魔法×科学の反逆者
第1章 ワクドナリオ…②
店内に入り、受付けカウンターへと向かう二人。
カウンターに着くと、当然声をかけられる。
「いらっしゃいませーー。ご注文はお決まりですか?」
元気よくいっらしゃいませと言うと、ですか?の部分で、可愛らしくちょこんと首を傾ける従業員。
カウンターにあるメニュー表を見ながら、お目当ての商品を探していると、後ろからジャンヌに突かれた。
「お、おいレオン。この店員は、ロボットじゃないのか!?」
「ロボットではあるが、人口知能を搭載したロボット、確かI.Qロボという名前だったか…」
現代では、受付けのほとんどはロボットである。
人口の軽減による人手不足もあるが、お店の売り上げアップという意味合いも強い。
お店に入ってまず行く場所は、間違いなく受け付けカウンターである。また、危険な場所は?と聞かれたら、間違いなく受け付けカウンターでもあった。
その為、受け付けをロボットに任せているお店がほとんどなのだが、マスコット的な扱いや、ロボットなら危険な目にあってもいいのかという批判的な声もあった。
しかし、人件費や店の状況を考えると、受け付けをロボットにするのをやめろなどとは、誰も強くは言えなかったのである。
呼ばれてしまったのなら仕方がない。
ジャンヌの方を振り向くと、ジャンヌは右手を口元にあて、レオンの右耳にそっとその手を当ててきた。
「お、おいレオン。スマイルを下さいと言ってみろ」
「すいません。お持ち帰りで…」
「こ、こらレオン!無視するな」
何かあったのかと思ったら、実にくだらない。
ジャンヌを無視し、注文を続けるレオン。
注文を終え、財布を取り出した所で、背中に軽い衝撃を受けた。
「ま、待てレオン!アレを見ろ!」
「…ん?ラッキーセットだろ?」
「今回の景品を見てみろ!ワクリオ君の抱き枕がもらえるのだぞ!」
ジャンヌは興奮しながら、ラッキーセットの商品内容と書かれたポスターを指差した。
「ラッキーセットについてくるシール……50枚!?お、おいジャンヌ!」
好きなだけと言ったが、流石にラッキーセットを50個注文するなどあり得ない。
「分かっておる、分かっておる。期間は来月の終わりまでだから、1日2個食べれば間に合うな」
レオンの言いたい事を理解しているのか、していないのか分からない返しをするジャンヌ。恐らくはしてなどいない。
「待て。それだと毎日ハンバーガーではないか」
「幸せだな」
「ジャンヌはな」
嬉しそうな表情のジャンヌに対し、レオンはげんなりした表情を浮かべた。
受け付けのロボットである従業員は、終始笑顔であったが、今の二人は気づかないのであった。
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