おうこく!

伊達\\u3000虎浩

第2章トランプすごろく決着…中

 
 トランプを引いて、トランプの数字の分だけ進む。ここまではゴン太やモッキーも理解は出来た。


 牛や猿とはいえ、前世は人間だったのだから、すごろくやトランプを使った遊びなどは理解していたからであった。


「なぁなぁ…しかしYO…大丈夫なんかYO」


「う〜ん。何か引っかかってるのよねぇ」


 トランプすごろくの序盤が終わって、交代制へと変わった。先攻で進んだりの達は現在、後攻チームのターンが終わるか、5分間待つというルールを守りながら、今後について考えていた。


「対策考えないと、負けるわよ」


 床に寝転がっているゴン太にそう指摘されなくても分かっている。


 運の強い要素であるすごろくに、対策も何も無いではないかと思うだろうが、そうではない。
 何かしら、突破口があるはずなのだ。


「そもそも、何でトランプなのかしら?」


「そりゃぁアンタ。トランプ王国だからでしょ?」


「うん。私も最初はそう思った。けど、すごろくならべつにサイコロやルーレットでもいいじゃない?」


 りのが考えをまとめていると、トランプを引けるタイミングになったようだ。


「ほ!っと…10の♡」


 10マス進みながら、りのは頭を回転させ続けた。


『チャレンジマス〜』


 今回のお題は…コレだ!?という掛け声を聴きながら、りのはずっと考えていた。


 ーーーーーーーー


 草冠の漢字を◯個書けと言うお題。


 ◯の中に入る数字は、トランプを引いた数字が入る。


 流石というべきかやはりというべきか、ゴン太がとても頼りになった。


「おいおいゴンちゃんyo…凄すぎないか」


「何言ってんだい。ねぇりの」


「そそ、そうだね」


 現役女子高生である自分が、分からない訳ないじゃん!と、誤魔化すりのであった。


 ーーーーーーーーーー


 ゲームも中盤に差し掛かっている。
 未だに突破口を見つけられないりのは、焦っていた。


 負け=終わりという文字が、頭の中を駆け巡る。


「リノっちyo焦ったって、仕方がないZE」


「う、うん。ありがとう」


「もう一度、ルールを確認したらどうだい?」


 ルールに落とし穴があるのかもしれない。
 そう助言されたりのは、ルールを再確認する。


【ルール説明】


 ・通常、すごろくにはサイコロやダイス、ルーレットを使うが、ここはトランプ王国。
 トランプを使ってすごろくをする。


 ・プレイヤーはトランプを1枚やまから引き、引いた数字分進める。
 使用したトランプは、墓場に捨てる事。


 ・トランプの枚数はジョーカーを入れて54枚。
 ジョーカー2枚は、回避行動に使用可能である。


 ・トランプは全て使いきらなければならない。
 ただし、ジョーカーを残しておくのは大丈夫とする。


 ・各プレイヤーは、交互にトランプを出し、トランプの数字分進めるが、5ターンの間は、トランプを出すタイミングは同時におこなうものとする。


 ・ゴールしないでトランプを全て使用した場合、墓場に捨てたトランプを全て回収して、その場から再スタートとなる。


「確か、こんな感じだったかも…」


「う〜ん。オレっちにはさっぱりだZE」


「そうだね…うーん」


 りのは考える。


 最初のトランプを使用するというのは、トランプ王国だからと言われてしまっては仕方がない。


 トランプを使用した場合、墓場に捨てる。
 トランプをやまから1枚引くというルールも、問題はない。


 トランプの枚数も、問題はないだろう。
 数えたわけではないが、枚数が多くても少なくても、どの道一回は必ず補充しなくてはならないのだから。
 ジョーカーで回避できるという事も、実際に回避したのだから、それも問題はない。


 問題はここである。


 トランプを全て使用しないとゴールが出来ないというルールである。


「しかし、冷静に考えたら可能なのかい?」


 残り6マスの場面で、トランプを1枚または2枚だけ保持しているという局面など、どれほどの確率だというのだろうか。
 また、そのトランプの数字が、合計6の組み合わせになるように残しておく事など、ほぼほぼ不可能である。


 仮に残っていたとした場合、残り6マスの場面で、やまにあるトランプの合計が6になると、どうやって分かるというのだろうか。


 カウンティングと呼ばれる技もあるが、そんな高度な技は簡単に使えない。使えていたら今頃億万長者だ。


「もしかして…」


 りのは何かに気づき始めていた。


 このゲームに勝つ為に重要な何かに。

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