もしも理想のパーティー構成に実力以外が考慮されなかったら?

雪月 桜

今後の方針

「それで、これからどうしますです?」

「どうするったってなぁ。……どうしたもんかねぇ」

「はい……。良いアイデアが全然、浮かんできませんです」

アインが謎の体調不良に見舞われた翌朝。

俺とミルクは食堂にて、何の生産性もない遣り取りを交わしていた。

まぁ、片手間で朝食を作りながら会話しているので、ある意味、生産性はあると言えなくもない。

って、そんな事はどうでも良いんだよ。

今、重要なのは、アインの体調をどうやって治すかという話だ。

お婆さん先生によると、今すぐ命に関わるような重い症状ではないらしいが、対症療法では限界があるため、できるだけ早く根本的な治療法を見つける必要があるとのことだった。

しかし、当の本人は『放っておけば治る』の一点張りで、協力の姿勢を全く見せてくれないのだ。

誰だって話したくない過去の一つや二つはあるものだけど、今は自分の命に関わる状況なんだぞ?

そうまでして話したくない事情って何なんだよ。

それに、フィーアもフィーアで絶対に口を割ろうとしなかった。

それを話すと、お姉ちゃんに迷惑が掛かるから、と。

このままだと迷惑どころか、大好きな姉が居なくなるかもしれないのに。

しかも、あの子は、それをキチンと理解した上で黙っているような気がするんだよな。

どうやら、あの二人は、ただの仲良し姉妹というだけでは片付けられない複雑な関係らしいな。

ちなみに、そのアインとフィーアは、現在、別々の部屋で寝泊まりしている。

今のアインには、出来るだけ刺激を与えない方が良いという判断だ。

これは、お婆さん先生とプリム、二人の共通見解で、俺達も素直に賛同した。

幸い、この家には使われていない空き部屋が、いくつもあるので、そこをフィーアに開放したのだ。

といっても、その手の部屋は全て物置のようになっているから、使用可能にするのは骨が折れたけど。

そして、アインに関しては、もちこを見張りに付けている。

下手に人間が関わるよりは影響が少ないと思ってな。

これでアインに何かあっても、すぐに知らせてくれるだろう。

「取り敢えず、今のアインに負担は掛けられない。体調の変化を慎重に観察するだけに留めよう。そんで、解決の糸口は、フィーアから引っ張り出す」

それに、アインの覚悟は、自分の命が賭かっているのに口を割らないレベルなのだ。

それが一朝一夕で心変わりするとは思えない。

なら、まだフィーアの方が可能性はあるだろう。

話の持って行き方次第で……な。

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