もしも理想のパーティー構成に実力以外が考慮されなかったら?

雪月 桜

答えを求めて

「……という訳なんだ」

「なるほど、君が置かれている状況は理解した。それで、僕に何をどうしろと言うんだい?」

「すみません、白木さん。キースさんは物分かりが悪いので、要点をはっきりして頂かないと」

「ええい、誰の物分かりが悪いだ! 今の説明だけで分かる訳ないだろう!」

俺が倒れた事を切っ掛けに、ミルクのネガティブスイッチが入り、重い悩みを打ち明けられた翌日。

俺は、その答えを何とか示すため、冒険者ギルドに来ていたキースと、彼の担当リンネに相談を持ち掛けていた。

今はギルドの地下にあるBARで、これまでの出来事を一通り話し終わった所だ。

具体的な話は、これからなので、キースのツッコミはもっともだと思う。

ちなみに、二人が良いと言ったので、今回からはタメ口で話すことに。

「そうですか? 私は想像が付きましたけど。察するに、白木さんは昨日の現象を解き明かして、前に進むことで、ミルクさんを安心させたいのでは?」

「……良く分かったな。その通りだ」

「そうなのか!?」

「ああ。まさか一発で当てられるとは思わなかった」

「だって、もしも人生相談なら、わざわざ会って間もない私達の元に来るとは思えませんから。単純に、知識を求めていて、かつ簡単に話が出来るという点で選ばれたのだと思いました」

「……正解。こっちのリンネ、察しが良すぎだろ」

ミルクの不安は、仲間を二度と失いたくないという思いに由来するものだ。

しかし、それを完全に取り除くことは出来ないだろう。

人間は生きていれば、いつか必ず死ぬ訳で、それを防ぐ方法は存在しないから。

あるいは、最初から仲間を作らなければ、そんな悲しい思いをしなくても済むだろうが、そんな生き方は寂しすぎる。

だから、俺は、自分の身を守れるくらい強くなることで、せめて一時の安心を与えようと考えた。

そして、そのためには、アインやミルクの知らない知識が必要だったのだ。

……ミルクが再び仲間の死と向き合う時は、きっと来る。

だけど、その時までは、笑顔で俺達の傍にいて欲しい。

そんなエゴ丸出しの動機だが、たとえ偽善と言われようが知ったことか。

俺はミルクの笑顔が好きなんだ。

あいつが悩んで落ち込んでいる姿なんて見たくない。

「さて、そろそろ前置きは終わりにして、白木さんが求める情報について、お話ししましょうか」

「ああ、よろしく頼む」

それから俺は、キースとリンネが話す内容に耳を傾けた。

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