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世界を救った俺は魔王軍にスカウトされて

伊達\\u3000虎浩

第四章3 ボステム 下

 
 酒場で、クエスト依頼を受けたカズト達。
 ボステム洞窟に住みついてしまったニワトリンを倒し、洞窟にモンスターが住みつかないように札を貼り、卵を無事に届けるのが今回のクエストである。


「いいか三人共。これからについてだが・・」


 酒場を出たカズト達は、ボステム洞窟へと続く道、ボステム平原へと来ていた。
 街を出た直後、カズトはモンスターがいないのを確認すると、近くの石に腰掛けてこれからについて話しだした。
 洞窟に入る前、嫌、クエストをこなす前に必要な事があるからだ。


「という訳で、この辺で再度フォーメーションの確認と、お金や経験値を稼ぐんだ」


 フォーメーションの確認は、アリス達がフォーメーションを忘れてしまっていたのもあるが、連携を強化する目的も含まれている。
 また、洞窟に入る前に揃えておきたい武器や道具、食料がある為、お金を稼いでおきたい。
 レベルも上がってお金も手に入る。
 一石二鳥というやつである。


「ハァ・・お金はニワトリンってヤツを倒せば手に入るじゃない」


 両手を腰にあて首を左右に振り、ヤダヤダと駄々をこねるアリス。


「だいたい、さっきアンタ受け取らなかったじゃない」


 アリスが言うさっきとは、酒場での一幕である。
 クエストの依頼人である酒場の店主は、洞窟に入るにはお金がいるだろうからと、報酬である10万Gを先に渡すと言ってきたのだ。


「えええ、で、でも・・」


 ドンとテーブルに置かれた袋には、大量のコインが入っていた。
 目を輝かせるアリスとは違い、ナナは戸惑いを隠せずにいた。
 チラチラとカズトを見るナナ。


「レイラ様なら信用できます。さ、さ。持って行って下さい」


 無言のレイラの前に、袋を差し出す店主。
 そんな店主の手を掴み、カズトは告げる。


「依頼は受ける。だが報酬はルールに従う」


 鋭い目つきに低い声。
 カズトの態度に店主はハイとうなづき、袋を持って厨房へと引っ込んでいった。


「ア、アンタ、どういうつもりよ!」


「話しは後だ。アリス、ナナ、レイ・・ラ?」


 なぜか顔を赤くしているレイラ。
 何でもありませんと言うので、スライムソーダを飲んだからだろうと判断し、そうかと返すカズトは、行くぞと伝えて席を立った。


「ア、アリスさん。ア、アレはですね」


 ナナが説明しようとしたのを見て、カズトが止めに入る。


「ナナ。俺が説明する。いいかアリス」


「な、何よ?」


 そもそも、クエストを受けたからといって、報酬を前払いするのはルールに違反している。
 ルールとはクエストを依頼するうえで、やってはいけないとギルドが定めたルールである。


 先に報酬を渡してしまうと、持ち逃げがあったり、クエストを失敗してしまい、前払いで貰ったお金がないなど、依頼人に不利な事が多い。
 それを無くす為、ギルドはクエスト法という要は、クエストに対しての法律を定めたのだ。


 例えば、他の冒険者のクエストを横取りしてはいけない。
 多数のパーティーでクエストを受ける場合は、各パーティーのリーダーが分配を決める。
 また、リーダーの補佐として、一人付き人をつけれる。
 付き人をつける事により、リーダーの話しあいをきちんと把握し、後々もめないようにするのだが、付き人とリーダーが口裏を合わせればインチキになる事もある。
 例えばABCDの4チームで分配は均等に、2.5にしようと、リーダー同士の話しあいをしたにもかかわらず、Aのチームが活躍したという理由で、半分の報酬を持っていくなんて事もあり、それを防ぐ為の付き人も、活躍したチームが半分の報酬だと言い始めてしまうと、人間同士が揉める事になる。
 一番いいのは、書面に残しておくか、チームを組まない事が望ましいとカズトは考える。


「・・・わかった。わかったわよ」


 話しが長い!と言わんばかりに、アリスはわかったと連呼する。


「とにかく、なんとか法に従いましょうって事でしょ」


「クエスト法だ」


「ハイハイ。ほら、モンスターが現れたわよ」


「・・・ナナ、レイラ。戦闘準備だ」


「ハ、ハイ!」「・・・ハイ」


 姿を現したアリ軍隊を前に、カズト達はそれぞれの位置につく。
 中衛にいるカズトは、アリスやナナに指示を出す。
 それぞれの役割を頭に叩き込むように、再度指示を出す。


「う、打ちます!ダークフレイム」


 ナナの打ちますと言う言葉に合わせ、アリスとカズトはその場を離れ、ナナの魔法の巻き添えをくらわないようにする。
 その為にも打ちます!と言う合図が重要なのだ。


 また、カズトはチラチラとレイラを見ていた。
 バーサーカーモードに入っていないかを確認する為である。
 洞窟に入ってしまうと、出るまでに時間がかかってしまう恐れがある。
 もし、大怪我を負ってしまい、回復役のレイラが、攻撃役になってしまった場合、大怪我を負ってしまった人の命が危ない。
 レイラがバーサーカーモードになるのは、カズトテトが怪我をした時だけだ。
 つまり、命が危なくなる可能性があるのはカズトであるということでもある。
 そんな事をカズトが考えているとは思いもせず、チラチラと見られるレイラは、顔を赤くし、両手をモジモジさせながら、恥ずかしがっていた。


 ーーーーーーーーーーーー


 魔女の森での死闘が、効果をもたらしていた。
 レベルが上がっているからという理由もあるのかもしれないが、手こずっていたはずのアリ軍隊を、あっさり倒してしまう。
 アリ騎士を呼ばれないように注意しながら、何回かの戦闘を終えた時であった。


(三発・・だな)


 カズトが、アリ軍隊から攻撃を受けた回数が、三発になった瞬間、レイラの瞳の色が変わる。


「テトを・・傷付けるな」


 周りの草や石つぶてが、風によって宙を舞う。
 レイラは、バーサーカーレイラになったのである。
 その事に気付いたアリスとナナは、サッとレイラの前をあける。
 レイラの姿が消える。
 レイラが通ったであろう場所から火があがる。
 火があがった事に気付く頃には、モンスターの身体が高く宙に舞っていた。


「ルミナスブレイク」


 レイラの声が聞こえる方を向くと、右足を高く上げて、モンスターが上がってくるのを、待ち構えているレイラの姿が見える。
 レイラに高く宙に上げられたアリ軍隊は、最高到達点に達すると同時に、レイラからかかと落としを受け、ものすごい勢いで落下していく。
 レイラのレベルもあがっている為、以前とは比べものにならないぐらい、大きな穴があいていた。


「・・・ちょっとやりすぎました」


「これでちょっとってアンタ」


「ア、アリスさん!喧嘩はダメです」


 アリスは、アリ軍隊に同情していた。
 喧嘩腰になったつもりはなかったのだが、ナナにそう言われてしまうという事は、そう聞こえてしまっているという事だと解釈し、小さくうなづくだけであった。
 その光景を見ていたカズトは、三人を自分の近くに呼び、重要な事を伝えると説明する。


「リーダーは俺が務めるが、いざという時の為に、ナナを副リーダーに任命する」


「わ、私で、ですか??」


「ま、いいんじゃない」


「・・・テトがそう言うのであれば」


 アリスは、レイラでなければそれでいいと考えた。
 レイラは、本当は自分がなりたかったのだが、テトに言われてしまっては反論できないでいた。
 任命されたナナは慌ててしまうも、アリスとレイラも賛成してしまっては、断りづらい雰囲気であり、また、魔女の森での一件で、罪滅ぼしをしたいと考えているナナにとっては、断る事は難しい事であった。


 しかし、カズトはそう考えての任命ではない。
 副リーダーの役目は、リーダーのサポートが主にだが、リーダーに何かあった時は副リーダーの指示が絶対である。
 アリスでは頼りにならないだろうし、レイラでは無理だと判断しての事である。
 レイラだと、バーサーカーモードに入ってしまっているからなのだが、消去法でナナを選んだ訳ではない。


 ナナは基本的に、オドオドしてしまっている。
 自分に自信がないからなのかは解らないが、副リーダーになる事で、少しは変わるかもしれない。
 それにアリスもレイラも、ナナに注意されたらきちんとすると判断したからであった。


「俺に何かあった時は、頼んだぞ!」


「ハ、ハイ「それは絶対にありません!」


 ナナの返事を遮るレイラの声。
 珍しく怒った表情で、カズトを見上げるレイラ。
     オドオドしながら、レイラとカズトを交互に見るナナ。


「テト。そんなつもりでナナを副リーダーにするつもりなのであれば、私は認めません」


 自分が危険な目にあった時、自分がいなくなった時の代役として、ナナを指名するのであれば、レイラとしては認める訳にはいかなかった。


(テトがいなくなる?それだけは・・絶対)


「俺が危険な目に合わないように、頼りにしている「ハイ!」


 頼りにしているからな、三人共という言葉は、レイラの元気な返事によって、かき消されてしまった。
     頭が痛くなっているのは気のせいだと決めつけ、カズトは三人を見渡した。


「とにかくだ。一度街に戻って買い物をして、洞窟に向かおう」


 ある程度の戦闘で、お金は貯まった。
 後は必要な物を買って、洞窟に入ってクエストをこなすだけである。
 カズトの提案に、三人はうなづいて返事を返すのであった。


 次回特別篇      魔法少女ナナ

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