もしも理想のパーティー構成に実力以外が考慮されなかったら?

雪月 桜

雑貨喫茶

「……へぇー、雑貨喫茶なんていう意味不明な名前だから警戒してたけど、意外と良い雰囲気だな。壁際の棚に並んだ商品の配置も綺麗だし、不思議と統一感を感じる。コーヒーなのか紅茶なのか良く分からない香ばしい匂いも漂ってるし、居心地は悪くなさそうだ」


「にゃははっ。そう言われると、内装に拘った甲斐があるピョン!」


あれから、クラリスと話をした俺は、半ば強引に彼女の店に連行されていた。


なんでも、この店ならアインの気に入る素材が見つかるとか何とか。


どうやら、アインは、この店の常連らしく、定期的に掘り出し物の素材を買い求めに来ているのだと言う。


だから今回の相談役にも適任だと、しつこくアピールされた。


その結果、根負けして店に付いてきた訳だが、少しは期待できそうだ。


とはいえ……。


「案の定、いくつか変な商品が混じってるな……。というか、妙に見覚えのある物も置いてあるし」


腕に包帯を巻いた紫のウサギ。


黒い眼帯を付けた白い猫。


メイド服を着たクマ。


オッドアイのキツネ。


そんな個性的な、ぬいぐるみの数々は、以前、アインが爆弾として使っていた、ぬいぐるみに良く似たデザインだ。


「あっ、やっぱり気付いた? それはアイン先生の作品だよん。先生から見て特に出来が良かった物は、ウチで買い取ってるんだ。実際、そのシリーズは、一部の若い女の子たちの間で、ちょっとした人気になってるんだよね〜」


「……アイン先生? さっきはアインさんって言ってなかったか?」


「おっ、細かい所に気が付くね? 良いよ〜、そういうのはポイント高いよ〜?」


「何のポイントだよ……。それで、呼び方が変わってるのは立場の違いか? 作品を提供する時はアイン先生、商品を買う時はアインさんって感じ?」


「うんうん、正解! 流石、アインさんを仲間にするだけあって順応性が高いね!」


「それは俺が褒められてるのか、それともアインが貶されてるのか……。それにしても、こんな変な、ぬいぐるみが人気商品になるのか……。良く分からん感性だな」


「あー、お兄さん。そんなこと言ってると女の子にモテないぞ? 好きな女の子の好みと世の中の流行は、バッチリ押さえとかないとっ!」


「……あいにく、今は恋人なんて作る気になれなくてな。まぁ、作ろうと思えば作れるって訳でもないけど」


「ふーん? アインさんの機嫌を取りたいって話だったから、てっきり、そういう仲なのかと思ってたけど。まっ、いいや! 素材について具体的な話を始めよっか!」

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