとかまってくれと待遇改善を要求したいのだろう。反省しておく。


 ITに依存した機器の寿命で、19世紀並みの生活様式になってしまったが、食料も、物資もそれなりに豊かである。かつてのように支給品の作業服を着ている者は、もはやいない。皆、この地で作られた服を着て、この地で作られた食べ物を食べている。


 周辺探索チームは、結局のところ、周辺の詳細地図の作成が捗っただけで、期待された未知の生物は発見できなかった。不思議なことに、母船のデータベースにある種か、その種が変異したと思われる種しかいなかったのである。テラフォーミングで放流しなかった種の近縁種がいたぐらいである。もともと、母星の生物と近い構成だったのかもしれない。一時期、地下100mでコンクリートの塊を発見したというニュースがあったが、しばらくしたら、ただの凝灰岩だったと否定する発表があった。この星には未知な点が多い。


 私は、息子である次郎と三郎と士郎に補佐をつけて、行政の長としての仕事を徐々に移行している。あと何年かしたら、3つの開拓地をそれぞれ任せて、私は顧問に退いて、妻達と一緒に教育関係の仕事をするつもりだ。


 夕食後、散歩に出かけようとしたら、一花が一緒に食べましょうと、柿を持ってきた。今年もそんな時期になったのかと思いつつ、子供たちに幸あれと願う。





「開拓惑星の孤独」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「SF」の人気作品

コメント

コメントを書く