魔法×科学の反逆者
第1章エピローグ
とある一室にて、キーボードを叩く少年の姿がそこにはあった。ベッドの上に寝転びながら、少年を見る美少女。
体の関係があった後とかそういうのではなく、少年がキーボードを叩いている間に、勝手に部屋に入り、勝手にベッドに寝転がっているだけである。
こちらを振り向こうともしない少年に、ニヤけた表情を隠そうともせず、美少女は喋りかけた。
「いやぁしかし、助かって良かったな」
一瞬、ビクっと肩を鳴らし、キーボードを叩いていた指が止まる。
「三人とも無事で何よりだ」
丁度その時、部屋をノックする音が聞こえてきた。
「レオン。後始末が終わりました…?何かあったのですか?」
気不味い空気を察してか、部屋に入ってきた少女はたずねた。
「いや、な、何でもない。ご苦労だったなレイ」
労いの言葉をかけられたレイであったが、納得は出来なかった。
「ジャンヌ様?」
仕方がないので、ベッドに寝転がっている美少女にたずねる事にしたのだが、レオンがそれを阻止しようとする。
「とにかくだ。レイナにバレないようにする為にも、服を何とかする必要がある」
話しを逸らされているのは明白だ。
しかし、その話しも重要な話しだった為、無視は出来ない。
「大丈夫です。レイナには沢山作って貰っていますから」
「そうか…悪いんだが、コーヒーを淹れて来てくれ」
「分かった」
そう言って部屋を後にするレイを見送って、ジャンヌに話しかけるレオン。
「言わない約束だぞ」
「そうだったか?」
あの後、ロボットならスペアの身体があれば大丈夫だということに気づいた二人は、急いで身体だけを買いに行き、レイにくっつけて起動させた。
「まぁ、良かったじゃないか」
「…何がだ」
「お前が普段から、レイをどう思っているのかが分かったって事…かな」
レイはロボットである。
そう理解していながらも、本当の妹のように考えているうちに、いつしか人間だと思っていたレオンであった。
ーーーーーーーー
同時刻。
とある一室にて、少年は飛び起きた。
「クソ…これで36回目。鍵はどれだ」
携帯の日付けを確認し、今日が同じ日であると理解した少年は、顔をパンッと叩いてリビングへと向かう。
「あ、おはよう拓斗。どれにしますか?」
「おはよう伊波。今日はパンにするよ」
分かった、と告げ、パンを焼き始める伊波を見ながら、拓斗は考えていた。
鍵を見つけない限り、伊波が死んでしまう。
認める訳にはいかない。
それだけは、絶対に…絶対にだ。
そう心に誓い、拓斗は鍵を探す旅に出るのであった。
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