魔王様は学校にいきたい!
温泉
楽しい時間はあっという間、時刻はすっかり夕暮れ時。
場所は移ってラグナクロス領、炎帝ミーアの支配する炎と氷の帝国である。なぜラグナクロス領を訪れているかというと──。
「皆で一緒に温泉なのじゃー!」
ラグナクロス領は火山地帯、火山地帯といえば温泉。というわけで温泉を楽しみにきた次第である。
「わーいなのじゃ、楽しいのじゃー!」
ウルリカ様は元気いっぱいにお湯の上を走り回っている、もちろん一糸纏わぬ尊いお姿。ここにゼーファードでもいようものなら、鼻血の海を作り出していることだろう。
「待ってくださいウルリカ様、走ると転んでしまいますよ」
「どこへいってもウルリカさんは走り回るのですね、そしてリヴィは追いかけるのですね」
「もはや恒例行事ですわ……あっ、ウルリカが転びましたわよ」
「アハハッ、ウルリカ様ってば可愛い!」
温泉に浸かっているのは、ウルリカ様、オリヴィア、シャルロット、ナターシャの四人。そしてラグナクロス領の主、炎帝ミーア・ラグナクロスである。
「ミーア様、この度は温泉に誘っていただきありがとうございます」
「お礼を言うのはアタイ達の方、魔界へ遊びにきてくれてありがとう!」
「巨人と一緒に温泉だなんて、人間界では出来ない体験ですね!」
「喜んでもらえてよかった、頑張って改造した甲斐あったよ!」
なんとこの温泉、巨人であるミーアも人間と一緒に浸かれる特別仕様の温泉なのである。ミーアの浸かる場所のみを数段深く掘り下げているのだ。どうやらミーアは昼の間、温泉を特別仕様に改造していたらしい。
「そうだ、ミーアさんも私達と友達になってください!」
「友達?」
「だってミーアさん、凄く楽しくてステキだから!」
「何言ってるのナターシャ、アタイ達はもう友達でしょ? 裸のお付きあいをすれば誰だって友達だよ!」
「わあ、とっても嬉しいです!」
ヴァーミリアに続きミーアとも友達になってしまった、なんとも交友関係の広い三人娘である。
「ところでミーアのお肌はスベスベですわね、見惚れてしまいますわ」
「ありがとうシャルロット、毎日温泉に浸かってるからね」
「温泉に浸かるとお肌スベスベになりますの?」
「もちろん、温泉の成分でお肌スベスベになるんだから!」
「「「!」」」
お肌スベスベと聞いた瞬間、オリヴィア、シャルロット、ナターシャはトプンと頭までお湯に浸かってしまう。三人とも十分スベスベだろうに、そんなにお肌スベスベになりたいのだろうか。
一方のウルリカ様は、パシャパシャと温泉を泳ぎ回っていた。先ほど転んだ教訓を活かし、走り回るのをやめて泳ぎ回ることにした模様。
「ねえねえウルリカ様、どうしてアタイは一度も人間界に呼んでもらえないのですか?」
「ふむ、一度も呼んでおらんかったかの?」
「呼ばれてませんよ!」
ミーアは両手をブンブン振り回し召喚されていないことに猛抗議。可愛らしい仕草ではあるが、忘れるなかれミーアは巨人なのである。身動ぎ一つしようものなら、温泉に大きな波を立ててしまうのだ。
「これこれミーアよ、暴れてはダメなのじゃ」
「次は絶対にアタイを呼んでください!」
「分かったから落ちつくのじゃ」
「やった、約束ですからね!」
興奮したミーアは勢いよく立ちあがる、同時に温泉は大きく波立ち──。
「「「きゃあぁー……」」」
オリヴィア、シャルロット、ナターシャはお湯の波に流されてしまう。すぐに浅瀬へ打ちあげられ、大事には至ってない様子。
「ウルリカ様、大好きですーっ!」
「ぐえっ、苦しいのじゃ……」
一方のウルリカ様は、ミーアの巨体にギュッと抱き締められ苦しそう。抱き締められているというより、包み込まれていると表現するべきであろうか。
ともあれ幸せそうなミーア、人間界に召喚される日はいつになるだろうか。
一方そのころ。
「いい湯だ……」
ゼノン王は一人ポツンと温泉に浸かっていた、ようやく二日酔いから復活したのだ。
「いい湯だな……しかし寂しいな……」
だだっ広い男湯に一人、完全に広さを持て余している。
「それにしても女湯は楽しそうだな、羨ましいことだ」
巨大な壁の向こうから聞える、楽しそうな黄色い声。壁一枚隔てて男湯と女湯は繋がっているらしい。
楽しそうな女湯を羨みながら、しっぽり温泉に浸かっていると──。
「いい湯ごぼぼっ!?」
壁を乗り越え襲いくる猛烈なお湯の滝。ミーアの起こした大波に巻き込まれ、哀れにも温泉の彼方へと流されるゼノン王なのであった。
場所は移ってラグナクロス領、炎帝ミーアの支配する炎と氷の帝国である。なぜラグナクロス領を訪れているかというと──。
「皆で一緒に温泉なのじゃー!」
ラグナクロス領は火山地帯、火山地帯といえば温泉。というわけで温泉を楽しみにきた次第である。
「わーいなのじゃ、楽しいのじゃー!」
ウルリカ様は元気いっぱいにお湯の上を走り回っている、もちろん一糸纏わぬ尊いお姿。ここにゼーファードでもいようものなら、鼻血の海を作り出していることだろう。
「待ってくださいウルリカ様、走ると転んでしまいますよ」
「どこへいってもウルリカさんは走り回るのですね、そしてリヴィは追いかけるのですね」
「もはや恒例行事ですわ……あっ、ウルリカが転びましたわよ」
「アハハッ、ウルリカ様ってば可愛い!」
温泉に浸かっているのは、ウルリカ様、オリヴィア、シャルロット、ナターシャの四人。そしてラグナクロス領の主、炎帝ミーア・ラグナクロスである。
「ミーア様、この度は温泉に誘っていただきありがとうございます」
「お礼を言うのはアタイ達の方、魔界へ遊びにきてくれてありがとう!」
「巨人と一緒に温泉だなんて、人間界では出来ない体験ですね!」
「喜んでもらえてよかった、頑張って改造した甲斐あったよ!」
なんとこの温泉、巨人であるミーアも人間と一緒に浸かれる特別仕様の温泉なのである。ミーアの浸かる場所のみを数段深く掘り下げているのだ。どうやらミーアは昼の間、温泉を特別仕様に改造していたらしい。
「そうだ、ミーアさんも私達と友達になってください!」
「友達?」
「だってミーアさん、凄く楽しくてステキだから!」
「何言ってるのナターシャ、アタイ達はもう友達でしょ? 裸のお付きあいをすれば誰だって友達だよ!」
「わあ、とっても嬉しいです!」
ヴァーミリアに続きミーアとも友達になってしまった、なんとも交友関係の広い三人娘である。
「ところでミーアのお肌はスベスベですわね、見惚れてしまいますわ」
「ありがとうシャルロット、毎日温泉に浸かってるからね」
「温泉に浸かるとお肌スベスベになりますの?」
「もちろん、温泉の成分でお肌スベスベになるんだから!」
「「「!」」」
お肌スベスベと聞いた瞬間、オリヴィア、シャルロット、ナターシャはトプンと頭までお湯に浸かってしまう。三人とも十分スベスベだろうに、そんなにお肌スベスベになりたいのだろうか。
一方のウルリカ様は、パシャパシャと温泉を泳ぎ回っていた。先ほど転んだ教訓を活かし、走り回るのをやめて泳ぎ回ることにした模様。
「ねえねえウルリカ様、どうしてアタイは一度も人間界に呼んでもらえないのですか?」
「ふむ、一度も呼んでおらんかったかの?」
「呼ばれてませんよ!」
ミーアは両手をブンブン振り回し召喚されていないことに猛抗議。可愛らしい仕草ではあるが、忘れるなかれミーアは巨人なのである。身動ぎ一つしようものなら、温泉に大きな波を立ててしまうのだ。
「これこれミーアよ、暴れてはダメなのじゃ」
「次は絶対にアタイを呼んでください!」
「分かったから落ちつくのじゃ」
「やった、約束ですからね!」
興奮したミーアは勢いよく立ちあがる、同時に温泉は大きく波立ち──。
「「「きゃあぁー……」」」
オリヴィア、シャルロット、ナターシャはお湯の波に流されてしまう。すぐに浅瀬へ打ちあげられ、大事には至ってない様子。
「ウルリカ様、大好きですーっ!」
「ぐえっ、苦しいのじゃ……」
一方のウルリカ様は、ミーアの巨体にギュッと抱き締められ苦しそう。抱き締められているというより、包み込まれていると表現するべきであろうか。
ともあれ幸せそうなミーア、人間界に召喚される日はいつになるだろうか。
一方そのころ。
「いい湯だ……」
ゼノン王は一人ポツンと温泉に浸かっていた、ようやく二日酔いから復活したのだ。
「いい湯だな……しかし寂しいな……」
だだっ広い男湯に一人、完全に広さを持て余している。
「それにしても女湯は楽しそうだな、羨ましいことだ」
巨大な壁の向こうから聞える、楽しそうな黄色い声。壁一枚隔てて男湯と女湯は繋がっているらしい。
楽しそうな女湯を羨みながら、しっぽり温泉に浸かっていると──。
「いい湯ごぼぼっ!?」
壁を乗り越え襲いくる猛烈なお湯の滝。ミーアの起こした大波に巻き込まれ、哀れにも温泉の彼方へと流されるゼノン王なのであった。
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