もしも理想のパーティー構成に実力以外が考慮されなかったら?
サプライズゲスト
「お〜い、アイン〜。珍しい素材を買って来たから出ておいで〜」
屋敷に帰ってきた俺と、客人のフィーアは、すぐさまアインの自室に向かった。
そして、部屋の前でドアをノックして、中へと呼び掛ける。
「そら、おおきに。ありがたく頂戴するから、その辺に置いといて」
すると、意外とすぐに反応が返ってきた。
しかし、アインの返事は、ひどく素っ気ない口調だ。
……いや、素っ気ないというよりも、むしろ、何かを押し殺しているような?
まぁ、多分、気のせいだと思うけど。
「……子供じゃないんですから、そんな見え透いたエサで釣られる訳ないですます。というか、その子は、いったい誰ですます?」
そんな事を考えていた俺は、どこからか、やって来たミルクに、呆れ顔で駄目出しされてしまった。
その隣には、もちこの姿もある。
「ただいま、ミルク。この子はアインの妹のフィーアだ。お姉ちゃんに会うために故郷から一人で訪ねて来たらしい。それと、アインの塩対応は想定の範囲だから問題なし! ……というか、マジで、想像したセリフと一字一句、違わないんだけど。なんなんだ、この無駄なシンクロ率は」
「お兄ちゃん。そんなことより、早く、お姉ちゃんに会いたいの」
いつものごとく脱線しかけた俺の思考を、フィーアの声が引き戻す。
その声は、かなりボリュームを抑えたものだったが、同時に服の裾をクイクイッと引っ張ってくれたので問題なく気付けた。
ちなみに、フィーアが声を潜めているのは、俺の指示によるものだ。
せっかくだから、この子にはサプライズゲストとしてアインの前に登場して貰おうという狙いである。
その目論見は今の所、上手くいっているようで、彼女の存在は、まだアインにバレていないっぽい。
「おおっと、そうだったな。そんじゃまぁ、予想通り、出てくる気が無いみたいだし、突入するか!」
「なのっ!」
――しかし、とうとう我慢が効かなくなったようで、思い切り大声で叫んでしまうフィーア。
「……あれ、この声って」
そして、案の定、扉の向こうで、アインが声の主に勘付き始める。
「ええい! こうなったら勢いで押し切るぞ! 突撃ぃぃぃ!」
「おぉぉぉ!」
「ちょ、ハルさん!? 女の子の部屋に断りもなく……って、アインさん、どうしましたです!? まだ、お腹が痛いですか!?」
何故かアインは寝間着姿のままで、まさに今、ベッドから起き上がったという様子だ。
顔色も、あまり良くないようで、ミルクが心配するのも無理はない。
「まったく、人が寝込んでるときに騒がしい人達やね。それと、久しぶり、フィーア」
それでも、アインは、不調を感じさせない穏やかな笑みを浮かべていた。
屋敷に帰ってきた俺と、客人のフィーアは、すぐさまアインの自室に向かった。
そして、部屋の前でドアをノックして、中へと呼び掛ける。
「そら、おおきに。ありがたく頂戴するから、その辺に置いといて」
すると、意外とすぐに反応が返ってきた。
しかし、アインの返事は、ひどく素っ気ない口調だ。
……いや、素っ気ないというよりも、むしろ、何かを押し殺しているような?
まぁ、多分、気のせいだと思うけど。
「……子供じゃないんですから、そんな見え透いたエサで釣られる訳ないですます。というか、その子は、いったい誰ですます?」
そんな事を考えていた俺は、どこからか、やって来たミルクに、呆れ顔で駄目出しされてしまった。
その隣には、もちこの姿もある。
「ただいま、ミルク。この子はアインの妹のフィーアだ。お姉ちゃんに会うために故郷から一人で訪ねて来たらしい。それと、アインの塩対応は想定の範囲だから問題なし! ……というか、マジで、想像したセリフと一字一句、違わないんだけど。なんなんだ、この無駄なシンクロ率は」
「お兄ちゃん。そんなことより、早く、お姉ちゃんに会いたいの」
いつものごとく脱線しかけた俺の思考を、フィーアの声が引き戻す。
その声は、かなりボリュームを抑えたものだったが、同時に服の裾をクイクイッと引っ張ってくれたので問題なく気付けた。
ちなみに、フィーアが声を潜めているのは、俺の指示によるものだ。
せっかくだから、この子にはサプライズゲストとしてアインの前に登場して貰おうという狙いである。
その目論見は今の所、上手くいっているようで、彼女の存在は、まだアインにバレていないっぽい。
「おおっと、そうだったな。そんじゃまぁ、予想通り、出てくる気が無いみたいだし、突入するか!」
「なのっ!」
――しかし、とうとう我慢が効かなくなったようで、思い切り大声で叫んでしまうフィーア。
「……あれ、この声って」
そして、案の定、扉の向こうで、アインが声の主に勘付き始める。
「ええい! こうなったら勢いで押し切るぞ! 突撃ぃぃぃ!」
「おぉぉぉ!」
「ちょ、ハルさん!? 女の子の部屋に断りもなく……って、アインさん、どうしましたです!? まだ、お腹が痛いですか!?」
何故かアインは寝間着姿のままで、まさに今、ベッドから起き上がったという様子だ。
顔色も、あまり良くないようで、ミルクが心配するのも無理はない。
「まったく、人が寝込んでるときに騒がしい人達やね。それと、久しぶり、フィーア」
それでも、アインは、不調を感じさせない穏やかな笑みを浮かべていた。
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