勝部??

伊達\\u3000虎浩

第1章9 顧問??

ひかりが加わった勝負部は部として、認めてもらえる人数に達したのだが部として申請するには、当然ながら顧問の先生が必要である。
その顧問の先生を茜は、れいこちゃんにやってもらうよう頼みに行くと言い出した。
茜の言葉にかつまは考え込む。


創立5年の桜上水高校は、国内でも数少ない名門校として有名である。
わずか5年たらずで名門校として名をあげたのは大きくわけて3つある。
1つ目は新しい高校という事もあり、生徒達の興味をひいたという事。
昔は知らないが最近の若者は新しいのに敏感であり、企業はどこよりも・誰よりも!をコンセプトに新商品の開発に力をいれている。
2つ目はここは進学校なのだが、生徒の成績または生徒が希望しない限り桜上水大学への進学が約束されている。エスカレーター式というやつだ。
そして最後は、西園寺 麗子という女性のカリスマ性であった。
かつまは校長の事が嫌いではないのだが、どこか自分の姉に似ており苦手意識があるのだ。


「あの校長じゃなきゃダメなのか?」
かつまはできたら校長はさけたいと考えた。
できることなら修道服の似合う子がいいとまで考えたのだが、茜に一蹴される。
「ダメ!れいこちゃん以外ありえない」
茜は机をバンっと叩きかつまを睨みつける。
かつまは負けじと反論する。
「仮にも校長先生だろ?忙しいんじゃないか?」
校長(仮)うん!ゲーム化は無理そうだね!
かつまが心の中でそんな事を考えていると、ありさが参戦してきた。
「まぁ2人共待て。聞くだけ聞いてみてダメだった場合また考えようではないか」
ふむ・・一理ある。あの校長なら恐らく断わるはず。
かつまは校長が顧問なんて聞いたことがないや~と開きなおり、ひかりに聞く。
「ひかりはどうだ?」
ひかりは両腕を組み、じっと目を閉じていた。
「・・・・待て」
両方の手をあごに当て、両肘を机におき、開かれた目と共にひかりは語りだす。
「もうすぐせかすくの再放送の時間だという事を今思い出した」
どこか遠い目をしたひかりにかつまが聞き直す。
「せかすく・・?」
かつまが聞き直すとひかりの目がカッっと開かれた。
「汝・・まさか・・知らぬともうすか・・」
ゆらりと立ち上がったひかりは、かつまの前まで動き出し両肩をつかみまくしたてる。
「あの超有名な世界を救った俺は魔王軍にスカウトされて・・・通称せかすく、年間アニメランキング1位に輝き、グッズの売り上げは歴代1位を更新し続け、好きなアニメキャラ男女1位~10位を独占、キャラソン、OP曲、ED曲全てミリオン達成などなど数々の記録を叩きだす神アニメ!しかも今日は第2話目のレイラ初登場シーンでファンなら当然リアタイで見るべきじゃろが!」
あまりにも早口すぎて、後半聞き取れなかったかつまだったが、聞き直す事をためらわすひかりの迫力に、首を横にふりながら、知ってます知ってます!としか返せなっかったのである。
「ちなみに何時からなんだ?」
かつまが聞くと21時だ・・と机に突っ伏してひかりが答える。
平日のしかもゴールデンタイムにやるとはやるな・・今度見てみよう。
かつまはそう心に誓って茜に聞く。
「なぁ。もう20時前だし、明日にしないか?」
茜にかつまが告げると同時に校内放送が流れてきた。
「ガキ共!!20時になるから早く帰りな!!・・チクショー!わたしだって帰りてーよ!このブラッ」
プツンと校内放送が途切れた。
・・本当にこの人を顧問にしていいのだろうか?
「れいこちゃんもこう言っているし、今日の部活はここまでってことで・・かつま!」
そう言って茜はメモリーキーを渡してきた。
「交代、交代で議事録を作るわよ!今日の活動をそのメモリーキーに書き込みなさい」
メモリーキーとは昔でいうとUSBというやつの進化版だ。
「書記の仕事だろう!」
そう言ってひかりを見るとひかりは右手を真っ直ぐ差し出し、左手を額に当ててかつまに宣言する。
「我は騎士だ!断じて書記ではない!!」
ズバババと、今にも聞こえてきそうなぐらい激しくポーズをとるひかり。
どうやらかつまが今日の議事録を作る事になるのだが・・
何もしてねええええ!!!
つける以前の問題であった。


3人と途中で別れたかつまは今夜、一世一代の大勝負にでる事を決意する。
勝負するあいては・・かつまの姉である。
敗北家では家事全般をかつまが担当している。
両親が亡くなって姉貴は高校を中退してかつまを養ってくれている。
かつまはかつて姉に自分も働くから無理するなと、ヘトヘトになって帰ってきた姉に言った事がある。
姉はかつまの頭に手を当てて優しく微笑みかけながらかつまに告げる。
「バ~カ。いいか、かつ。私はお前が大きくなって自立するころには大金持ちのイケメンと結婚するんだ。だがお前は逆だ。しっかり勉強して、大金持ちになって、私ぐらいのいい女を捕まえな!」
そして最後は決まって冗談を言う。
「頑張って勉強して、僕が姉貴と結婚できるように法律を変えてみせる。ぐらいの気持ちでな」
必ずウインクをつける我が姉を、かつまは心の底から尊敬している。
しかし現在20時30分ここから料理、洗濯、掃除そして宿題に謎の議事録・・無理だ。
世の中のお母様方本当にご苦労様です。
かつまはそんな事を思いながら、家に帰りつく。
せめて洗濯は姉にやらせよう。
なぜなら洗濯物の8割りは姉の洗濯物なのだ。
通常かつまは制服の為、靴下、肌着、下着、タオルぐらいなのだが姉の場合はそうはいかない。
洗濯物をやってもらえるだけで世界が変わる。
世の中のお母様方・・オラに力を・・
かつまは心の中で両手をあげる。
「ただいま・・」
ここで下を向いて入るのがポイントである。
そして若干最後の ま を伸ばさない!ただいま~だと元気よく聞こえちゃうからね。
扉を閉めるふりをしてサッと相手に背を向けると同時にフ~と小さく息をはく。
ため息だと怪しまれてしまうし、大きく息をはくとわざとらしく聞こえてしまうから気をつけろ!
そうすると大抵の人はこう言う。
「・・?どうしたかつ?」
(ニヤリ)・・・完璧だ。相手に背を向ける為、今の俺の表情をうかがえまい!
「いや。今日から部活をする事になってさ・・」
「確かにいつもより遅いな」
ここが重要である。相手にそういえば・・と言わせればほぼ勝ち確。
「あぁ。これから食事の準備に入るからもう少し待っていてほしいんだが・・なぁ姉貴?」
うん?と聞いてくる姉貴に向かってさっきまでの表情とは一変して真顔になる。
いいか!頼み事は直接相手の目を見てそして凛々しい声でハッキリと伝えろ!
あの~とか実は・・とか回りくどいのは逆効果だぞ!
「これから部活動も頑張っていきたいんだ!そこで姉貴に頼みがある。洗濯を姉貴にしてほしいんだ」
ここでたまにでいいから、洗濯してとか絶対言うなよ!
え?たまにって言ったじゃ~んとか言われて後でイラっとする事になるぞ!
かつまの話しをきちんと聞いた姉はしばし無言であった。
アレ?何この沈黙・・?
3分ぐらいの沈黙が1時間にも感じられる。
これはかつまが部活を頑張ると噓をついているから感じられるものである。
「かつの言いたいことは解った。いいだろう。洗濯は私がやる事とする」
や、やったよお母様方!お、俺は勝ったんだ・・
かつまが心の中で喜びを嚙みしめ、お礼を言おうかとしたその時、姉がかつまに頭を下げている。
ア、アレ?何で謝られてるの・・?
「すまない・・かつ。保護者として配慮が足りなかった。」
そう言って姉貴はかつまに目線をあわせる。
「つまりかつはこう言いたいんだろ?洗濯をする時に姉貴の下着や使ったタオルに興奮してしまって、あぁどうしよう。このままでは・・おれ・・おれ・・っと」
・・・・・え?
「いいんだ、かつ!かつも年頃の男の子だ!そうアレだ!!」
そう言って姉貴は両腕を広げ高らかに宣言する。
「お姉ちゃんだけど愛さえあれば」
パタン。
かつまは扉を閉めて洗濯機のスイッチを押す。
その目に涙を溜めて・・・。




次回 第2章1 始動??











































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