おうこく!

伊達\\u3000虎浩

第1章1 おうこく!

 初めまして!私の名は”水瀬 りの”(みなせ りの)現役高校生アイドルをやらせていただいてます。
 今日がなんの日かっていうと2月14日・・そう!私の命日であります。
 いやいやいやいや・・私死んじゃったの?
 それともう1つ、ここはどこだろう・・?


 辺りを見渡すと、建物も電柱もない荒野に1人ポツンと座っている。
 私なんでここにいるんだろう?たしか・・朝・・。
 りのは今朝の事を思い出していた。


 朝、お母さんに起こされた私は、学校に行く支度をしていた。


「りの~。あんたチョコレートは持ったの~」


「持っていかな~い」


 お母さんに言われた言葉に返事を返しながら、髪をセットする。


「持っていかないって、あんた今日はバレンタインデーじゃないの」


「あげる人いないも~ん」


 お母さんに言われなくても解ってる。
 2月14日を忘れる女の子なんていない。
 だけど私の通う高校は女子高だし、そもそもアイドルがチョコレートをあげてたらマズいじゃない。


「行ってきま~す」


 支度が終わった私は朝食を食べて家を出た。


 いつものように大好きなアニメソングを、イヤホンから流して聴きながら歩いて行く。
(今日はバレンタインデー。ふふ、りえのやつ頑張ってるかな)
 幼馴染で同じクラスのりえはチョコレートを作って、今日告白するって言っていた事を、思い出して思わず微笑んでしまう。
 上手くいってほしいなぁ~。もし失敗したらカラオケにでも行って励ましてやりますか~。
・・・!?


 ここまでは覚えている。
 その後がどうしても思い出せない。
 これが記憶喪失というやつなら、朝の出来事や大切な友人りえの事を、覚えているのはおかしいのではないだろうか?
 りのはそんな事を思いながら、辺りを見渡していた。


「お~い。待たせたの~」


 突然声が聞こえてビックリしていると、上からよぼよぼのお爺さんが現れた。


「うん?なんじゃ?コレ。返事をせんか」


 ポカっと叩かれてりのは我にかえる。


「え~と・・お爺さんはどなたでしょう?」


 わた菓子みたいなのにちょこんと座っているお爺さん。
 ラジコンか何かなのかとりのは考え、とりあえずたずねる事にした。


「わしかい?神様じゃよぃ」
・・・・ハイ?


「なんじゃその目は?お主まさか覚えておらんのかい?」


 そう言ってお爺さんは「ホレ」っと何かを地面にまいた。
 まいた場所に映し出されたのは・・・私??
 驚いてお爺さんの方を向くと、白くて長い髭を触りながら語りはじめた。


 映し出された私は信号待ちをしていた。


「お主はこの後、子供を助けて死んでしまうんじゃ」
・・・・全く覚えてない。


「無理もない。そこの記憶を思い出すと激痛や恐怖がよみがえるじゃろ?」


お爺さんが言うには、トラックが自分に向かってくる映像?は記憶から消すらしい。


「じゃあ・・私は死んじゃったって事で・・すか?」


「まぁあわてるでない。お主は死んでしもうたがまだ完全には死んでおらんよ」


「どういう意味ですか?」


「ふむ。本来ならお主はあそこでは、死なないはずじゃったのじゃが、死んでしもうた。これはこち
らとしても想定外じゃったのじゃよ。お主、死んでしもうた人間はどうなると思う?」


「・・・天国か地獄に行くんですか?」


「さよう。本来ならお主は死んでしもうたら地獄行きじゃったのじゃが」


「ええええ!!私死んだら地獄行きだったの!!!」


「当然じゃわい。歩きスマホ、周りを気にせず電車の中で音楽を聴いたりメイクをしたり、教科書は学校におきっぱなしなどなど、お主が地獄に行くのは当然じゃろう」


「イ、イヤです。私地獄に行きたくない・・ハッ・・まさか・・ここが地獄なんですか?」


 りのは周りの荒野をみわたしながら神様にたずねる。


「これこれ。あわてるでない。さっきも言うた通りお主はまだ死んでしもうたわけではない」


「・・・どういう意味ですか?」


「ふむ。本来なら地獄行きのはずじゃったお前さんは、子供を助けて死んでしもうた。そんな人間が地獄に行くのは間違っておるとワシは思うておる」


「そ、それじゃぁ天国にいけるんですか」


「いやそうではない。どうじゃお主、生き返りたいとは思わんかね?」


「・・・!?生き返れるんですか!!!生き返りたいです!!!」


「そうじゃろ。そうじゃろ。そこでじゃ、お主に試練を与える」


「・・・試練?」


「そうじゃ。見ての通りここには何もない。ここにお主の国をつくるのじゃ!」


「・・・国ですか?」


「さよう。国の完成度によってはお主を生き返らせる事としよう」


「・・・もし失敗したら?」


「地獄行きじゃな」


「そ、そんな~」


 りのは泣きだしそうになる。
 今日は女の子にとって大切な日である。
 そんな日に自分は何をしているのだろうか、何を見ているのだろか。


「これこれ。何も地獄に行くと決まったわけではないのじゃぞ?どれ、仕方がないのぉ」


 そう言って神様はまた何かをまいた。
 地面に映し出されたのは、病室のベットで眠っている自分の姿であった。


 病室のベットに眠っている自分を、お母さんが泣きながら抱きしめている。
 お父さんは近くのソファーに腰掛け、涙を流しながら放心状態だった。
 マネージャーも泣いていて手に何か持っている・・あれはファンレターだろうか?
 そして・・・私の手を握って泣いている・・大好きなりえの姿だった。


「ふむ。すまんが声までは聞かせてやれんのじゃ。今お前さんは植物状態になっておる。後はお前さんしだい・じゃ・・」


「やります。いえやらせて下さい」


 神様の言葉をさえぎり、目に涙をためて、神様にお辞儀をしながら、りのは国を作る事を決意する。


「いい顔つきじゃわい。かと言うてお主1人では大変じゃろうからコレを授けよう」


 そう言って神様は手に持っていた杖を地面に向けた。
 杖から光が放たれ、地面から煙があがる。
 りのはまぶしくて地面から目をそらしていた。
 光と煙が消えると、そこに手のひらサイズの小さな人が浮いていた。


「この妖精をお主にやろう」
・・・妖精?・・可愛い。


「この子はアリアという妖精じゃ。お主にお助けアイテムを授けてくれるのじゃ。正し1日3回しかだせんから使い所を間違えないことじゃな」


 アリアと呼ばれた妖精がニッコリと笑いかけてきた。
・・超かわいいんですけど。


「そうそう。お主がもし生き返れる事ができたなら、生き返るという願い事とは別にもう1つだけ願い事をかなえてやろう」


「本当ですか!ありがとうございます」


 りのは希望が見えてきたと喜ぶと同時に疑問が生じる。


「質問なんですが、もし国を作るのに10年かかった場合、生き返った時、私は27歳になるんですか?」


「さよう。なので早く国を作るのじゃな」
・・・ヤバい・・30年かかったら47歳・・50年かかったら・・。


「ではワシはこれで」


「ま、待って下さい。携帯とかTVとかお風呂とか化粧品とかは・・」


「そんな物はないわい。じゃがそうじゃのう・・女の子が野宿は可哀想じゃ・・ホレ」


 神様が杖を遠くの地面に向けると、また光と煙が舞った。


「寝床はワシからのサービスじゃ」




「寝床って・・馬小屋じゃない!!」


「馬じゃなく中には牛じゃから牛小屋じゃな」


「どうでもいいですそんな事!!」


「まぁ頑張っておくんなまし~」


 そう言って神様は姿をけしてしまった。


「お風呂もTVも携帯も雑誌もない・・嫌よそんな生活!!」


 りのは荒野で絶叫するのであった。
 こうして水瀬 りのは生き返る為に、この荒野に国を作る事となる。


次回第1章2 王国記念日


※いかがだったでしょうか?
女子高生が主人公の作品を書きたいと思い書いたのがこちらになります。
こちらは現代の若者の方々にも共感をもっていただける作品にしていきたいと思っております。
私はパソコンがこの世から消えたら私の人生は終わりだと思ってます。イヤ本当に・・


それでは引き続きお楽しみください。

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