魔王様は学校にいきたい!

ゆにこーん / UnicornNovel

聖騎士の誓い

 魔人リィアンの襲撃から一夜明け、戦いに参加した聖騎士達はロームルス城の会議室に集まっていた。
 円卓を囲む聖騎士は五人、ガーランド、パルチヴァール、トーレス、そしてスカーレットとカイウスである。魔物との戦いで負ったケガは、治癒魔法により治療されているようだ。

「建物の被害は甚大、だが幸いにも犠牲者は出なかった」

 被害状況を告げているのはゼノン王である。聖騎士達へと向ける視線は、刃のように鋭く冷たい。

「問題はお前達の戦い方だ、敵前にもかかわらず仲間内でいざこざを起こしたそうだな。一体どういう了見か説明してみろ」

 ゼノン王の迫力は歴戦の聖騎士ですら身を縮めるほどである。そんな中ガーランドだけは怯むことなく立ちあがり、ゼノン王へと深く頭を下げる。

「責任は全て俺にあります、如何ような処分でもお受けいたします」

「「ガーランド様!?」」

 ガーランドの唐突な発言に、パルチヴァールとトーレスは大慌てである。

「ガーランド様一人で処分を受けるなどありえません!」

「……ならば俺達も処分を受ける!」

「パルチヴァール、トーレス、お前達の気持ちはありがたい。しかし責任を取るべきは俺だ、全ては俺の失態なのだ」

「「ガーランド様……」」

「くだらぬ自尊心で行動し、お前達まで危険な目にあわせた。すまなかったな……」

 重苦しい沈黙の中、唐突に扉が開かれる。

「待たせたな、腕の治療に手間取った!」

 現れたのはエリザベスだ。重苦しい空気を吹き飛ばすように、治療したばかりの右腕をブンブンと振り回している。

「治癒魔法とは凄いものだな、折れた腕も一晩で元通りだ……ん? ずいぶんと静かだな?」

「エリザベス様にも悪いことをした、どうか謝罪させてほしい」

「どうしたガーランド? 私に頭を下げるなんてらしくないぞ?」

「本当にすまなかった、全ての責任は俺が取る」

「もしやガーランドは熱でもあるのか? 昨日の戦いで頭でも打ったか?」

 事情を飲み込めていないエリザベスに、スカーレットはそっと耳打ちをする。

「先日の戦いで聖騎士同士いざこざを起こした件、ゼノン陛下はとてもお怒りなのです。それでガーランドは責任を取ると言っているのです」

「そういうことか、だったら責任を取るべきは私じゃないか」

「「はっ!?」」

 エリザベスの思わぬ発言に、スカーレットとカイウスは大慌てである。

「私は聖騎士筆頭だ、責任を取るべきは筆頭である私に決まっている」

「待ってくださいよエリザベス様──」

「すまなかったなガーランド、サンダーバードを抑えてくれてありがとう。パルチヴァールとトーレスも大事なくてよかった、これからもロムルス王国を守ってくれよ!」

 スカーレットの制止も聞かず、エリザベスは順々に頭を下げていく。

「ということで父上、全ては私の責任だ! 他の誰にも責任は負わせないでくれ!」

「ほう……」

 エリザベスの毅然とした態度を見て、ゼノン王はどこか満足気だ。

「誰かに責任を負わせようとは思っておらん、お前達には引き続きロムルス王国を守ってもらう。しかし一つだけ誓ってもらうぞ!」

 そう言うとゼノン王は立ちあがり、六人の聖騎士へと視線を送る。

「二度と下らんいざこざなど起こすな! 聖騎士の誇りにかけ、団結しロムルス王国を守り抜くと誓え!」

 ゼノン王の檄を受け、六人の聖騎士は姿勢を正し敬礼する。

「「「「「はっ!」」」」」

 こうして聖騎士達は誓いを胸に、より強く結束を固めるのであった。

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