魔王様は学校にいきたい!
光と闇
煌めく白刃、駆け抜ける白銀の稲妻。交わる凶刀、暴威を振るう邪悪の化身。
「どうした勇者アルテミア、その程度か!」
「それは私の台詞っす!」
剣の一振りで大地を割り、天を穿ち、一帯の空間を歪める。伝説に名を残す勇者と邪神、両者の衝突は環境を変えてしまうほど凄まじい。
「ほらほら、遅いっすよ!」
電光石火の立ち回りで、アンナマリアはガレウスを翻弄する。剣の先端は音の壁を超え、衝撃波による爆音を轟かす。
速度においてはアンナマリアの圧勝だ、しかし──。
「弱い、弱すぎる!」
速度においてはアンナマリアの圧勝、しかし膂力においてはガレウスが圧倒しているのだ。その上で四刀を自在に操り、隙のない剣捌きでアンナマリアを寄せつけない。
互いに決め手を欠いたまま、戦いは一段と苛烈を極める。
「実に鬱陶しい、だが……隙あり!」
「うあっ!?」
瞬きほどの微かな間、アンナマリアが足を止めた一瞬を見逃さず、ガレウスは大剣を重ね強烈な一撃を見舞う。
虚を突く一撃をアンナマリアは避けきれず、とはいえこの程度で崩れることはない。咄嗟に剣で防ぎつつ、自ら飛び退ることで衝撃を和らげる。
「所詮は人間、やはり貧弱!」
「それはどうっすかね、第七階梯……!」
「ほほう……」
木の葉のように宙を舞いながら、アンナマリアは輝く魔力を解放する。先ほど足を止めた一瞬の間に、密かに魔力を漲らせていたのである。
「受けて立とう、第七階梯……!」
「神聖魔法、アルティマ・ギブソン!」
「暗黒魔法、ロソ・オブスキアス!」
爛々とうねる光の火柱、燦々と舞い踊る火花。アンナマリアの放った魔法は、まるで神が降臨する一場面のように神々しい。その威力は強力無比、触れる一切合切を光の欠片へと分解する。
対してガレウスの放った魔法は、深淵に蔓延る闇そのもの。底知れぬ暗闇の渦、あるいは漆黒の濁流。万物を闇に引きずり込む、未知なる暗黒の魔法だ。
光は闇を、闇は光を互いに飲み込み消滅する。光と闇の衝突は決着つかず、拮抗状態は続くかに思われたが──。
「時よ縛れっす!」
「むっ、半身が動かぬ!?」
アンナマリアは間髪入れず、時空間魔法でガレウスの動きを拘束。さらには一瞬でガレウスの懐へと潜り込み、袈裟懸けに白刃を振り抜く。これこそアンナマリアの真の狙い、先の神聖魔法は間隙を突くための囮でしかなかったのだ。
ガレウスは反射的に剣を構えるも、虚を突くアンナマリアの一撃に追いつけない。
「ぬおおっ!?」
肩口から腰部にかけて、アンナマリアの振るった剣はガレウスの胴をスルリと抜ける。鎧はまったく意味をなさず、肉は元より骨まで両断、溢れる出る黒い血はヘドロのよう。
「はぁ……はぁ……ふぅ、どんなもんっす!」
「ぬうぅ……流石は勇者アルテミア、見事な一撃だった……」
「ゴミに褒められても嬉しくないっすー」
まさに会心の一撃、闇を断つ光の一閃。だがしかし、明らかな致命傷を負いながらもガレウスは揺らがない。
「見事な一撃だったが、ふぅ……やはり所詮は人間、余を屠るには力不足だ!」
次の瞬間ガレウスは、桁違いの魔力で全身を覆い尽くす。魔力は流れる血と混じり、袈裟懸けの深手を瞬く間に修復。鎧も含めて完全に元通り、なんとも凄まじい再生力である。
「おやおや、魔力をお漏らししてるっすよ」
「ふっ、いつまで減らず口を叩けるかな……」
邪悪なる魔力は静かに広がり、触れる全てを闇色に塗り潰す。濃密な魔力に怯えるかの如く、大気は嘶き震えあがる。
「ここからは全開だ、光栄に思うがいい!」
真なる力を解き放ち、邪悪なる神は一層の暴威を振るう。
「どうした勇者アルテミア、その程度か!」
「それは私の台詞っす!」
剣の一振りで大地を割り、天を穿ち、一帯の空間を歪める。伝説に名を残す勇者と邪神、両者の衝突は環境を変えてしまうほど凄まじい。
「ほらほら、遅いっすよ!」
電光石火の立ち回りで、アンナマリアはガレウスを翻弄する。剣の先端は音の壁を超え、衝撃波による爆音を轟かす。
速度においてはアンナマリアの圧勝だ、しかし──。
「弱い、弱すぎる!」
速度においてはアンナマリアの圧勝、しかし膂力においてはガレウスが圧倒しているのだ。その上で四刀を自在に操り、隙のない剣捌きでアンナマリアを寄せつけない。
互いに決め手を欠いたまま、戦いは一段と苛烈を極める。
「実に鬱陶しい、だが……隙あり!」
「うあっ!?」
瞬きほどの微かな間、アンナマリアが足を止めた一瞬を見逃さず、ガレウスは大剣を重ね強烈な一撃を見舞う。
虚を突く一撃をアンナマリアは避けきれず、とはいえこの程度で崩れることはない。咄嗟に剣で防ぎつつ、自ら飛び退ることで衝撃を和らげる。
「所詮は人間、やはり貧弱!」
「それはどうっすかね、第七階梯……!」
「ほほう……」
木の葉のように宙を舞いながら、アンナマリアは輝く魔力を解放する。先ほど足を止めた一瞬の間に、密かに魔力を漲らせていたのである。
「受けて立とう、第七階梯……!」
「神聖魔法、アルティマ・ギブソン!」
「暗黒魔法、ロソ・オブスキアス!」
爛々とうねる光の火柱、燦々と舞い踊る火花。アンナマリアの放った魔法は、まるで神が降臨する一場面のように神々しい。その威力は強力無比、触れる一切合切を光の欠片へと分解する。
対してガレウスの放った魔法は、深淵に蔓延る闇そのもの。底知れぬ暗闇の渦、あるいは漆黒の濁流。万物を闇に引きずり込む、未知なる暗黒の魔法だ。
光は闇を、闇は光を互いに飲み込み消滅する。光と闇の衝突は決着つかず、拮抗状態は続くかに思われたが──。
「時よ縛れっす!」
「むっ、半身が動かぬ!?」
アンナマリアは間髪入れず、時空間魔法でガレウスの動きを拘束。さらには一瞬でガレウスの懐へと潜り込み、袈裟懸けに白刃を振り抜く。これこそアンナマリアの真の狙い、先の神聖魔法は間隙を突くための囮でしかなかったのだ。
ガレウスは反射的に剣を構えるも、虚を突くアンナマリアの一撃に追いつけない。
「ぬおおっ!?」
肩口から腰部にかけて、アンナマリアの振るった剣はガレウスの胴をスルリと抜ける。鎧はまったく意味をなさず、肉は元より骨まで両断、溢れる出る黒い血はヘドロのよう。
「はぁ……はぁ……ふぅ、どんなもんっす!」
「ぬうぅ……流石は勇者アルテミア、見事な一撃だった……」
「ゴミに褒められても嬉しくないっすー」
まさに会心の一撃、闇を断つ光の一閃。だがしかし、明らかな致命傷を負いながらもガレウスは揺らがない。
「見事な一撃だったが、ふぅ……やはり所詮は人間、余を屠るには力不足だ!」
次の瞬間ガレウスは、桁違いの魔力で全身を覆い尽くす。魔力は流れる血と混じり、袈裟懸けの深手を瞬く間に修復。鎧も含めて完全に元通り、なんとも凄まじい再生力である。
「おやおや、魔力をお漏らししてるっすよ」
「ふっ、いつまで減らず口を叩けるかな……」
邪悪なる魔力は静かに広がり、触れる全てを闇色に塗り潰す。濃密な魔力に怯えるかの如く、大気は嘶き震えあがる。
「ここからは全開だ、光栄に思うがいい!」
真なる力を解き放ち、邪悪なる神は一層の暴威を振るう。
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