魔王様は学校にいきたい!
課外授業
ロアーナの町。
ロムルス王国北部の国境付近に位置する、高原地帯の小さな町である。豊かな自然に囲まれたこの町に、賑やかな声が響いていた。
「みんなでお出かけなのじゃ! 楽しいのじゃー!」
「ウルリカ様ー! 待ってくださーい!」
両手をブンブンと振り回しながら、元気いっぱいに走り回るウルリカ様。追いかけるオリヴィアはとても大変そうだ。
少し離れた場所では、下級クラスの仲間達が優しく見守っている。そしてもう一人──。
「さあみんな、ロアーナの町に到着よ!」
ロムルス王国の女王、ヴィクトリアも一緒である。この日は下級クラスの先生として、生徒達を引率しているようだ。
「楽しみなのじゃ! 楽しみなのじゃ!」
「ふふっ、ウルリカちゃんは元気いっぱいね」
「はじめての課外授業じゃからな! ワクワクなのじゃ!」
ウルリカ様が言った通り、この日は下級クラスにとって初となる課外授業なのである。
初の課外授業にワクワクが止まらないウルリカ様。もちろんワクワクしているのはウルリカ様だけではない。
「落ち着いた雰囲気の町ですわね、ステキな課外授業になりそうですわ!」
「自然豊かで美しい町だ、素晴らしい課外授業になること間違いなし!」
「そう言ってもらえると嬉しいわ。ありがとうシャルル君、シャルロット」
「確かロアーナの町は、ヴィクトリア先生の故郷でしたよね?」
「その通りよヘンリー君、よく知っていたわね」
「ヴィクトリア先生の故郷だから、ロアーナの町を課外授業先に選んだのですか?」
「それは違うわよナターシャちゃん。ロアーナの町はロムルス王国の古い伝統や文化を残す町、ロムルス王国の歴史を知るにはうってつけの町なのよ」
「つまり今回の課外授業では、ロアーナの町で伝統や文化に触れながら、ロムルス王国の歴史を学ぶというわけですね」
「その通り! 正解よベッポ君!」
パチパチと拍手をするヴィクトリア女王、生徒達に負けず劣らず楽しそうだ。するとそこへ、興奮したウルリカ様が勢いよく走ってくる。
「ヴィクトリア先生ー! そろそろ課外授業をはじめ──うむ?」
勢いよく走ってきたかと思いきや、ピタリと動きを止めてしまうウルリカ様。グルグルと首を回しながら、クンクンと鼻を上下に動かしている。
「なにやら甘い匂いがするのじゃ……むむっ! あそこのお店からなのじゃ!」
「あそこはロアーナの郷土菓子を売っているお店ね、とっても甘くておいしいお菓子よ」
「なんじゃと!?」
お菓子と聞いたウルリカ様は、獣のようにギンッと目を光らせる。郷土菓子のお店に狙いを定めて、今にも飛び出していきそうだ。
「ふふっ、ねえウルリカちゃん? せっかくだから食べてきたらどうかしら?」
「なに! 食べてよいのか!?」
「郷土菓子を食べることも、文化を学ぶことに繋がると思うわよ?」
「うむ、間違いないのじゃ! そうと決まればロティよ、早く食べにいくのじゃ!」
「えっ、ワタクシは──」
「いくのじゃロティー!!」
「──きゃあぁっ!?」
興奮したウルリカ様は、シャルロットの手を掴んでお店の方へと突撃していく。元気すぎるウルリカ様の様子に、クラスメイト達からドッと笑いが溢れる。しかし振り回されているシャルロットは、たまったものではないだろう。
「さあ、みんなも課外授業を楽しみましょう!」
大盛りあがりの中、ヴィクトリア女王の号令でいよいよ課外授業のはじまりだ、と思われたその時──。
「なっ、母上!?」
「どうしてお母様がここに……!?」
突然声をかけられて振り返るヴィクトリア女王。そこにはロムルス王国第一王女クリスティーナと、第二王女エリザベスの姿があった。
ロムルス王国北部の国境付近に位置する、高原地帯の小さな町である。豊かな自然に囲まれたこの町に、賑やかな声が響いていた。
「みんなでお出かけなのじゃ! 楽しいのじゃー!」
「ウルリカ様ー! 待ってくださーい!」
両手をブンブンと振り回しながら、元気いっぱいに走り回るウルリカ様。追いかけるオリヴィアはとても大変そうだ。
少し離れた場所では、下級クラスの仲間達が優しく見守っている。そしてもう一人──。
「さあみんな、ロアーナの町に到着よ!」
ロムルス王国の女王、ヴィクトリアも一緒である。この日は下級クラスの先生として、生徒達を引率しているようだ。
「楽しみなのじゃ! 楽しみなのじゃ!」
「ふふっ、ウルリカちゃんは元気いっぱいね」
「はじめての課外授業じゃからな! ワクワクなのじゃ!」
ウルリカ様が言った通り、この日は下級クラスにとって初となる課外授業なのである。
初の課外授業にワクワクが止まらないウルリカ様。もちろんワクワクしているのはウルリカ様だけではない。
「落ち着いた雰囲気の町ですわね、ステキな課外授業になりそうですわ!」
「自然豊かで美しい町だ、素晴らしい課外授業になること間違いなし!」
「そう言ってもらえると嬉しいわ。ありがとうシャルル君、シャルロット」
「確かロアーナの町は、ヴィクトリア先生の故郷でしたよね?」
「その通りよヘンリー君、よく知っていたわね」
「ヴィクトリア先生の故郷だから、ロアーナの町を課外授業先に選んだのですか?」
「それは違うわよナターシャちゃん。ロアーナの町はロムルス王国の古い伝統や文化を残す町、ロムルス王国の歴史を知るにはうってつけの町なのよ」
「つまり今回の課外授業では、ロアーナの町で伝統や文化に触れながら、ロムルス王国の歴史を学ぶというわけですね」
「その通り! 正解よベッポ君!」
パチパチと拍手をするヴィクトリア女王、生徒達に負けず劣らず楽しそうだ。するとそこへ、興奮したウルリカ様が勢いよく走ってくる。
「ヴィクトリア先生ー! そろそろ課外授業をはじめ──うむ?」
勢いよく走ってきたかと思いきや、ピタリと動きを止めてしまうウルリカ様。グルグルと首を回しながら、クンクンと鼻を上下に動かしている。
「なにやら甘い匂いがするのじゃ……むむっ! あそこのお店からなのじゃ!」
「あそこはロアーナの郷土菓子を売っているお店ね、とっても甘くておいしいお菓子よ」
「なんじゃと!?」
お菓子と聞いたウルリカ様は、獣のようにギンッと目を光らせる。郷土菓子のお店に狙いを定めて、今にも飛び出していきそうだ。
「ふふっ、ねえウルリカちゃん? せっかくだから食べてきたらどうかしら?」
「なに! 食べてよいのか!?」
「郷土菓子を食べることも、文化を学ぶことに繋がると思うわよ?」
「うむ、間違いないのじゃ! そうと決まればロティよ、早く食べにいくのじゃ!」
「えっ、ワタクシは──」
「いくのじゃロティー!!」
「──きゃあぁっ!?」
興奮したウルリカ様は、シャルロットの手を掴んでお店の方へと突撃していく。元気すぎるウルリカ様の様子に、クラスメイト達からドッと笑いが溢れる。しかし振り回されているシャルロットは、たまったものではないだろう。
「さあ、みんなも課外授業を楽しみましょう!」
大盛りあがりの中、ヴィクトリア女王の号令でいよいよ課外授業のはじまりだ、と思われたその時──。
「なっ、母上!?」
「どうしてお母様がここに……!?」
突然声をかけられて振り返るヴィクトリア女王。そこにはロムルス王国第一王女クリスティーナと、第二王女エリザベスの姿があった。
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