勝部??

伊達\\u3000虎浩

第2章 4 合宿?? 中

 (主な登場人物)
・部長 林道 茜りんどう あかね ・副部長 敗北 勝負はいきた かつま
・会計 山月やまつき ありさ ・騎士(書記) 結城ゆうき ひかり
・秘書 服部 彩はっとり さやか ・顧問 西園寺 麗子さいおんじ れいこ
 

 何故こうなったのだろう。
ゴールデンウイークの初日、かつまは砂浜に立って、辺りを見渡す。
誰もいない、広い海を見渡しながらぼんやり眺めていると、後ろから声がかけられた。
「かつま!スイカ割りをするわよ」
満面の笑みで、ビキニ姿の茜に声をかけられた。
季節はまだ春すぎだが、ここはありさが所有するプライベートビーチの為、寒くはない。
・・スイカ割りね。
茜の声を聞きながら、先日の事を振り返る。
茜が合宿をやると言った時の事だ。


 第1回勝負部で合宿をやると言い出し、俺たちは固まってしまう。
そんな俺たちにおかまいなしと言わんばかりに、茜が続ける。
「前回の反省もあるし、この合宿で気合いを入れなおすわよ」
・・・反省とは柔道の事だろうが・・合宿って。
かつまがげんなりしていると、ありさから声があがる。
「第1回とは、なんだ?」
ありさからの質問に、何の迷いもなく茜が返す。
「第2第3とやるからよ」
・・・この部で、そんなにやる必要あるのか?
かつまが疑問に思っていると、ひかりと彩から声があがる。
「ク、ク、ク。我は魔力探索で忙しいのじゃがのぅ」
「拙者も、修行をせねばならぬでござるよ」
二人とも、両腕を組み目を閉じて語る。
「あんた達。合宿で”強く”なりたくないの?」
茜はニヤりと、笑みを浮かべ二人に告げる。
強くの部分で、二人が目を開きビクっとする。
・・・落ちたな。
合宿など行きたくないかつまは、ありさに望みを託す。
「合宿場所は、”ビーチ”がいいわね」
ビーチの部分でビクっとするありさを見て、かつまは合宿行きが決定した事を悟るのであった。


 かつまが茜の声を聞いて、先日の事を振り返っていると、スクール水着姿の彩から声がかけられた。
「かつま殿。どうなされた」
「・・電車の中で疲れたんだよ」
かつまが言うように、ここまでは電車できた。
 どこかいいビーチがないかしら、と茜がチラチラありさを見ながら言うと、ありさがそれなら・・とここに来る事が決まったのだが、どうしても電車がいいと言うひかりと彩に付き合わされ、電車でここまで来たのだった。
電車で来たのだが、やはり電車の中でも色々とあった。
窓ぎわがいいだの、修行して来るからと言う二人を説得したり、疲れたかつまに茜から一言、男なんだから荷物よろしく!と笑顔で言われたりと、とにかく疲れたかつま。
・・男の子なんだからと言う謎ルールをそろそろ無くすべきではないだろうか?喧嘩したら女子きみたち無敵だよね?女の子だもんは、バレー部以外禁止するべきだよ。
かつまは心の中で呟くのであった。
 当然いやだと言ったら怒られるのが解っているので、荷物を持ってビーチまで来たかつま達。
砂浜に東京ドームみたいなものがあり、ありさに確認すると、ありさが少し恥ずかしそうに教えてくれた。
「こ、これか?・・この土地は山月家のもので、親がいつでも海に入れるようにと少し改良してだな」
ドームの中は、海と砂浜を半々の割りあいで真っ二つにしてあり、天井は透明な防弾ガラスになっている。
 近年では、海を汚してしまう人が増加した事により、自分たちで海を守ろうという動きがあり、こういうプライベートビーチならぬ、プライベートドームが流行している。
ドームを貸し出しする会社もあり、結構人気なのだが、反対意見もわりとあり、所有している人たちは複雑な気持ちなのだ。
山月家では、もう一つ離れた所に同じ物が建てられており、そこを無料で貸し出して反対意見を無くしている。
そこの中では、出店などを山月グループが経営する事により黒字になっている。
かつま達が来た所は貸切専用で、主に学校や社員旅行、女性芸能人が愛用しているらしい。
しかし、反対意見が0というわけでもないので、ありさは少し恥ずかしいのだろう。


 さっきの出来事を思い返し、パレオ姿のありさを見ると、ありさの後ろから、ひかりがヒョコっと顔をだす。
「ク、ク、ク。ありさどうしたのだ?もしや、かつまにいやらしい目で見られたのか?」
パレオ姿のありさに比べて、ひかりはスクール水着である。
「見てないからな!それよりも、ひかりは彩と一緒でスク水なんだな」
「み、水着なんて買った事ない・・」
ボソボソ呟くひかり。
かつまには、ひかりの声が聞こえなかった。
すると、彩が、会話に加わってきた。
「拙者は、修行するのに、これでなくては困ると思ったのでござる」
・・ビキニだと、何に困るのだろうか?
かつまは、何に困るのか確認する事ができなかった。
それを聞く事は、何故かおそろしいと、直感で悟ったからである。
4人で固まって会話していると、後ろから声がかけられた。
当然、声の主は我ら勝負部、部長の茜である。
「スイカ割りをやるって、言ってるじゃない」
こうして第1回勝負部合宿が、はじまるのであった。


 スイカ割りをやった後は各自、自由行動という事で、茜はパラソルの下で休んでいる。
ドーナッツ状の浮き輪に浮いているありさ。
ひかりと彩はビート板を足元にくっつけて、海の上をどっちが長く立っていられるか勝負したりしている。
かつまは、ドームの一番端の下がどうなっているのか気になり、ドームの端の下を目指して泳いでいた。
泳いだりしていたかつま達に、沖から声がかけられた。
「・・・から・・・ごう!!」
・・・何か茜が言っているが・・まぁいいか。ごめ~ん泳いでいて気付かなかった~とでも後で言おう。
茜を無視する事を決めたかつまに、再度茜が声をかける。
「昼ごはんを作る人を決めるから、全員集合!」
その言葉を聞いたかつまは、全力で沖に戻る。
ゼェゼェ言っているかつまに、茜が満面の笑みでかけよる。
「ど、どうしたのよかつま!?遂に部長を敬う気持ちが芽生えたの?」
「ハァ、ハァ、ハァ」
かつまは、息を切らしながら口を開く。
「・・・作れ・・ない・・だろ」
かつまの声が聞こえなかったのか、茜が不機嫌そうに声をかける。
「いい、かつま!はっきりくっきり大きな声で発言しなさい!!」
左手は腰にあて、右手人差し指を立てて茜が語る。
若干、否、かなりイラッときたかつまは発言する。
「キミタチデハ     ゴハンガ      ツクレナイヨネ・・イテッ」
大きな声で、はっきりくっきり伝えるかつま。
伝えると後頭部に何かがぶつけられる。
「かつま殿!聞きずてならぬでござるよ!」
「ク・クク。我を愚弄するその度胸だけは、誉めてやるぞ」
「かつまに、バカにされるのは心外だな」
彩が手裏剣なげみたいなポーズで語り、ひかりが左手を額にあて、右手を真っ直ぐ伸ばして語る。
ありさは、かけてたサングラスを頭にかけ、両腕を組んで語る。
後頭部にぶつけられたのは、ビート板であった。
・・・あれ?前回やったよね?何この自信?
「待て。前回やって学ばなかったのか」
かつまはここは譲れないと語る。
ご飯ぐらい美味しく食べたい。
・・・疲れて帰ってきた俺の唯一の楽しみであるご飯さえ疲れるなんて勘弁してほしい。
しかし、かつまの思いは届かず、3人は声を揃えて反論する。
「師匠から学んだ!!(でござる)」
・・・く、校長め・・。
そんなやり取りを見ていた茜が口を開く。
「まぁ待ちなさい。いいかつま。よく聞きなさい」
すごく真剣な表情で茜がかつまを見る。
「我が勝負部でかつまだけに料理を作らせる訳にはいかないの。それじゃぁかつまをいじめているみたいじゃない!」
・・・食えない料理を食べさせようとするのは、いじめじゃないの?
「我が勝負部で何か決める時は”勝負”で決める」
茜がかつまに指を向けて語ると、後ろでひかりと彩が目を輝かしている。
「負けた人が料理を作る事。それ以外は料理の準備。いいわね!」
「望む所よ(でござる)」
ありさが手をあげる。
「勝負内容はどうするんだ?」
「お腹もすいているし、1回勝負のじゃんけんでいいんじゃない?」
ありさの質問に茜が答える。
かつまは、じゃんけんのルールとは違うルールが適用されていることを悟る。
・・・くっそー。皆に負けなくてはならねぇ。
そう。かつまが料理担当になるには、負けなくてはならないのだ。
「「ジャーン、ケーン」」
「「ポン」」




 何故こうなったのだろう。
かつまは広い海を眺めながらそんな事を考えていた。
「どうしたのでござるか?」
彩が首を傾げながらかつまにたずねる。
じゃんけん1回勝負の意味を勘違いしてしまった自分。
勝ったのは、茜とありさとひかり。
かつまは心の底から喜んだ。
・・・ヤッハー!!後は彩に負けるだけだぜ!
喜ぶかつまに茜やありさ、ひかりが告げる。
「じゃあ料理担当は、かつまと彩に決まりね」
「美味しいのを頼んだぞ」
「ク、クク。我は”スライムソーダ”を頼む」
・・・・あれれ?
「・・彩と俺?」
固まってしまうかつま。
「1回勝負って言ったじゃない」
「拙者はまだまだでござるな。うむ。かつま殿よろしく頼むでござる」
・・・く、くっそーーーーー。
かつまは心の底から叫ぶのであった。


次回 第2章4 合宿?? 下


※ここまで読んで頂きありがとうございます。
今回はいかがだったでしょうか?
今回書くにあたり、女性の水着姿をどう表現したらいいかで迷いました。
ひかりと彩の水着をわけるかでも悩んだんですが、いや最初のを貫け!!っという事でスクール水着です。
あまり長くなってはあれなので。
では次回もお楽しみ。









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