もしも理想のパーティー構成に実力以外が考慮されなかったら?
アインの悲運
「あれっ? ハルさん、まだ回復してなかったのですます?」
「だらしないな~。お兄さん。まぁ、ウチも体力がある方じゃないけどね」
俺がキースについて考え事をしていると、ふいに、からかうようなセリフが聞こえてきた。
そちらに顔を向けると、ミルクとアインの二人がギルドの一階からBARに降りてくるのが見える。
実はパーティーの参加者が多いため、地下のフロアだけではスペースが足りず、受付フロアにも予備の机を出して会場にしているのだ。
どうやら、二人は今まで、一階で知り合いと談笑していたらしい。
ちなみに、今回は気軽な立食形式のパーティーだな。
ギルドでの祝い事は、これが定番なのだとか。
「しょうがないだろ? あんな大量のモンスターと戦って、ゴーレムにも止めを刺して、最後はドラゴンと鬼ごっこまでしたんだから。つーか、途中参加のアインに言われたくないぞ」
「あー、それもそやね。お兄さん、痛いとこ突いてくるなぁ」
困ったように頬をかきつつ苦笑するアインを見て、俺は、あることを思い出す。
「って、そうだよ! 結局、アインが遅れた理由ってなんだったんだ?」
あの時は詳しく聞いてる余裕が無かったし、もちこの証言で不穏な疑いは晴れたけど、真実は謎のままだ。
「あのぅ、ハルさん。その話なのですが、私がアインさんの潔白を保証するので、追及は止してあげて欲しいですます」
なるほど、どうやらミルクは気付いたみたいだな。
俺がアインを疑っていた事に。
「いや、潔白とかは、もう別に良いんだけどさ。もちこも大丈夫って言ってたし。……その様子だとミルクは詳しい話を聞いたのか?」
「はい。それで、その真相を男の子に話すのは、女の子の名誉的に忍びなく……」
申し訳なさそうに頭を下げるミルクから、視線をアインに移す。
普段は、どちらかというとサバサバした雰囲気の彼女だが、今は頬を染めて俯き気味で、非常にしおらしい。
そして、恐らく無意識の反応だと思うが、下腹部に手を当てていた。
……うん、なんか、これ以上は危なそうだな。
「よし、分かった。この件に関しては、もう無かったことにしよう。それで良いな?」
「う、うん。街が大変な時にタイミング悪くて、ホンマごめんな?」
「あー、いや気にすんな。誰だって調子悪いときはあるさ」
タイミングとか言ってるし、これは多分、あれだな。
女の子限定で発生する、月に一度の恒例行事的な奴だ。
男には、その辛さが分からんし、あまり責めるのも酷だろう。
というか、それなら今日は早めに帰って休んだ方が良いんじゃないか?
そんな、俺の気遣いは——、
「あら? アインったら、まだ帰っていなかったの? スライム用の餌を味見して、お腹を壊したって言うから診てあげたのに。後は暖かくして早く寝なさいって言ったでしょ?」
唐突に現れたプリムが事情を暴露したことで遮られた。
「って、そっちかよ!?」
性に関することだと勘違いして、気まずくなった純情な俺に謝れ!
などと、恥ずかしくて口に出せるハズもなく……。
俺は赤くなった顔を隠すように、明後日の方向へ視線を逸らしたのだった。
……ちなみに、アインもアインで羞恥に耐えられなかったらしく、無言で足早にギルドを去って行ったが、まぁ、これで早めに就寝できるだろう。
ある意味、結果オーライと言えなくもない……か?
「だらしないな~。お兄さん。まぁ、ウチも体力がある方じゃないけどね」
俺がキースについて考え事をしていると、ふいに、からかうようなセリフが聞こえてきた。
そちらに顔を向けると、ミルクとアインの二人がギルドの一階からBARに降りてくるのが見える。
実はパーティーの参加者が多いため、地下のフロアだけではスペースが足りず、受付フロアにも予備の机を出して会場にしているのだ。
どうやら、二人は今まで、一階で知り合いと談笑していたらしい。
ちなみに、今回は気軽な立食形式のパーティーだな。
ギルドでの祝い事は、これが定番なのだとか。
「しょうがないだろ? あんな大量のモンスターと戦って、ゴーレムにも止めを刺して、最後はドラゴンと鬼ごっこまでしたんだから。つーか、途中参加のアインに言われたくないぞ」
「あー、それもそやね。お兄さん、痛いとこ突いてくるなぁ」
困ったように頬をかきつつ苦笑するアインを見て、俺は、あることを思い出す。
「って、そうだよ! 結局、アインが遅れた理由ってなんだったんだ?」
あの時は詳しく聞いてる余裕が無かったし、もちこの証言で不穏な疑いは晴れたけど、真実は謎のままだ。
「あのぅ、ハルさん。その話なのですが、私がアインさんの潔白を保証するので、追及は止してあげて欲しいですます」
なるほど、どうやらミルクは気付いたみたいだな。
俺がアインを疑っていた事に。
「いや、潔白とかは、もう別に良いんだけどさ。もちこも大丈夫って言ってたし。……その様子だとミルクは詳しい話を聞いたのか?」
「はい。それで、その真相を男の子に話すのは、女の子の名誉的に忍びなく……」
申し訳なさそうに頭を下げるミルクから、視線をアインに移す。
普段は、どちらかというとサバサバした雰囲気の彼女だが、今は頬を染めて俯き気味で、非常にしおらしい。
そして、恐らく無意識の反応だと思うが、下腹部に手を当てていた。
……うん、なんか、これ以上は危なそうだな。
「よし、分かった。この件に関しては、もう無かったことにしよう。それで良いな?」
「う、うん。街が大変な時にタイミング悪くて、ホンマごめんな?」
「あー、いや気にすんな。誰だって調子悪いときはあるさ」
タイミングとか言ってるし、これは多分、あれだな。
女の子限定で発生する、月に一度の恒例行事的な奴だ。
男には、その辛さが分からんし、あまり責めるのも酷だろう。
というか、それなら今日は早めに帰って休んだ方が良いんじゃないか?
そんな、俺の気遣いは——、
「あら? アインったら、まだ帰っていなかったの? スライム用の餌を味見して、お腹を壊したって言うから診てあげたのに。後は暖かくして早く寝なさいって言ったでしょ?」
唐突に現れたプリムが事情を暴露したことで遮られた。
「って、そっちかよ!?」
性に関することだと勘違いして、気まずくなった純情な俺に謝れ!
などと、恥ずかしくて口に出せるハズもなく……。
俺は赤くなった顔を隠すように、明後日の方向へ視線を逸らしたのだった。
……ちなみに、アインもアインで羞恥に耐えられなかったらしく、無言で足早にギルドを去って行ったが、まぁ、これで早めに就寝できるだろう。
ある意味、結果オーライと言えなくもない……か?
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