おうこく!

伊達\\u3000虎浩

第1章6 りの帝国崩壊?? 上

『登場人物』
水瀬   りの
 現役高校生アイドル。不運な事故にあって死んでしまったが、神さまが半分生き返らせてくれた。
生き返る為には、何もない荒野に国を作る事である。
アリア
 りのの手助けをする為、神さまからいただいた妖精。
1日3回まで、お助けアイテムをだしてくれる。


【本編】


 どうしてこうなってしまったのだろうか。
自分はただひたすら一生懸命頑張っていただけだというのに。
牛小屋で震えるりのは、わらを被る。
「・・ぐす。寒くて死んじゃう」
ガタガタと音を立てる牛小屋。


 震えるりのの元へゴン太がやってきてくれた。
「・・・ありがとうゴン太」
寒さで震えるりのの為に、体を温めに来てくれたゴン太。
「・・・私の感謝の言葉を返しなさい」
温めに来たゴン太は震えていた。
りのを温めに来たのではなく、自分が温まりにきたのであった。
しかし、一人で震えていた時よりかは、楽になった。
「・・・なんでこうなるのよ」
りのはさっきの出来事を思い返していた。


 くわを振り落とし、なんとか今日中に終わらせる事を目標にして、りのはくわを振り落とす。
「ふわふわ」
くわを振り上げる。
「時間」
くわを振り落とす。
「ふわふわ時間」
くわをひく。
「・・・だめね。リズムが早すぎて疲れるわ」
りのは、ただ黙々と作業をする事が苦手である。
黙々と荒野を掘る作業に飽きたりのは、歌いながら掘るという遊びを見つけた。


 実際、高校でもこの遊びは流行っている。
テストが終わり、見直しが済んだ人は机の上で寝るか、絵を描いて暇をつぶすか、脳内再生をして時間を潰す。
りのは職業柄、脳内再生をして時間を潰す。
新曲の歌詞を覚えたり、いつクイズ番組によばれてもいいように準備しているのだ。
アニメクイズなら間違いなくアイドルNO.1の自信がりのにはあった。
そろそろ赤坂の感謝際に、呼ばれないかしら。


 りのは曲を変えて再度掘り進める。
「あいつもこいつもあの席を」
くわを振り上げる。
「狙っているんだよ」
くわを振り落とす。
「私の隣を〜・・・虚しい」
替え歌にしてみたが、女子高なので狙われても困るだけだと気付き、ちょと虚しくなった。


 りのが再度曲を変えようとしていたら、アリアがやってきた。
「なぁりの?そろそろ森に行かないとまずいんじゃないか?」
アリアにそう言われ、辺りを見渡すりの。
日が暮れ始めている事に気が付き慌てる。
灯りなどないので、明るいうちに森に入らないと、暗くなったら帰ってこれなくなってしまう。
「できる事なら今日中にって思ったけど、そう甘くはないわよね」
額から流れる汗を、右手でふく。
頑張った自分にご褒美として、長風呂をしよう。
そして明日からまた頑張れる。


 りのは、アリアを連れて温泉へとやってきた。
素早く着替え、洗面器などない為自分の両手で湯を浴びる。
「・・洗面器って必要よね」
 普段りのはシャワーで身体を洗い流す。
洗面器など子供の頃以外で使った事がない。
熱がでても、冷えピタシールで済ませる。
お風呂に入った時、いつも邪魔だと思っていた洗面器を、恋しく思いながらせっせと湯を浴びていると、アリアが声をかけてきた。
 どうやらアリアは、自分にも湯を浴びせろと言っているみたいだ。
それぐらい自分でしろと言いかけたが、アリアにはお世話になっているので、しぶしぶ湯をかけてあげる。
片手ですくって、アリアの頭の上から浴びせてあげるのだが、全裸で両手を広げているアリアを見ると、なんだか微笑ましく思えた。


 りのが微笑えんでいる事に、気づいたアリアはバッと身体を隠す。
そんなにジロジロ見ていたつもりはないのだが、急にそんな態度をとられると、なんだか目を背けないといけない気分になる。
アリアから目をそらして、上を向くりの。
「・・・ちょっとアリア!空が曇ってきたんだけど」
「ん?・・あぁこれは一雨きそうだな」
アリアは急いで帰る事を、りのに勧めてきた。


 急いで森を抜けようとしていた時だった。
「あ・・降ってきた」
ポツポツと雨が降る。
当然傘などもっていない。
「・・・雨か」
アリアは一言つぶやいて、りの服の中に避難してきた。
「ちょ、ちょっと!何でブラのところなのよ!」
「ん?気にするな」
確かに女の子同士なのだから、いいのか。
りのは、本降りにならないうちに森を抜けるべく走りだした。


 走っている途中で、りのは信じられないものを見てしまう。
りのが一生懸命くわを振った場所が、雨によって無くなってしまっていた。
「あ、あんなに、あんなに頑張ったのに」
りのはしばらくその場に、立ち尽くしてしまうのだった。


 りのは、思いだすのをやめる。
済んでしまった事を、くよくよしても仕方がない。
いつもなら、大好きなアニメを見て元気をもらうのだが、ここにはテレビはない。
あったとしてもアンテナがない。
テレビだけは何とかならないのかと、りのは考える。


 アリアのお助けアイテムを使うか?
嫌、うまくいったとして、この場所を離れるとなった場合持っていけない。
なら、持ち運び便利なサイズにするか?嫌、アニメは大画面で、まるで映画館にいるような気分でみたい。


 そんな事を考えていたりのは、いつのまにか眠ってしまっていた。
くわを振る作業なんて、生まれて初めてのことであり、疲れが溜まっていたのだ。


深い眠りにつくりの。


翌日彼女は襲われる。






全身筋肉痛に。


 アイドルらしからぬ声をあげ、りのは目覚める。
目覚めたのはいいのだが、身体が動かせない。
動かすととても痛い。
そんなりのに、アリアが呼びかける。
「なぁなぁ。流石にお腹がすいて死にそうなんだが」
確かにそうだ。
魚の刺身しか食べていない。
だがしかし、身体が痛くて動かせない。


 自称、歌って踊れるアニメ好きアイドルとして、やってきたはずなのに・・何って事。
どう考えても、これは筋肉痛だ。
りのはアリアに助けを求める。
「ね、ねぇアリア?実は私、全身筋肉痛になっちゃったみたいで。その・・言いにくいんだけど、何とかしてくれない?」
りのに助けを求められ、アリアは考える。
「う~ん。お助けアイテムを使うか?」
アリアの提案を聞いて、りのは考える。
湿布がでてくるのか、塗り薬がでてくるのか解らない。
1日3回が限界なお助けアイテムを、昨日はすぐ使ってしまった。
おかげで、何もできていない・・いや、シャンプーも水着も、後々役立つアイテムなので、無駄ではないのだが・・ここではやめておこう。
「う~ん。できれば、使わないでおきたい」
「なら、ゴン太に頼むか」
アリアはゴン太を、おこした。


 アリアにおこされたゴン太は不機嫌だった。
「ゴン太!りのを背負って森に入るぞ」
不機嫌なんか知ったことか!と言わんばかりに、アリアはゴン太に命令する。
「・・・モ」
だが意外な事にゴン太は、起き上がってりのを背中に乗せる。
りのが驚いている事に気が付いたアリアは、解説する。
「ゴン太ものどが渇いておるのじゃよ」
そう言われ、胸が痛くなるりの。
「まぁ、昨日の雨に感謝じゃな」
そう言われると、少し胸の痛みが和らいだ。


 ゴン太に背負われ、森を目指す道中、りのはある事を思い出していた。
「ねぇアリア?昨日お猿さんにあったじゃない?」
「ああ会ったな」
「お猿さんがいるって事は、あの森の中にバナナとかあるんじゃないかしら?」
「・・・・!!!」
アリアは歓喜した。
これでようやく空腹とおさらばできると。
心の中はバナナでいっぱいになる。
「聞いてるの?それと聞き忘れていたんだけど、筋肉痛を治したいんだけど・・何で森?」
森の中に入る前に確認しておきたい、とりのは質問した。
「バナ・ああ。筋肉バナナには、温バナがよくきくじゃバ」
途中途中、バナナが入っているが、筋肉痛には温泉に入れば?と言いたいのであろう。
温泉に入ったらよくなるのだろうか?
ご機嫌なアリアと、全身筋肉痛で泣きたいりのは、森の中に入って行くのであった。


次回第1章6 りの帝国崩壊?? 下


※ここまで読んで頂きありがとうございます。
今回から、上下でわけていきます。
理由としましては、長くなくていいので、他の2作品みたいにしてほしいと、言われたからです。
いつも遅くてすいません。
わけていきますので、多少早くお届けできるかと、思います。
では引き続きよろしくお願いいたします。





コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品