世界を救った俺は魔王軍にスカウトされて
第一章 1 アリス
俺はというと、部屋の中で呆然としていた。
気が付いたら知らない部屋にいて、知らない女の子からいきなり、魔王軍だの、召喚だの、魔王サタンの娘だの、悪魔だのと言われてしまったら、無理もない話しなのではないだろうか?
(働く?魔王軍で?いやいや、話しが全くみえてこないんだが)
俺はさっきまで、部屋でゲームをしていただけなのだが…。
俺はアリスに対しどう返事をしようかと、戸惑っていると、アリスは指をさしながら声をかけてきた。
「肝心な事を忘れてたわ」
アリスと目が合う。
(良かった…どうやら俺の気持ちに、気付いてくれたようだ)
「あんたの名前をまだ決めてなかったわね」
(…そこじゃないだろ。アリス)
俺は、心の中でツッコんだ。
そんな事を俺が思っているなどとは思いもせずに、アリスはアゴに手を当てながら、呟き始めた。
「ゴン三郎・・ゴンザレス・・ゴン3世・・ゴンゴン!うん!ゴンゴンにしましょう」
アリスは、満面の笑顔を俺に向けてくる。
(なんでゴン〇〇しかないんだよ!大体、ゴンゴンなんて擬音じゃねーか)
再度、心の中でツッコんでしまった。
「いやいや、待て待て。俺には輝基 和斗という名前がある」
慌てて俺は否定する。
(ゴンゴンなんて、ペットみたいな名前をつけられてしまってはたまらん)
それを聞いたアリスは、テルモトカズト…変な名前ね。と、そんな事を言ってきた。
(ゴンゴンよりかは、まっしだろ?)
両腕を組み、考え込んでいたであろうアリスは、うん。わかったわ!ゴンゴンにしましょう!と、うなずきながら、再度ゴンゴンを推してくる。
「な、何も解ってねぇ!!」
俺は、そこだけはゆずれないと、アリスと10分ほどもめるのであった。
ーーーーーーーー
10分後。
「あぁもぉ!解ったわよ!カズトって名前でいいわ」
不機嫌オーラ全開で、アリスが妥協してくれた。
その態度を見た俺は、文句の一つでも言ってやろうかと思ったが、またもめるかもしれないし、一応納得したようなので我慢をする事にした。
私のしもべの分際で生意気な!っと聞こえてくる声も我慢だ我慢。
それよりも、肝心な事を聞かなくてはいけない
「なぁアリス。働くとか魔王軍とか…その変の事がいまいち理解できないんだが」
「そうね。馬鹿なあんたにも解かりやすく、今の魔王軍について…いえ、この世界について説明してあげるわ」
アリスはカズトの顔を覗き込みながら、真剣な表情で語りはじめた。
「さっきも言ったとおり、ここは魔王サタン城。そして私は王女。つまりここで一番偉い人ってわけ。魔界に一番近い町サタンシティーとしても有名な所ね。この街で私達は、とても重要な役割を担っていたんだけど、つい最近、忌々しい勇者軍に、ブラッククリスタルを奪われてしまったの。」
「ブラッククリスタル…?」
初めて聞いた単語に、俺は呟いた。
「そう!ブラッククリスタル。別名、黒い宝石とも呼ばれているわ」
俺の反応に、アリスが返す。
「そのクリスタルって、そんなに大切な物なのか?」
俺は、再びアリスに尋ねた。
「いい。カズト!そのクリスタルは、色々な人々の負の感情を吸収、または、与える事のできる、この世界に一つしかない貴重な物なの。そのクリスタルがないと大変な事がおきてしまうと伝えられているのだけれど…」
アリスの表情が、初めて変わった。
悔しくて、苦虫を嚙み潰したような表情に見えたのは、決して気の所為ではなかったはずだ。
アリスは顔をあげて、カズトに問いかける。
「カズト。例えば、人間の負の感情をずっと吸収できないと、どうなると思う?」
問われた俺は、考える。
「人間じゃなくて、カズト自身でもいいわ。嫌な事があったとして、それが何日も…いえ、何年も続いたとしたら?」
アリスは再度、カズトに問いかける。そこまで言われて俺は、答えをだした。
「病にかかる…?」
実際、負の連鎖、負の病といった言葉がある。俺は、そんな事を考えていた。
「半分正解ね。病にもかかるだろうし…なら、その原因が誰かのせいだって事が解ったとしたら?」
「争いがおこる!?」
俺は、アリスが何を伝えようとしていたのかを、ようやく理解した。
「その通りよ。いいカズト。そうならないようにするためにも、あんたには今日から、そのクリスタルを取り戻す為に働いてもらうわよ」
アリスの言っていた働くとは、そういう事だったのかと俺は理解したのだが、まだ解らない事がある。
俺は、アリスに質問する事にした。
「な、なぁ?そんなに大切な物なら、どうして勇者軍に取られないようにするなり、勇者軍と話し合うなりしなかったのか?」
俺からの質問に、アリスはうつむいてしまう。そして、涙声になりながらも、質問に答えてくれた。
「私はそこに居なかったから、聞いた話しになってしまうのだけれど。お父様は、あっという間に倒されてしまったと聞いたわ。話し合う間もなく倒されてしまったのか、話し合ってから、倒されてしまったのかは解らないけれど…」
勇者なら話し合った場合、倒すという行動はとらないだろうと俺は思った。
それは、アリスにも解っているみたいだ。
それにしても、魔王サタンをあっという間に倒してしまうなんて、勇者軍はどんだけ強ぇんだよ。
そんな連中から、クリスタルを取り返すだなんて…ん?つい最近、何処かで見た、いや聞いたような…やったような…いやいや。ないない。
(まさか。馬鹿か俺は…笑)
まぁ一応、はっきりとさせようではないか。
「なぁアリス。その勇者の名前ってわかるか?」
「えぇ。勇者の名は"テト"っていうらしいわ。魔法も剣技も武術も、全てにおいて超一流。伝説の勇者とまでいわれているヤツよ」
アリスは、忌々しいヤツ!といった感じであった。
しかし、その話しを聞いた俺はというと、パニックであった。
(いやいやいや、偶然、偶〜然、名前が被っているだけだろ?)
俺は、状況を整理する。
さっきまでゲームをしていた俺は、魔王サタンをあっという間に倒した。そして偶然にも、勇者の名はテトという名前だ。
自分がつけたテトという名は、自分の名前の最初と最後をつけただけであって、特に深い意味はない。
エンディング画面で、勇者が黒い玉を持っていったが…いやいやいや、偶然だろ?
もし仮にそうだと仮定した場合、この世界はさっきまで自分がプレイしていたゲームの中という事になる。
は?そんな馬鹿な話しがあるものか。アニメや漫画じゃあるまいし。
TV画面のWARP?という文字…召喚したというアリスの言葉…いやいや、ないないないないない。
そうか!夢だ!夢なら全ての説明がつくぞ!ん?待てよ。アリスにさっき殴られたが、痛かったよな?
「なぁアリス。悪いんだが、ほっぺたをひねってくれないか?」
夢であってほしいと願いながら、確認の意味をこめてアリスにお願いをする。
「は?あんたってマゾなの?」
かなり引き気味で、アリスが距離をとり始めた。
「ち、違うわ!!」
仕方がないので俺は、自分で自分の頬を引っ張って確認をする。
やはり、夢ではなかった。
「お、おい!アリス!ここはどこだ!」
俺は、完全にパニックになった。
「は?だから魔王城だって説明したじゃない?聞いてなかったの?」
「いや、だからそうじゃなくてだな…いいか、良く聞け!俺は、この世界の人間じゃないんだよ」
「は?当たり前じゃない。私が召喚魔法で呼んだんだから」
パニックの俺に対し、アリスはドヤ顔で答えてきた。
「ふっふ〜ん。この魔法を使えるのは、この世界では私だけなのよ」
アリスは、超ドヤ顔である。
(うぜぇ。と、とにかく、アリスはほっといて状況を整理しよう)
馬鹿げた話しなのだが、どうやら自分は何処かに、転生あるいは召喚されたらしい。
痛みがあるという事は、死んだ訳ではないのだろう。
そして…もしかしたらこの世界は、さっきまでプレイしていたゲームの中かもしれないということだ。
確証はないが、勇者テトという人物。召喚したというアリスの言葉。エンディングで見た映像から、ゲームの中に来たと言えなくはない。
だがもしその場合、魔王サタンを倒したのは勇者テトであって、勇者テトではない。その勇者テトを操作していた、俺だという事になる。つまり、アリスの父親を倒したのは…俺だ。
(いや、待てよ?普通に考えて、父親の仇である俺を、召喚するだろうか?)
普通に考えたら、召喚ということじたいを考えないだろうがな。と、小さく呟いた。
しかし、もし仮にそうだとしたら?
そう思った俺はアリスに対し、何と声をかければいいのかと迷っていた、丁度その時であった。
突如、激しい爆発音が鳴り響いた。
激しい爆発音と共に、激しく揺れる建物。
「い、一体何事よ!」
アリスが叫ぶ。
「地震じゃないか?」
アリスの疑問に俺が答えると、突然、バンっと扉が開いた。
アリスとカズトが扉の方へ振り向くと、一頭のリザードマンが慌ただしく部屋に入ってくる。
「ハァハァ…し、失礼致します!ア、アリス王女様!て、敵襲であります」
部屋に入ってきたリザードマンは息を切らしながら、右膝をつき、右拳を床について、アリスに報告する。
「は?ここを魔王城と知ってて攻めてくるとは…いい度胸じゃない。フン。全くなめられてるのかしら」
カズトもリザードマンも、アリスのその言葉と共に放たれる怒気、いや殺気に動けなくなってしまう。
青い髪がふわりとあがり 金色の瞳が赤く染まる。
「…敵の数は?」
アリスはリザードマンにたずねる。
「それが一人なんで「はぁ!?一人ですってぇ??」
アリスは、リザードマンの言葉を遮った。
「ハッ!!敵は勇者軍の一人。戦略兵器レイラです。繰り返します。戦略兵器レイラが、攻め込んで来ております」
リザードマンが、アリスに伝える。
「バーサーカーレイラ…」
リザードマンの伝令に対し、アリスの表情が険しい表情へと、変わるのであった。
気が付いたら知らない部屋にいて、知らない女の子からいきなり、魔王軍だの、召喚だの、魔王サタンの娘だの、悪魔だのと言われてしまったら、無理もない話しなのではないだろうか?
(働く?魔王軍で?いやいや、話しが全くみえてこないんだが)
俺はさっきまで、部屋でゲームをしていただけなのだが…。
俺はアリスに対しどう返事をしようかと、戸惑っていると、アリスは指をさしながら声をかけてきた。
「肝心な事を忘れてたわ」
アリスと目が合う。
(良かった…どうやら俺の気持ちに、気付いてくれたようだ)
「あんたの名前をまだ決めてなかったわね」
(…そこじゃないだろ。アリス)
俺は、心の中でツッコんだ。
そんな事を俺が思っているなどとは思いもせずに、アリスはアゴに手を当てながら、呟き始めた。
「ゴン三郎・・ゴンザレス・・ゴン3世・・ゴンゴン!うん!ゴンゴンにしましょう」
アリスは、満面の笑顔を俺に向けてくる。
(なんでゴン〇〇しかないんだよ!大体、ゴンゴンなんて擬音じゃねーか)
再度、心の中でツッコんでしまった。
「いやいや、待て待て。俺には輝基 和斗という名前がある」
慌てて俺は否定する。
(ゴンゴンなんて、ペットみたいな名前をつけられてしまってはたまらん)
それを聞いたアリスは、テルモトカズト…変な名前ね。と、そんな事を言ってきた。
(ゴンゴンよりかは、まっしだろ?)
両腕を組み、考え込んでいたであろうアリスは、うん。わかったわ!ゴンゴンにしましょう!と、うなずきながら、再度ゴンゴンを推してくる。
「な、何も解ってねぇ!!」
俺は、そこだけはゆずれないと、アリスと10分ほどもめるのであった。
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10分後。
「あぁもぉ!解ったわよ!カズトって名前でいいわ」
不機嫌オーラ全開で、アリスが妥協してくれた。
その態度を見た俺は、文句の一つでも言ってやろうかと思ったが、またもめるかもしれないし、一応納得したようなので我慢をする事にした。
私のしもべの分際で生意気な!っと聞こえてくる声も我慢だ我慢。
それよりも、肝心な事を聞かなくてはいけない
「なぁアリス。働くとか魔王軍とか…その変の事がいまいち理解できないんだが」
「そうね。馬鹿なあんたにも解かりやすく、今の魔王軍について…いえ、この世界について説明してあげるわ」
アリスはカズトの顔を覗き込みながら、真剣な表情で語りはじめた。
「さっきも言ったとおり、ここは魔王サタン城。そして私は王女。つまりここで一番偉い人ってわけ。魔界に一番近い町サタンシティーとしても有名な所ね。この街で私達は、とても重要な役割を担っていたんだけど、つい最近、忌々しい勇者軍に、ブラッククリスタルを奪われてしまったの。」
「ブラッククリスタル…?」
初めて聞いた単語に、俺は呟いた。
「そう!ブラッククリスタル。別名、黒い宝石とも呼ばれているわ」
俺の反応に、アリスが返す。
「そのクリスタルって、そんなに大切な物なのか?」
俺は、再びアリスに尋ねた。
「いい。カズト!そのクリスタルは、色々な人々の負の感情を吸収、または、与える事のできる、この世界に一つしかない貴重な物なの。そのクリスタルがないと大変な事がおきてしまうと伝えられているのだけれど…」
アリスの表情が、初めて変わった。
悔しくて、苦虫を嚙み潰したような表情に見えたのは、決して気の所為ではなかったはずだ。
アリスは顔をあげて、カズトに問いかける。
「カズト。例えば、人間の負の感情をずっと吸収できないと、どうなると思う?」
問われた俺は、考える。
「人間じゃなくて、カズト自身でもいいわ。嫌な事があったとして、それが何日も…いえ、何年も続いたとしたら?」
アリスは再度、カズトに問いかける。そこまで言われて俺は、答えをだした。
「病にかかる…?」
実際、負の連鎖、負の病といった言葉がある。俺は、そんな事を考えていた。
「半分正解ね。病にもかかるだろうし…なら、その原因が誰かのせいだって事が解ったとしたら?」
「争いがおこる!?」
俺は、アリスが何を伝えようとしていたのかを、ようやく理解した。
「その通りよ。いいカズト。そうならないようにするためにも、あんたには今日から、そのクリスタルを取り戻す為に働いてもらうわよ」
アリスの言っていた働くとは、そういう事だったのかと俺は理解したのだが、まだ解らない事がある。
俺は、アリスに質問する事にした。
「な、なぁ?そんなに大切な物なら、どうして勇者軍に取られないようにするなり、勇者軍と話し合うなりしなかったのか?」
俺からの質問に、アリスはうつむいてしまう。そして、涙声になりながらも、質問に答えてくれた。
「私はそこに居なかったから、聞いた話しになってしまうのだけれど。お父様は、あっという間に倒されてしまったと聞いたわ。話し合う間もなく倒されてしまったのか、話し合ってから、倒されてしまったのかは解らないけれど…」
勇者なら話し合った場合、倒すという行動はとらないだろうと俺は思った。
それは、アリスにも解っているみたいだ。
それにしても、魔王サタンをあっという間に倒してしまうなんて、勇者軍はどんだけ強ぇんだよ。
そんな連中から、クリスタルを取り返すだなんて…ん?つい最近、何処かで見た、いや聞いたような…やったような…いやいや。ないない。
(まさか。馬鹿か俺は…笑)
まぁ一応、はっきりとさせようではないか。
「なぁアリス。その勇者の名前ってわかるか?」
「えぇ。勇者の名は"テト"っていうらしいわ。魔法も剣技も武術も、全てにおいて超一流。伝説の勇者とまでいわれているヤツよ」
アリスは、忌々しいヤツ!といった感じであった。
しかし、その話しを聞いた俺はというと、パニックであった。
(いやいやいや、偶然、偶〜然、名前が被っているだけだろ?)
俺は、状況を整理する。
さっきまでゲームをしていた俺は、魔王サタンをあっという間に倒した。そして偶然にも、勇者の名はテトという名前だ。
自分がつけたテトという名は、自分の名前の最初と最後をつけただけであって、特に深い意味はない。
エンディング画面で、勇者が黒い玉を持っていったが…いやいやいや、偶然だろ?
もし仮にそうだと仮定した場合、この世界はさっきまで自分がプレイしていたゲームの中という事になる。
は?そんな馬鹿な話しがあるものか。アニメや漫画じゃあるまいし。
TV画面のWARP?という文字…召喚したというアリスの言葉…いやいや、ないないないないない。
そうか!夢だ!夢なら全ての説明がつくぞ!ん?待てよ。アリスにさっき殴られたが、痛かったよな?
「なぁアリス。悪いんだが、ほっぺたをひねってくれないか?」
夢であってほしいと願いながら、確認の意味をこめてアリスにお願いをする。
「は?あんたってマゾなの?」
かなり引き気味で、アリスが距離をとり始めた。
「ち、違うわ!!」
仕方がないので俺は、自分で自分の頬を引っ張って確認をする。
やはり、夢ではなかった。
「お、おい!アリス!ここはどこだ!」
俺は、完全にパニックになった。
「は?だから魔王城だって説明したじゃない?聞いてなかったの?」
「いや、だからそうじゃなくてだな…いいか、良く聞け!俺は、この世界の人間じゃないんだよ」
「は?当たり前じゃない。私が召喚魔法で呼んだんだから」
パニックの俺に対し、アリスはドヤ顔で答えてきた。
「ふっふ〜ん。この魔法を使えるのは、この世界では私だけなのよ」
アリスは、超ドヤ顔である。
(うぜぇ。と、とにかく、アリスはほっといて状況を整理しよう)
馬鹿げた話しなのだが、どうやら自分は何処かに、転生あるいは召喚されたらしい。
痛みがあるという事は、死んだ訳ではないのだろう。
そして…もしかしたらこの世界は、さっきまでプレイしていたゲームの中かもしれないということだ。
確証はないが、勇者テトという人物。召喚したというアリスの言葉。エンディングで見た映像から、ゲームの中に来たと言えなくはない。
だがもしその場合、魔王サタンを倒したのは勇者テトであって、勇者テトではない。その勇者テトを操作していた、俺だという事になる。つまり、アリスの父親を倒したのは…俺だ。
(いや、待てよ?普通に考えて、父親の仇である俺を、召喚するだろうか?)
普通に考えたら、召喚ということじたいを考えないだろうがな。と、小さく呟いた。
しかし、もし仮にそうだとしたら?
そう思った俺はアリスに対し、何と声をかければいいのかと迷っていた、丁度その時であった。
突如、激しい爆発音が鳴り響いた。
激しい爆発音と共に、激しく揺れる建物。
「い、一体何事よ!」
アリスが叫ぶ。
「地震じゃないか?」
アリスの疑問に俺が答えると、突然、バンっと扉が開いた。
アリスとカズトが扉の方へ振り向くと、一頭のリザードマンが慌ただしく部屋に入ってくる。
「ハァハァ…し、失礼致します!ア、アリス王女様!て、敵襲であります」
部屋に入ってきたリザードマンは息を切らしながら、右膝をつき、右拳を床について、アリスに報告する。
「は?ここを魔王城と知ってて攻めてくるとは…いい度胸じゃない。フン。全くなめられてるのかしら」
カズトもリザードマンも、アリスのその言葉と共に放たれる怒気、いや殺気に動けなくなってしまう。
青い髪がふわりとあがり 金色の瞳が赤く染まる。
「…敵の数は?」
アリスはリザードマンにたずねる。
「それが一人なんで「はぁ!?一人ですってぇ??」
アリスは、リザードマンの言葉を遮った。
「ハッ!!敵は勇者軍の一人。戦略兵器レイラです。繰り返します。戦略兵器レイラが、攻め込んで来ております」
リザードマンが、アリスに伝える。
「バーサーカーレイラ…」
リザードマンの伝令に対し、アリスの表情が険しい表情へと、変わるのであった。
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