魔法の世界で新たな人生を~捨てられた人生のやり直し~

天羽睦月

第45話 癒しの家


ベルを鳴らすとすぐに扉が開き、そこから雫が出てきた。出雲は雫を見ると戻りましたと笑顔で言った。すると、雫が笑顔でお帰りなさいと言ってくれる。

「ありがとうございます! 戻りました!」

笑顔の雫に笑顔で返す出雲。家に戻って来てお帰りと言ってくれたことが嬉しかった。雫に疲れたと言って一緒に家の中に入る出雲と雫。出雲が家に入ると、隣にいる雫におにぎり美味しかったですと言う。

「本当ですか!? 良かったです!」

雫が笑顔で良かったと言うと、また食べたいと出雲は言う。すると、さっそく明日作りますと雫は言ってくれる。

「ありがとうございます! すごい美味しかったから楽しみです!」

出雲がウキウキでいると、奥の扉から美桜が出てきた。

「出雲お帰り! 試験お疲れ様!」

美桜が小走りで入り口前にいる出雲の前に来ると、出雲がありがとうと言う。美桜の顔を見ると途端に元気が出た出雲は、試験のことを美桜に話そうとする。

「あ、俺ね! 美桜に教わった回復魔法使えたんだよ!」

そう美桜に話していると、美桜が晩御飯を食べながら話そうと笑顔で言う。出雲はそうだよねと言うと、一度自室に戻るねと美桜に言った。美桜は部屋に戻る出雲の背中を見て、絶対合格してるよと笑顔で呟いていた。その言葉が聞こえていない出雲は美桜に会うと元気が出ると感じていた。

「美桜は笑顔になると凄い可愛いな。 癒されるし元気が出る」

出雲は独り言を言いながら自室に戻ると、やっと部屋に戻ってこれたと思った。試験があったことで今日一日が凄い長いと感じていた出雲は、美桜や雫に会えたことや自室に戻って来られたことでやっと試験が終わったんだな実感した。

「頑張って試験が終わっても、明日結果が来るのか。 早いなぁ……」

出雲はベットに寝転がって天井を見上げた。試験での出来事や椿と会ったことを思い返していた。この世界でここまで濃い生活を送るとは思っていなかった出雲は、魔法があるこの世界や試験で見つけた左腕に付けている剣と出会うことはなかったんだろうと思っていた。

「それに、美桜と出会うことはなかったんだな。 この世界にこれて良かった……」

出雲は美桜と過ごす学校生活を夢見て、ベットから出て服を着替えていく。着替え終わると見ていたかのようにドアがノックされた。出雲は大丈夫ですよと大声で言うと、扉が開いた先には美桜がいた。美桜は先ほど会った時とは違って髪を軽く縛って左肩から垂らすような髪型をしていた。そして格好は膝まであるスカートに白色のTシャツとラフな姿をしていた。

出雲はその美桜の姿を見ると凄い似合ってるとの言葉が自然と口から出ていた。美桜はありがとうと笑顔で返すと、晩御飯が出来てるよと出雲に言う。その言葉を聞いた出雲は、ありがとうと返答した。美桜は出雲の姿をマジマジと見ると、自身の右手で出雲の頭を撫で始めた。

「い、いきなりどうしたの!? 気持ちいけどびっくりした」

出雲がそう言うと、美桜が試験頑張ったご褒美だよと言う。

「試験戦闘だったんでしょ? ちゃんと帰ってきてくれたし、乗り切ったからそのご褒美よ」

背伸びをして出雲の頭部を撫でる美桜の姿が可愛いと思った出雲は、ありがとうと言いながら自然と美桜を抱きしめていた。美桜は抱きしめられると小さな吐息であっと言葉を発するとそのまま出雲に抱きしめ続けられる。

出雲は美桜を抱きしめると、小さな身体に柔らかさを感じるその感触を身体全体で体感していた。また美桜の髪の匂いや身体から発している美桜の甘い匂いを感じて、美桜の耳元で好きだと言ってしまう。

「え? 今好きって言った?」

美桜がそう言うと、出雲は慌てて美桜を引き離した。

「ち、違うよ! 好きっていうのは、美桜に抱き着くのが好きって意味で、あ、あの、何言ってるんだろう、俺……」

慌てて取り繕おうとするも、美桜は小さく笑って抱き着くのは程ほどにしてねと言って部屋を出ていった。

「魔法の世界で新たな人生を~捨てられた人生のやり直し~」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く