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学園でもなく、ましてや、幻想でもなく

駒乃利久

美しい我が芸術の日々

「小生は今、青春というものを送る上で大切なものを見失っていたのかもしれない、くっ!」

 彼の名前は浮世此野春(うきよこのはる)、
浮世絵の絵師として、江戸、明治、大正、昭和、平成、令和を潜り抜けた絵師。
 生きた不死魚(シーラカンス)とも呼ばれる、
 浮世晩年(うきよばんねん)を師に持つ、浮世離れした生粋の芸術家である。
 生まれながらの日本画とも言わしめた、
 彼は、確かに風景画を描いていた。
 確かにだ。
 それは、間違うことなき事実として、
 ノートに刻む。

彼は、それまで、悩んでいた。
齧られ林檎のパーソナルコンピューターに捧ぐ絵を描いてもパッとせず、日本式ミロの女神(ビーナス)という題名で、茄子をナースビといいながら描けば、爆発するんではないかと思ったりして、壁に少しばかしの傷を残したり。

とにもかくにも、彼の回りには人がいないのは、彼の創作状況は破天荒的で尚且つ、斬新なほどの絵具の液体が飛び散って、
服が汚れるから。

なので、毎回の如く、黒子のように、美術準備室でひっそりとして、いなくなった後は、後片付けをするという、如何にも事後処理部隊の任を仰せつかっており、ひいては、本当の黒子のような格好をして、帰りも遅いためか、学校七不思議の一つ、「七人の黒い影」として新聞部の対抗勢力、オカルト雑誌「月夜」というどこぞの革命暗殺部隊がつけそうな名前でありますが、そこはご了承してくだされ。

 そして、今の状況で気まずい人がいた。
 それは、対抗勢力の新聞部、名前からして、名前負けしている対抗勢力は喜劇でも見ているかというほどに滑稽なものだ。

 気まずい顔を一人がしていると、
 大抵は気まずい顔をする、常識人であれば、そして、予想通りに、彼らだって、
 例外ではなかった。
 新聞部の田中の夕闇の冒険は続いていたのだ。
 何のためにか?って、そりゃあ、新聞のネタが枯渇したための、狩人になっているのだ。そういえば、特殊能力者は……と、駿は新作ギブリの映画の発表を待ち望んでは、自作のアニメ製作に打ち込む算段をたてている。

 「僕の方が面白いんだぞう……」

一人こっそり言う奴は、他にもいるだろうことよ、ボソッと言ってみる、少なくとも、猪突猛進な気質がある、田中にとっては、聞こえないものだろうと画策しながらな。

 「聞こえてるぞ」

耳じゃない、それは、田中の声じゃなく誰かの声だ、その声は女の声だった。

 「うわーい!」

奇妙な反応を見せるのが駿の特徴だ、さすがに伊達にアニメ製作をしている本格派趣味人は、違うなと田中ではなくて天見と鈴木はフムフムと頷いておきながら、そこじゃなーい!と自分で心の中で完結する。
シンクロナイズドスイミングに代わる競技があれば、間違いなく優勝するだろう。
内容は、特殊な培養液の中で、模擬的な二人用のコックピットに入り、精神の波長を合わせて、そのシンクロ率を競うという競技。
しかし、残念ながら、そんな技術は百年たったぐらいにできるか、はたまた空想で未完したドストエフとか、カフカみたいなもんだろうな。知らんけど。と、駿は持ち前のアニメ好きスキルを活かしながら、構想を展開する。

 
 と、ここで、言っておきたいのは、
 それでも気づかない、二人の男だ。

 宿命の星のもとに生まれたかのように、奇跡的な二人が、この美術室とその扉の前に居座る世界の中で、繰り広げられる集中世界。
二人の前ではおそらく、通じない、先程の雑談じみた喜劇を、笑いを見ることはなかった。
観戦するのではなく、参加しないという、
もといえば、別の競技に参加している選手であるかのように、集中していた。

田中は汗をだらだらと垂らしていた。
もちろんだろう、
心の声が、声となって、文字が空気を伝って伝わろうと言葉が展開される、
最初の文字列はドストエフスキーのドで始まる、ドレミのドでもあるな。
定型文はお決まりさ、なぜなら、それが、田中の決まり文句。汗を垂らし、緊張を張り巡らせて心臓の音を鳴らす、その名も『田中エンジン』というものが発動するのだ!
カッコよくないダサさが強みであるこの技は、自称アニメ監督、もはや、アニメ製作部を立ち上げたらいいのではないか?という駿が心の底でつけた名前、それは、他の二人も以下同文、心の中に添えて、

目を輝かせる女の正体とは、
少なくとも、彼女は影の人間ではないことは確かであるな。(偏見)

ー続くー
登場人物

浮世 此野春

芸術部の黒子達(七人)

新聞部の田中(田中エンジン発動中!)
               駿(空想ワールドに酔いしれる)
              鈴木と天見(特に言うことなし)

謎の女子校生(スカートの中のパンツを見られた人だろう、ちなみに桃色のパンツで、新聞部の駿は鼻血が出ていたが、田中の足の早さは陸上のプロに匹敵するレベルだろう)



     











 

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