魔王様は学校にいきたい!
二日目
運動会は二日目に突入、一日目に続いてどの競技も大盛りあがりだ。
中でも障害物競争は一際人気を博していた。参加者は工夫を凝らし、様々な障害物を攻略していく──。
「ぬおおおっ、突貫だーっ!」
工夫を凝らし障害物を攻略していく競技であるはずなのだが、なんとシャルルは強靭な肉体で、全ての障害物を強行突破していた。ナターシャやハインリヒ、後続の参加者を引き離して独走状態である。
「くそっ、追いつけない!」
「シャルルさん、それは反則ですよ!」
「障害物の攻略方法に決まりはない、すなわち反則ではなーいっ!」
確かにシャルルの言う通り、障害物の攻略方法に決まりはない。それにしても強引すぎる攻略方法だ、しかしその強引さに観客は大興奮である。
「ぬうんっ、障害物など筋肉の前には無力!」
そして勢いのままシャルルは障害物競争を制覇、筋肉の力は凄まじいものだ。
ちなみにウルリカ様とリィアンは、山盛りお菓子という甘々な障害物の虜となり、競技終了までお菓子を食べ続けていたという。
時刻はお昼、しばし競技はお休みして休息の時間である。
生徒達は校庭の端々で、ワイワイ昼食を楽しんでいる。下級クラスも一ヶ所に集まり、皆でオリヴィアのお手製弁当をパクパク。
「二日目も楽しいのじゃ、やはり運動会は最高なのじゃ!」
「ここからさらに盛りあがりますよ、午後は剣術合戦と剣術大会です!」
「ナターシャ嬢の得意競技だな、しかし自分も負けるつもりはない!」
「うむ! ところで剣術合戦と剣術大会とは、一体どんな競技なのじゃろうな?」
「ええっ!? 何度も説明したじゃないですか!」
「そうじゃったかの?」
特訓を行う中で競技についての説明を受けているはず、にもかかわらずウルリカ様は首を傾げてキョトンである。
「はぁ……ではもう一度説明しますよ」
「よろしく頼むのじゃ」
「まず剣術合戦とは、参加者全員で一斉に戦う混戦競技です。腰に括りつけた風船を守りながら、木刀を使って他者の風船を割るのです。そして、最後まで風船を守った一名の優勝です!」
「ふむふむ」
「そして剣術大会は、一対一で剣術の試合を繰り返し、最も強い一名を決める勝ち残り競技です。どちらも最高に盛りあがる、運動会の目玉競技なのですよ!」
「なるほどなのじゃ、楽しみなのじゃ!」
剣術合戦と剣術大会、形は違えど剣術に特化した競技である。ロームルス学園の生徒は、剣術実技の入学試験を突破した者ばかり。つまり腕に覚えのある生徒も多いはず、どちらの競技も盛りあがること間違いなしだ。
「参加者はウルリカ嬢、ナターシャ嬢、リィアン嬢、そして自分だな!」
「リィは剣術って苦手なんだけど……でも絶対に負けないんだから!」
「目指せ優勝なのじゃー!」
「その意気だ騎士達よ! 全身全霊で剣を振るい、必ず勝利を掴み取るのだ!」
「お姉様、この中に騎士は一人もいませんのよ……」
こうして運動会は佳境に入る、午後の部最初の競技は剣術合戦だ。
剣術合戦、それは合戦とは名ばかりの乱闘競技である。
参加者全員入り乱れての激しい戦いにより、あっという間に半数以上の生徒は脱落してしまう、そんな中──。
「やあああっ!」
見事な剣捌きで快進撃を続けるナターシャ。日々のたゆまぬ訓練に加え、エリザベスとの激しい特訓により、聖騎士顔負けの剣捌きを身につけていた。
「ふんっ、隙あり!」
ナターシャに負けず劣らず、ハインリヒの活躍も目を見張るものがある。ナターシャとはまた違った、流水を思わせる美しい剣捌きだ。
「遅い遅ーいっ!」
剣術は苦手と言っていたリィアン、しかしその活躍は凄まじい。目にも止まらぬ俊敏な動きで、他の参加者を圧倒している。
参加者の中でも三名の実力は頭一つ抜けている、ちなみに──。
「むうぅ、また転んでしまったのじゃ……」
「くっ、またウルリカ嬢に巻き込まれるとは……」
ウルリカ様は早々に転んでしまい、シャルルを巻き込んで脱落していた。原因は言わずもがな、お菓子に目を奪われたのである。二度もウルリカ様のドジに巻き込まれるとは、まったくシャルルは可哀そうでならない。
一方、生き残りをかけた戦いは、ナターシャ、ハインリヒ、リィアンの三名による決戦へと突入していた。地力では魔人であるリィアンが一歩優勢、猛攻に次ぐ猛攻でナターシャとハインリヒを追い詰めていく。
「ふふんっ、リィの勝ちで決まりだね!」
「凄いです、やりますねリィアンさん!」
「確かに手強い、しかし負けるわけにはいかん!」
このままではジリ貧だと判断し、ハインリヒは防御を捨てた渾身の一撃を繰り出す。一か八かの賭けに出たのだ、しかしリィアンには掠りもしない。やはり魔人であるリィアンの身体能力は、人間のそれとは比べ物にならない。決死のハインリヒとは対照的に、リィアンは鼻歌を歌って余裕綽々である。
だが──。
「隙だらけです!」
「「なっ!?」」
そんなリィアンの慢心を、ナターシャは見逃していなかった。針に糸を通すような剣捌きで、ハインリヒとリィアンの風船を同時に叩き割ったのだ。
「はぁ……はぁ……、やりました!」
「ナターシャ凄い、躱しきれなかったよ」
「なんということだ、不覚……っ」
なんとも劇的な展開に観客は大興奮。参加者もナターシャの勝利を喜び、惜しみない祝福を送っている。
「素晴らしいのじゃ、やはりナターシャの才能は本物じゃな!」
「あれこそ鍛錬の結晶だ、実に見事な剣だった!」
特にウルリカ様とエリザベスは、誰よりもナターシャの勝利を喜んでいた。
入学試験の時からナターシャの才能を見抜いていたウルリカ様、そして日頃から一緒に訓練をしているエリザベス。二人にとってナターシャの勝利は、何よりも嬉しいものだろう。
こうして剣術合戦はナターシャの勝利で決着。いよいよ次は最後の競技、剣術大会である。
中でも障害物競争は一際人気を博していた。参加者は工夫を凝らし、様々な障害物を攻略していく──。
「ぬおおおっ、突貫だーっ!」
工夫を凝らし障害物を攻略していく競技であるはずなのだが、なんとシャルルは強靭な肉体で、全ての障害物を強行突破していた。ナターシャやハインリヒ、後続の参加者を引き離して独走状態である。
「くそっ、追いつけない!」
「シャルルさん、それは反則ですよ!」
「障害物の攻略方法に決まりはない、すなわち反則ではなーいっ!」
確かにシャルルの言う通り、障害物の攻略方法に決まりはない。それにしても強引すぎる攻略方法だ、しかしその強引さに観客は大興奮である。
「ぬうんっ、障害物など筋肉の前には無力!」
そして勢いのままシャルルは障害物競争を制覇、筋肉の力は凄まじいものだ。
ちなみにウルリカ様とリィアンは、山盛りお菓子という甘々な障害物の虜となり、競技終了までお菓子を食べ続けていたという。
時刻はお昼、しばし競技はお休みして休息の時間である。
生徒達は校庭の端々で、ワイワイ昼食を楽しんでいる。下級クラスも一ヶ所に集まり、皆でオリヴィアのお手製弁当をパクパク。
「二日目も楽しいのじゃ、やはり運動会は最高なのじゃ!」
「ここからさらに盛りあがりますよ、午後は剣術合戦と剣術大会です!」
「ナターシャ嬢の得意競技だな、しかし自分も負けるつもりはない!」
「うむ! ところで剣術合戦と剣術大会とは、一体どんな競技なのじゃろうな?」
「ええっ!? 何度も説明したじゃないですか!」
「そうじゃったかの?」
特訓を行う中で競技についての説明を受けているはず、にもかかわらずウルリカ様は首を傾げてキョトンである。
「はぁ……ではもう一度説明しますよ」
「よろしく頼むのじゃ」
「まず剣術合戦とは、参加者全員で一斉に戦う混戦競技です。腰に括りつけた風船を守りながら、木刀を使って他者の風船を割るのです。そして、最後まで風船を守った一名の優勝です!」
「ふむふむ」
「そして剣術大会は、一対一で剣術の試合を繰り返し、最も強い一名を決める勝ち残り競技です。どちらも最高に盛りあがる、運動会の目玉競技なのですよ!」
「なるほどなのじゃ、楽しみなのじゃ!」
剣術合戦と剣術大会、形は違えど剣術に特化した競技である。ロームルス学園の生徒は、剣術実技の入学試験を突破した者ばかり。つまり腕に覚えのある生徒も多いはず、どちらの競技も盛りあがること間違いなしだ。
「参加者はウルリカ嬢、ナターシャ嬢、リィアン嬢、そして自分だな!」
「リィは剣術って苦手なんだけど……でも絶対に負けないんだから!」
「目指せ優勝なのじゃー!」
「その意気だ騎士達よ! 全身全霊で剣を振るい、必ず勝利を掴み取るのだ!」
「お姉様、この中に騎士は一人もいませんのよ……」
こうして運動会は佳境に入る、午後の部最初の競技は剣術合戦だ。
剣術合戦、それは合戦とは名ばかりの乱闘競技である。
参加者全員入り乱れての激しい戦いにより、あっという間に半数以上の生徒は脱落してしまう、そんな中──。
「やあああっ!」
見事な剣捌きで快進撃を続けるナターシャ。日々のたゆまぬ訓練に加え、エリザベスとの激しい特訓により、聖騎士顔負けの剣捌きを身につけていた。
「ふんっ、隙あり!」
ナターシャに負けず劣らず、ハインリヒの活躍も目を見張るものがある。ナターシャとはまた違った、流水を思わせる美しい剣捌きだ。
「遅い遅ーいっ!」
剣術は苦手と言っていたリィアン、しかしその活躍は凄まじい。目にも止まらぬ俊敏な動きで、他の参加者を圧倒している。
参加者の中でも三名の実力は頭一つ抜けている、ちなみに──。
「むうぅ、また転んでしまったのじゃ……」
「くっ、またウルリカ嬢に巻き込まれるとは……」
ウルリカ様は早々に転んでしまい、シャルルを巻き込んで脱落していた。原因は言わずもがな、お菓子に目を奪われたのである。二度もウルリカ様のドジに巻き込まれるとは、まったくシャルルは可哀そうでならない。
一方、生き残りをかけた戦いは、ナターシャ、ハインリヒ、リィアンの三名による決戦へと突入していた。地力では魔人であるリィアンが一歩優勢、猛攻に次ぐ猛攻でナターシャとハインリヒを追い詰めていく。
「ふふんっ、リィの勝ちで決まりだね!」
「凄いです、やりますねリィアンさん!」
「確かに手強い、しかし負けるわけにはいかん!」
このままではジリ貧だと判断し、ハインリヒは防御を捨てた渾身の一撃を繰り出す。一か八かの賭けに出たのだ、しかしリィアンには掠りもしない。やはり魔人であるリィアンの身体能力は、人間のそれとは比べ物にならない。決死のハインリヒとは対照的に、リィアンは鼻歌を歌って余裕綽々である。
だが──。
「隙だらけです!」
「「なっ!?」」
そんなリィアンの慢心を、ナターシャは見逃していなかった。針に糸を通すような剣捌きで、ハインリヒとリィアンの風船を同時に叩き割ったのだ。
「はぁ……はぁ……、やりました!」
「ナターシャ凄い、躱しきれなかったよ」
「なんということだ、不覚……っ」
なんとも劇的な展開に観客は大興奮。参加者もナターシャの勝利を喜び、惜しみない祝福を送っている。
「素晴らしいのじゃ、やはりナターシャの才能は本物じゃな!」
「あれこそ鍛錬の結晶だ、実に見事な剣だった!」
特にウルリカ様とエリザベスは、誰よりもナターシャの勝利を喜んでいた。
入学試験の時からナターシャの才能を見抜いていたウルリカ様、そして日頃から一緒に訓練をしているエリザベス。二人にとってナターシャの勝利は、何よりも嬉しいものだろう。
こうして剣術合戦はナターシャの勝利で決着。いよいよ次は最後の競技、剣術大会である。
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