魔王様は学校にいきたい!
一難去って──
邪教の軍勢は壊滅し、南ディナール王国は窮地を脱した。しかし情報とは遅れて伝わるもの、デナリウスの町では未だ避難活動が続いていた。
襲いくる脅威から逃れるため、人々は必死に避難場所を目指す。とはいえ混乱している様子はない、その最たる要因は──。
「避難場所は大通りの先よ、焦らずに順番に移動して!」
大通りの隅々まで、路地の奥まで声を響かせ、エリッサが避難を誘導しているのである。王族の声は国民を安心させるもの、エリッサの存在により人々は恐慌状態に陥らず動けているのだ。
「さあご老人、自分の背に乗ってください!」
「こちらですわ、ワタクシについてきて!」
「ケガは私にお任せを、すぐに治しますからね」
エリッサだけではなく、各所では下級クラスの生徒達も大活躍。ベッポとシャルルは老人や子供の補助、ヘンリーは光の魔法で誘導灯を設置、シャルロットとナターシャは避難を先導、そしてオリヴィアはケガ人の介抱。
緊急事態でも慌てることなく、しっかりと役割分担している。ウルリカ様と過ごしてきただけあり、経験の多さと肝の据わり方は子供とは思えない。
「はぁ……はぁ……、息苦しくなってきたわ、でもまだまだ頑張るわよ!」
エリッサはパンッと両頬を叩き、気合を入れて大きく深呼吸。胸いっぱいに空気を吸い込み、大きく口を開けた瞬間──。
「おーいなのじゃ!」
狙い澄ましたかのように、上空よりウルリカ様のお出ましである。エリッサの眼前にストンと着地、突然のウルリカ様登場にエリッサは大慌てだ。
「わあっ、ウルウル!?」
「ぬわっ、ビックリしたのじゃ!」
驚いて絶叫するエリッサ、エリッサの反応に驚くウルリカ様。仲よく一緒にギョッと硬直、なんとも間の抜けた二人である。
「驚いたわ、どうしてここへ?」
「状況を伝えにきたのじゃ、ガレウス邪教団は壊滅したのじゃ」
「ええっ、それは本当なの!?」
「もう安心なのじゃ、避難を急ぐ必要はないのじゃ」
「本当なのね、よかったわ!」
心から安堵したのだろう、エリッサはペタリと座り込んでしまう。緊張から解放され放心状態、どうやら立ちあがれない様子だ。
「はぁ、安心したら力が抜けてしまったわ……」
「頑張ったのじゃ、偉かったのじゃ!」
「はあう……っ」
ウルリカ様に頭を撫でてもらい、真っ赤な顔で大興奮のエリッサ。軟体生物のように姿勢を崩し、この上なく幸せそうに蕩けている。
「よしよしなのじゃ……うむ?」
ガレウス邪教団の危機は去ったはず、だがウルリカ様は不意に眉を潜める。先ほどまでの優しい雰囲気はどこへやら、視線を鋭く周囲をキョロキョロ。
「どうしたのウルウル?」
「妙な気配を感じるのじゃ、これはもしや……」
視線の先はデナリウス宮殿、そしてミーアとアブドゥーラの戦場。交互に視線を移しながら、時折目を閉じ気配を探る。
「やはり、千年振りの気配じゃな……」
呟かれた「千年ぶりの気配」という言葉、その意味は果たして──。
襲いくる脅威から逃れるため、人々は必死に避難場所を目指す。とはいえ混乱している様子はない、その最たる要因は──。
「避難場所は大通りの先よ、焦らずに順番に移動して!」
大通りの隅々まで、路地の奥まで声を響かせ、エリッサが避難を誘導しているのである。王族の声は国民を安心させるもの、エリッサの存在により人々は恐慌状態に陥らず動けているのだ。
「さあご老人、自分の背に乗ってください!」
「こちらですわ、ワタクシについてきて!」
「ケガは私にお任せを、すぐに治しますからね」
エリッサだけではなく、各所では下級クラスの生徒達も大活躍。ベッポとシャルルは老人や子供の補助、ヘンリーは光の魔法で誘導灯を設置、シャルロットとナターシャは避難を先導、そしてオリヴィアはケガ人の介抱。
緊急事態でも慌てることなく、しっかりと役割分担している。ウルリカ様と過ごしてきただけあり、経験の多さと肝の据わり方は子供とは思えない。
「はぁ……はぁ……、息苦しくなってきたわ、でもまだまだ頑張るわよ!」
エリッサはパンッと両頬を叩き、気合を入れて大きく深呼吸。胸いっぱいに空気を吸い込み、大きく口を開けた瞬間──。
「おーいなのじゃ!」
狙い澄ましたかのように、上空よりウルリカ様のお出ましである。エリッサの眼前にストンと着地、突然のウルリカ様登場にエリッサは大慌てだ。
「わあっ、ウルウル!?」
「ぬわっ、ビックリしたのじゃ!」
驚いて絶叫するエリッサ、エリッサの反応に驚くウルリカ様。仲よく一緒にギョッと硬直、なんとも間の抜けた二人である。
「驚いたわ、どうしてここへ?」
「状況を伝えにきたのじゃ、ガレウス邪教団は壊滅したのじゃ」
「ええっ、それは本当なの!?」
「もう安心なのじゃ、避難を急ぐ必要はないのじゃ」
「本当なのね、よかったわ!」
心から安堵したのだろう、エリッサはペタリと座り込んでしまう。緊張から解放され放心状態、どうやら立ちあがれない様子だ。
「はぁ、安心したら力が抜けてしまったわ……」
「頑張ったのじゃ、偉かったのじゃ!」
「はあう……っ」
ウルリカ様に頭を撫でてもらい、真っ赤な顔で大興奮のエリッサ。軟体生物のように姿勢を崩し、この上なく幸せそうに蕩けている。
「よしよしなのじゃ……うむ?」
ガレウス邪教団の危機は去ったはず、だがウルリカ様は不意に眉を潜める。先ほどまでの優しい雰囲気はどこへやら、視線を鋭く周囲をキョロキョロ。
「どうしたのウルウル?」
「妙な気配を感じるのじゃ、これはもしや……」
視線の先はデナリウス宮殿、そしてミーアとアブドゥーラの戦場。交互に視線を移しながら、時折目を閉じ気配を探る。
「やはり、千年振りの気配じゃな……」
呟かれた「千年ぶりの気配」という言葉、その意味は果たして──。
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