世界を救った俺は魔王軍にスカウトされて

伊達\\u3000虎浩

第四章 1 レリス 中

 
 カズトは黙って、ナナミの話しを聞いていた。


「夜中ナナと一緒にいた私は、ボステムに向かう道中から、激しい光と爆音が鳴り響いたのを聴きました。そんは私に調査に向かうよう命令が下され向かったのですが、そこで私の人生・・いえ私達の人生は変わる事になります。私は、彼に出会ってしまったのです」


 私達と言うのは、ナナや魔女の村の人々の事だろうと、カズトは解釈し、続きをうながした。


「そこは何もない、いえ正確には無くなってしまった焼け野原になっていてその側で、魔法剣士クリフの姿を目にしました。勇者軍の一人だと認識していたので、私は彼に声をかけます。それが私達にとって、終幕を迎えるきっかけになってしまうとは思いもしませんでした」


 ナナミはそう言い終わると、地面にしゃがみこみ、指を指しながら、解りやすいようにと、解説を始めた。
 カズトもまた、ナナミにならってしゃがみ込んで話しを聞く。


 地面から写し出される映像。


 ナナミとクリフが対峙する。


 焼け野原の上で、右手に剣を持ち、ただ呆然と立ち尽くしているクリフに、ナナミが声をかける。


「初めまして。私はナナミと申します。失礼を承知でうかがいます。貴方は魔法剣士クリフ様でおまちがいないですね?良ければここで何が・・?」


 ナナミは言葉を詰まらせた。
 話しかけているのだが、クリフは聞いている素ぶりを見せず、ただ呆然と立ち尽くしているだけである。
 不思議に思ったナナミは、首を傾げながらクリフに近付いて行く。


「・・・!?」


 カズトは息をのんだ。
 目の前でおきた事が信じられず、地面から顔をあげてナナミを見た。
 だがナナミはカズトの視線を無視し、説明を続ける。


「ちっ。殺したと思ったが、うまくかわしたか」


「いきなり剣をふるうとは・・。貴方は自分が何をしているか解っておいでですか」


 ナナミの問いは、クリフの呪文が答えとなり返ってきた。


「ハァァ・・死ぬがよい。メテオフレイム」


 ニヤリと口元を緩め、炎をまとった剣をナナミに振り落とす。
 ナナミは、クリフが呪文を唱えると同時に、二つの魔法を両方の手で唱える。


「ダーク」「アイスフレイズ」


 黒い煙を地面から発生させて、姿を消す。
 その地面に向けて、冷却魔法を唱えた。
 姿を消すナナミ。
 煙ごと切り裂くクリフ。
 炎をまとった剣は、ナナミの作り出した黒い煙を、簡単にかき消したのだが、ナナミが作りだした、氷に当たると、氷が瞬時に溶けて、白い煙がクリフを包み込んだ。


「ダークバーストショット」


 バーストを省略している為、それほどの威力ではないが、当たれば致命傷を負ってしまう箇所目掛けて、ナナミが魔法を発動する。
 バーストで威力を高めさせてくれるのを、待ってくれるような相手ではないと、ナナミは瞬時に判断しての事だったが、残念ながら魔法はかわされ、クリフを倒す事はできない。


 ナナミの魔法を見たクリフは笑い出し、ナナミに告げる。


「ほぅ。その威力、発動スピード、お前もしかして魔女族のエレメンタリーだな」


 エレメンタリーとはナナミの通り名である。
 魔法のみの戦闘ならナナミは5本の指に入る。
 ナナミの多彩な才能からエレメンタリーと呼ばれているのだが、ナナミはクリフに答えを返す事なく、魔法を発動させる。


「ダークフレイム」


 ナナミの手から放たれる炎に対し、クリフは軽く剣を振るうだけだった。
 クリフもまた、魔法剣士としての実力は、言うまでもないが一番である。


「馬鹿め。俺に魔法で勝負を挑むとは・・しかし、殺すには惜しい逸材だ・・どれ?試すか」


 クリフはそう言うと、剣を天高くかかげ、メテオスラッシュの構えをとる。
 クリフの動きを見て、ナナミは瞬時に判断する。
 アレはマズイ。


「くっ。ナナ・・」


 ナナミはこのままだと、死んでしまうと判断し、逃走へと切り替える。
 まだ死ぬわけにはいかない。
 せめて大切な妹が、私がいなくても大丈夫なぐらい強くなるまでは、私は死ねない。


 迫ってくるメテオスラッシュ。
 周りの大木をなぎ倒し、出てくるアリ兵隊やきこり兵を消し去る。


「バースト」


 ナナミは、メテオスラッシュに向け両手を広げて魔法を発動させる。
 バーストでメテオスラッシュの威力を吸収しようと考えたのだ。
 大木やモンスターの群れなどに当たり続け、発動してからだいぶ経つので、威力は最初よりかは弱くなっていると判断したナナミ。
(それにこのままでは・・)


「ダークメテオバーストショット」


 この時の出来事を、映像を見ながら振り返るナナミ。
 一か八かの賭けだったと今ならそう思える。
 負けたくない、死にたくない、死なせたくないという気持ちが、一か八かではなく、勝算に値すると判断してしまったのだろう。
 私もまだまだ若いなとナナミは言うが、カズトには返す言葉が見つからなかった。


 ーーーーーーーー


 メテオスラッシュを返されたクリフ。
 さすがに剣を軽く振って対処できるほどの魔法ではない。
 守護神ダンを容易く消し去った魔法を、ナナミは避けるどころか返してきたのだ。
 クリフは高らかに笑った。


「そのあるのか?」


 しまったと、ナナミの表情が変わる。
 ナナミは逃走を選択し、メテオスラッシュから逃げていた。
 このままのスピードなら、充分逃げ切れるスピードだったにもかかわらず、一か八かの賭けに出てきた。
 あのエレメンタリーが?それは有り得ない。
 クリフはそう判断した。
 逃げれるのだがら、メテオスラッシュの軌道から外れれば済む話しであった。


「まさか、噂に聞く魔女の村か?くくく。面白い」


 口元をニヤニヤとさせ、何やら黒い玉を取り出したクリフ。
 しかし、ナナミにはその事に触れている余裕がない。
 通常、魔女の村は簡単に見つかる所にはない。
 だが、万が一があった場合を想定した時、ナナミは小さく息を吐き、クリフに気付かれないよう右手を背中に持っていき、背骨のあたりに小さな魔法陣を書きこんだ。


 ーーーーーー


 突如鳴り響く音に、ナナはビクっと身体が震えてしまう。
 窓の外では、激しい光と煙がたちのぼっている。
 大好きな姉が向かった方角から見えるその景色に、ナナはただただひたすら、姉の無事を祈り続けていた。


 音の正体は、姉に教わった使い魔から発せられている。
 ナナは不安がよぎりながらも、使い魔の元へ歩みよった。


【ナナ。良く聞いて。リビングの下に収納庫がある】


「お、お姉ちゃん。今何処にいるの?」


 大好きな姉の声を聞いて、ナナは安堵する。
 だがしかし、ナナの問いかけに、答えは返ってこなかった。
 返ってきたのは不思議な答えであった。


【そこに隠れて私を待っていてほしい。ナナ。その部屋から早く逃げるんだ】


「に、逃げるって何から?お、お姉ちゃん!」


 ナナは無意識に、使い魔に掴みかかっていた。


【・・ナ・・愛してる】


 故障してしまったのか、途切れ途切れ聞こえてくる、姉の言葉。
 しかし、最後の言葉だけはしっかりと聞きとったナナは、溢れ出す涙を袖口で拭き、ナナミの指示に従う。


 リビングの下に降りると、両親はいなかった。
 いつもの事なので、ナナは気にせず収納庫を探す。


「これの事・・?」


 小さな子どもが入れそうな収納庫。
 顔だけ中に入れて見てみると、あちらこちらに姉の魔法の痕跡が感知できる。
 まるで、誰かの成長に合わせて拡大されたような、そんな感覚がナナの心を苦しめた。
 誰かとは・・ナナである。


 再度溢れ出す涙を拭かず、ナナは中に足を曲げて入ってみた。
 ナナが入る事が条件とされる魔法陣が発動され、収納庫は静かに閉まっていく。
 息ができなくなるかと思われたナナであったが、僅かな隙間から、空気が入りこんでいる事が解り、ホッと胸を撫で下ろし、ナナミの安全を祈るナナ。


「お姉ちゃん・・どうか無事でいて」


 収納庫の天井には、おねぇちゃんと書かれている文字。
 ナナは気付かなかったが、小さい時に一度だけここに入った事がある。
 ナナミが、魔法陣の起動条件を設定する為に連れてきたのだが、ナナは両目を瞑っており気付かない。
 あけていたとしても気付かなかっただろう。
 真っ暗な部屋の中では何も見えない。


 ナナはひたすら、姉の無事だけを祈り続けていた。


 ーーーーーーーー


 右に跳ぶ。
 ナナミが振り返ると、さっきまでいた地面が激しくえぐられてしまっていて、大きな穴があいていた。
 クリフの攻撃によるものだ。


「案内する気はないのだな?」


「魔女は人間とは違う!決して仲間を売ったりはしない!」


 ナナミはクリフに突進する。
 魔法同士の撃ち合いの中で、自分より強い相手と戦う事になった場合、遠距離では分が悪い。
 逆に近距離なら、強い魔法を放つ事が躊躇ためらわれてしまう。
 巻き添えを食う恐れがある為だ。


 誤算があったとするならば、クリフは魔法だった事だろう。


 ナナミの右腕が、クリフによって切断されてしまう。


 吹き飛ぶ右腕を、木の後ろから眺めながら、ナナミは息をのんだ。


「ほぅ。幻影魔法まで使いこなし、この俺が気付かないとは・・やはり殺すのは惜しい」


 クリフの側にいたナナミは、黒い煙となって消える。
 どうする?どうすればいい?ナナミは自問自答しながら、クリフ目掛けて魔法を放ち続けた。


「メテオスパーク」


 剣を真っ直ぐナナミに向け、突き出してきたクリフは、魔法を唱える。
 無数の電撃が、クリフの剣から放出される。


「・・・!?」


 クリフから放たれた電撃を見て、ナナミの両目が開かれた。ここしかない。
 そう判断して、ダークを唱えるナナミ。
 またしても、黒い煙がナナミを包みこむ。
 またかと、うんざりした表情を見せるクリフ。


「パンドラ」


 煙の中で、ナナミは呪文を唱える。
 しかし、その魔法はまさに諸刃の剣と呼べる呪文であった。


 パンドラ。


 パンドラの箱という言葉がある。
 決してあけてはならない箱という意味であるこのパンドラを、ナナミは何の迷いもなく唱えた。
 何がおこるのかはナナミ自身にも解らない。
 これに賭ける事が一番だと、決意しての事である。


「ほぅ。珍しく歯ごたえがありそうだ」


 クリフがニヤリと微笑むその先には、龍をまといしナナミの姿がある。


 この龍は、ナナミの全身から溢れだす魔力が具現化した為であった。
 ナナミは魔龍まりゅうを召喚したのだ。
 無論、パンドラによってなのだが、ナナミの表情は暗くなる。
 魔龍は術者の魔力を食べる。
 クリフとの戦闘で、だいぶ魔力を消費していたナナミにとっては、魔力を消費してしまうこの行為は好ましくない。


 魔龍が消えた時、自分も消えてしまうだろう。
 魔力なしで勝てる相手ではない。
 しかし、出してしまったものは仕方がない。
 魔力が尽きる前に、クリフを倒さなくてはと、ナナミは攻撃態勢を整えた。


「冥土の土産に教えといてやる。貴様が相手にしているのはレベル162のクリフ様だ。エレメンタリーと呼ばれ天狗にでもなったか」


 ーーーーーーーー


 この言葉に衝撃を受けたカズト。


「クリフのレベルは81だった筈だ!それに・・レベル100以上があるのか?」


 カズトはゲーム当時の事を思い出しながら、ナナミに問いかける。
 ナナミは、魔王討伐時の事を言っているのだろうと考え、カズトの質問に答えた。


「限界突破か、あるいは嘘なのか、他に何かあるのか、今思えばあの黒い宝玉が怪しいのかもしれません」


 ナナミの答えを聞いて、カズトは固まってしまう。
 心当たりがあったからだ。
 アリスはあの宝玉に、力を奪われてしまっている。
 それが関係しているのだろうか?
 しかし、その事をナナミに伝えて良いものだろうか?
 だが、これはまだアリス達と出会う前の話しだ。
 もしかしたら、守護神ダンが関係しているのだろうか?
 カズトがそんな事を考えている中、地面の映像ではクリフとナナミの戦闘が始まっていた。


 ーーーーーーーー


 クリフに向けて、右拳を振り抜くナナミ。
 クリフは余裕の表情で、左にかわす。
 右腕から魔龍が、クリフ目掛け飛び出す。
 それでも、クリフは余裕の表情を崩さず、剣で魔龍を切る。
 すかさずナナミは左手をクリフに向け、魔法を唱える。
 否、魔龍に指示をだすが、正しいのかもしれない。


「ドラゴランサー」


 槍のように鋭い龍になった魔龍は、クリフの右肩をつら抜く。
 ナナミとの戦闘で初めてクリフが、傷を負った瞬間でもあった。
 勢いよく、吹き出す血を眺めながら、空に向けて高笑いをするクリフ。
 ナナミはすかさず左手を右手にそえて、魔法を唱える。


「ダークドラゴンフレイム」


 魔龍が激しく燃え、クリフの傷口を焼いた。


「気に入った。殺すのはなしだ」


 クリフはそういうと、右肩に突き刺さっている魔龍を抜く事なく、ナナミに突進し、ナナミを地面に叩きつけた。
 ナナミに馬乗り状態になったクリフ。
 ナナミは何とかクリフをどかそうと試みるも、腕力ではクリフに勝てない。


 地面にお腹をつけ、腰の辺りをクリフが踏みつけ、ナナミの左肩に剣を突き刺した。


「さぁ吐け。魔女の村は何処にある」


「ぐわぁぁぁあ」


 左肩から吹き出す血を浴びながら、それでもナナミは口を開かない。


「いつまで持つかな?スパーク」


 クリフの剣から流れでる電流が、ナナミの左肩に流れこみ、傷口から激しい血しぶきが舞う。
 意識が飛びそうだ。
 唇から流れる血は、切られてのものではない。
 目を瞑ってしまわないようにと、自ら噛み切って意識を保ち続けていた。


「ここまで持つとは・・何だ?両親の為か?弟か、の為か?」


 妹の部分でビクっと震えてしまったのを、クリフは見逃さなかった。


「どれ。魔女の村で、貴様の妹を気が変わるか」


「い・・・いも・・・手を・・」


 左腕の感触がもう解らない。


 それでも、寝てしまう訳にはいかなかった。


 妹が、大切なナナが狙われている。


「ならば貴様にチャンスをくれてやる」


「チャ・・ンス?」


「ダンのジジィがいなくなった今、テトの野郎とレイラを殺れば俺が最強だという事だ」


 クリフは最早、ナナミに興味を示さない。
 剣を抜き、ナナミを見下しながら、チャンスの意味を説明する。


。そうすれば貴様の妹なんぞに興味はない」


 戦略兵器バーサーカーレイラ。


 彼女の名前も聞き覚えがあるというより、つい先程、魔女の村をもの凄いスピードで駆け抜けて行ったのを見ている。


「貴様がレイラを殺すのが先か、俺が妹を殺すのが先か。ふはははは。他の魔女にでも聞けば貴様の妹などすぐに見つけてくれるわ」


「妹に・・妹に手を出すな!!」


「そう。それだ!この世で最も怖い者、強い者を知っているか?復讐者だ!!貴様はまだまだ強くなる」


 バーサーカーレイラがそうであるように、誰かが傷つけられ頭に血がのぼると、強くなるとクリフが説明するが、ナナミにその言葉は届かなかった。


(ナナ。私のたった一人の家族)


 ナナは知らない事だが、ナナを救ったあの日から、両親は私に対しての態度が変わった。
 村では悪魔の魔女と恐れられ、集落から離れた所に一家全員が追い出された。


【ナナに手を出したその時、私が村を潰す】


 遠い昔の記憶。


 この言葉で救われた命は確かにある。


 その言葉に、私は後悔などしない。


 しかしその代償として私が失った物は数えきれない。


 友人、両親、村の連中の見る目が変わったあの日。


 ナナを救う為に、どんな任務もこなしてきた。


 その任務には、暗殺も含まれている。


 何故、こんな事を。


 何故、こんな目に。


 ナナさえいなければ。


「ち、違う!!私は、私は・・貴様ぁぁ!!何をした!?」


 ナナミは首だけをクリフに向ける。
 ニヤニヤと笑うクリフの左手には、黒い宝玉が握られていた。


 そうじゃない、私はそんな事を思った事がない。


 一度も??


 深く重たい問いかけ。


 ないつもりでいただけなのではないだろうか?


 気づいていないフリをしていただけなのだろうか?


「お姉ちゃん!私も大きくなったらお姉ちゃんみたいな魔女になりたい」


 その言葉に自分ナナミがどれだけ救われたのかを、ナナは知らない。


 知らなくていい。


 ナナは知らずに、真っ直ぐな道を歩んで欲しい。


 それは私の願いだ。


 それが私の夢なのだ。


 それならば私はもう迷わない。


 スッと全身の力を抜き、敵対行動がない事を示したナナミは、両目を瞑りクリフに答えた。


「いいでしょう。レイラを殺します。そのかわり、妹に手を出すな」


「それは、だから約束できんな」


(くっ。この男・・・ナナ)


 魔龍を無理やり沈める為に、左腕を魔龍に捧げる。       
     ナナミの左腕に魔龍の紋章が刻まれた。


 ーーーーーー


 魔女の村。


 辺り一帯をおびただしい悲鳴が鳴り響く。


 両目を瞑り、ひたすら両手を合わせ、姉の帰りを待ち続けていたナナの耳にも、その声が届いていた。


「貴様!正気に戻れ!」「そうだ!!」


「ナナに何かあってもいいのか!!」


 自分の名前が出た瞬間、全身がビクっと震える。
 一体何が起きているのだろうか。
 暗い収納庫の中、ひたすら両手を合わせ震え続けていた。


 ーーーーーーーー


「ナナに何かあってもいいのか」


 その言葉を聞いたナナミは、狂ったような奇声をあげる。
 このままではナナは売られてしまうだろう。
 魔女が一人もいなければ、あの男も諦めるに違いない。
 ナナミは、村の魔女に向けて魔法を放つ。


「ダークフレイム」


 悲鳴と共に、焼け焦げた死体が2体できあがる。
 ただひたすら魔法を放ち続けるナナミ。


 カズトはその映像を見る事ができなかった。




 この日魔女の村は、一人の魔女の手によって消えた。


 ナナミはブラックリストに登録される事となる。


 左腕に魔龍の紋章。


 腰には、裏切りの紋章が刻まれる。


 かつて、エレメンタリーと呼ばれた一人の少女。


 この事件をきっかけに、エレメンタリーの通り名は消え、新たな通り名が浸透する事となる。


 一族殺しの呪いの魔女。


 地面の映像には、おびただしい死体の前で、両膝を地面につけ、天を仰ぐナナミの姿がそこにはあった。


次回第四章    1     レリス     下

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