魔法の世界で新たな人生を~捨てられた人生のやり直し~

天羽睦月

第83話 永臣と明臣


明臣が言ったその言葉を聞いた永臣は考える素振りを取ると、静かに口を開けた。

「そうか。 良く自身の口で言ってくれた」

永臣は笑顔で明臣にそう話しかけた。その言葉を聞いた美桜を含めたその場にいる全員が驚いていた。美桜は何度も目を閉じたり開けたりしていると、永臣が美桜に話しかけた。

「私は天神弦十郎から娘を嫁がせてほしいと言われた。 しかし、息子の明臣が篁家の娘であるマリアさんのことを好きなことは知っていた」

明臣がマリアのことを好きなことを知っていたと永臣が言うと、明臣がいつから知っていたのと聞いた。

「お前がマリアさんと出会った時から、私は感じていた。 お前の一目惚れからだろう?」

そう言われた明臣がそうですと言うと、マリアがそんなに前から好きでいてくれたんだと喜んでいた。

「さて、明臣はどうする? 篁家の娘……いや、お嬢さんと結婚をして守り通せるか?」

永臣の突然の守り通せるかとの言葉に、明臣は考えるそぶりも見せずに真剣な顔をして永臣の眼を見つめる。

「私は篁マリアさんと結婚をして、生涯守り抜きます!」

そう明臣が宣言をすると、永臣は分かったと言う。

「篁家の皆さん。 まだ未熟な愚息だが、よろしくお願いします」

永臣が頭を下げで、修二とミレイユに頼み込んだ。すると、修二とミレイユが娘でいいんですかと声を揃えて言った。

「はい。 息子がマリアさんと幸せになりたいようですので」

その言葉を聞いていたマリアは、立ち上がって永臣にありがとうございますと言って頭を下げた。マリアのその言葉を聞いた明臣は、マリアの方向を向いてありがとうと声をかける。その様子を見ていた美桜や雫は、良かったと安堵の表情を浮かべていた。美桜は今が言う時かなと思い、永臣の名前を呼んだ。

「何かな? まだ他にあるのかね?」

そう美桜に言うと、美桜は篁家が心配なんですと言った。

「それはどういうことかね?」

永臣が理解できないと言う感じで美桜に聞くと、美桜が私との婚約解消をしたとお父様に知れ渡るとと言う。

「明臣さんが篁家の娘と結婚とお父様が知ったら、篁家に何がされるか分からないです」

そう言う美桜の言葉を聞いた永臣は、それもそうだなと言う。そこで明臣が、皇家で篁家の領地を仮で統治をして、篁家の皆さんには桜温泉の社長として一時的に働いてもらうのはいかがでしょうと提案をした。

「確かにその恐れもある。 しかし、他の領地を仮にとはいえ統治をするなど領民の人達が許すかどうか」

篁家の言うことも理解が出来る明臣は、そこを考えていなかったと悩み始めていた。しかし、そのことについて修二が領民には説明をするから安心をしてくださいと永臣に言う。

ミレイユも私も修二さんと共に説明をしますと言う。明臣とマリアはその言葉を聞いて、二人にありがとうと言った。

「明臣。 お前はもう無理に勉強をしなくていい」

突然そう言われた明臣はどうしてなのか理解が出来なかった。明臣は何故ですかと永臣に聞くと、お前が桜温泉株式会社の社長として働くのだと言う。

「社長として働き、マリアさんや篁家のために尽力をしていけ。 家のことは気にすることはない」

気にするな。そう言われた明臣は、涙を流しながらありがとうございますと永臣に頭を下げ続けていた。頭を下げている明臣の右肩に永臣に肩を置いた。明臣は肩に手を乗せられたことに驚くも、顔を上げて永臣の方を見た。

「お前の気持ちを聞けて良かった。 今まで無理を強いてきて悪かったな」

そう言われた明臣は、初めて永臣に謝られて明臣は驚いていた。初めて父親の本音を聞いたことや、謝られたことで距離が近くなった気がしていた。

「ありがとうございます! 必ずマリアさんを幸せにします!」

明臣のその言葉を聞いた修二とミレイユは、明臣なら幸せにしてくれると確信していた。修二とミレイユは、明臣に声をかける。

「そこまで気張らなくてもいいんだよ。 二人で幸せに暮らしてくれるだけでいいからね」

そう明臣に修二が言うと、明臣はありがとうございますと返答をする。

「修二さんが言ったように、二人で幸せに暮らして。 お金があるから幸せではないわ。 それはないようりはいいかも知れないけど、一番は二人が楽しく毎日を過ごしてくれることよ」

ミレイユの言葉を聞いた明臣とマリアは、二人同時に幸せになりますと答えた。その一連の言葉を聞いていた美桜は、良かったと思いながら何度も頷いていた。

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