魔法の世界で新たな人生を~捨てられた人生のやり直し~
第29話 試験前の夜
「だ、大丈夫!? 何があったの!?」
美桜が出雲を揺さぶって話しかけると、出雲から小さな声で辛すぎて舌と胃が痛いと言っていた。美桜はその声を聞くと雫に何をしたのと話しかけた。雫は教わった通りに作ったと言うが、頬を右手で掻きながら少し足りないと思ってタバスコを一本程と小さな声で呟いた。
「タバスコ一本!? 何やってるのよ! それじゃ辛すぎるわ!」
美桜が声をあげて雫を怒ると、出雲が大丈夫ですと言いながら起き上がった。使用人達が水をくれたので出雲は少し辛さが和らいだので起き上がることが出来た。
「雫さんは俺達のために美味しく作ろうとしてくれたんです。 そんなに怒ることはありませんよ」
出雲が美桜を鎮めてくれたので、雫は出雲に抱き着いてありがとうと泣き始めた。
「で、タバスコは全員分のに入れたの?」
美桜が雫に聞くと、雫は出雲のだけですと言った。それを聞いた美桜と使用人達は無縁を撫で下ろした。
「なら大丈夫ね! 夕食を食べましょう!」
出雲が治ったので美桜は夕食を食べましょうと言い、やっと楽しい夕食が始まった。だが、出雲のハンバーグは激辛仕様のままなので、水を大量にウォーターポットに入れて側に置いておく。
出雲は辛い辛いと言いながら美味しけど辛いと何度も言い続けてコップにウォーターポットから水を入れて大量に飲みながら激辛ハンバーグを食べ終えた。美桜は全部食べて偉いわと出雲の頭を撫でながら言うと、汗掻きすぎよと出雲にハンカチを渡した。
「ありがとう! やっぱり激辛すぎた!」
出雲がそう言いながら汗を拭くと、雫が料理ちゃんと習いますと出雲に頭を下げながら言ってくる。
「そこまで思いつめる必要はないですよ! 雫さんの料理美味しいですし、俺のためを思ってですから!」
出雲のその言葉を聞いた雫は涙目になっていた。そして、雫は使用人達に料理を教えてくださいと懇願した。
「え!? 私達にですか!? 雫様は料理できる方かと思いますが……でも、味付けが独特ですが、そこさえ直せば……」
そう言われた雫は、そこの直し方をと使用人達に詰め寄っていた。
「雫のことは放っておいて、試験のためにゆっくり休んでおきなさい。 明日は一日ゆっくりと過ごして、試験に備えると良いわ」
美桜に言われた出雲は、そうするよと返事をして自室に戻っていく。自室に戻ると、出雲は美桜からもらったフィギュアを箱から出してテレビ近くの棚の中に置いていく。そのフィギュアを見ると、この世界にも思い出が沢山出来てきたなと出雲は笑顔になっていた。
「そろそろ風呂に入って寝るか……」
出雲は風呂に向かって身体を洗う。そして、食堂で飲み物を飲んで自室のベットにダイブして布団を被った。出雲は試験頑張って合格して、美桜と楽しい学校生活を送るぞと意気込んで目を閉じて寝ていた。
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