魔法×科学の反逆者

伊達\\u3000虎浩

第2章 プロローグ

 
 キュッと締め直すネクタイを、鏡の前で確認し、近くにいるメイドへと声をかける。


 完璧だと思っていたが、声をかけたメイドから、ネクタイが曲がってますと言われ、疑問符が頭をよぎる。


 曲がっていたか?と思うが、直してくれたのには感謝しかないので、ありがとうと軽く伝えると、サッと差し出された鞄を持って部屋を出た。


 朝食を取ろうとリビングに向かうと、綺麗な銀髪の美少女が、珍しく黒いスーツ姿な事に気がついた。


 何処かに行くのだろうか?そんな事を考えていると、美少女が自分に話しかけてきた。


「おぃ。レオン。ネクタイが曲がっているぞ。いや、性格が曲がっているぞぉーだったかな」


「それを言うのであれば、ひねくれているだ。大体、何でジャンヌまでスーツ姿なんだ」


 朝食がハンバーガーなのにはもう慣れている為、その事には触れずに、レオンはジャンヌの格好について尋ねた。


「ジャンヌではない」


「……ジャンヌだろ?」


 こんな綺麗な銀髪の美少女が、他にいるはずがない。


「イオナだ。神使かみつかイオナ」


 大好きなハンバーガーを一口かじりながら、自己紹介をするジャンヌに、レオンは頭を抑えた。


「まさかこの間の事、本気だったのか?」


 思い当たる節を思い出しながら、レオンがジャンヌに尋ねると、当然!と、なぜか勝ち誇った表情で返されてしまった。


「大体、何故イオナなんだ」


「おやおや、レオン君。この間話した事を忘れたのかな?」


 まるで人を小馬鹿にした態度、いや、馬鹿にした態度をとるジャンヌにイラッとするレオン。


「馬鹿め…覚えている。レイのイに、レオンのオ、レイナのナ、だろ?」


「そうだ。神の使いで神使イオナだ。いい名前だろ」


「素晴らしい名前です。イオナ」


「…何処がだ!?大体、神の使ならばそこはとだな」


「言葉では伝わらないかと思いますが」


 レイのツッコミに、顔を赤くするレオン。


 ふふふ。本当に人間とは面白い。


 だからだろうか。


 この私自らが、ここまですると決意したのは。


 いや、違う。


 本当は、レオン。


 お前だったからではないだろうか?


 なぁ…レオン。


 どっちだと思う?

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