つまらない人生を無双で変える

黒熊

序章つまらない人生


 あー、つまらない。本当につまらない。
なんでこんなにつまらないの?思えば小さい時からそうだった。

 お母さんを捨てて若い女の人と出ていったお父さん。

 お父さんに捨てられて、酒に溺れ、お父さんと同じように男を作って私を孤児院の前へと捨てていったお母さん。

 数年後に迎えに来てくれた母方の祖母。でもそれは、長男家族が全員死んで跡取りがいなくなったから。毎日、勉強しろと部屋に閉じ込められた。

 中学二年生の時、私を襲おうとした祖父。血が繋がっているというのに、我慢が効かなかったと言い訳をしながら、警察に連れて行かれた。

 高校一年生の時、好きな人をとられたと言って私をいじめ始めた親友だった女。私が何度も違うと言っても聞き入れてくれなかった。


 誰も私自身を見てくれなかった。私のことを信じてくれなかった。皆自分のことばかり。どうしてこんな人生になったんだろう。


 高校二年生の時、いじめの相談に乗ってくれた先輩。好きと言ってくれて嬉しかった。でも私は聞いてしまった。体育館の裏で「あいつ、俺に惚れてるからすぐに股開くぜ。飽きたらお前らにもヤらせてやるぜ。本当に体だけはいい女だよなー。」と言っていたのを。

 高校三年生になった。受験に臨むため担任に相談したら、「あなたは○○家だからコネでも入れるでしょ。まったく、時間取らせないでよね。私があんたにかける手間なんてないんだから」と言われた。そのあと担任を尋ねたクラスメイトが言っていた。「○○先生本当にいい先生だよねー。」

 本当に嘘ばかりな人生だった。つまらない。つまらない、つまらない。



  本当につまらない。



 せめて人生の最後はつまらないようにしたいと思ったけど、私が選んだ死に場所は誰も知らない山奥にある崖。高さだけはとっても高くて、そのほかはとっても地味。私の何もかもがつまらない。もしかしたら私自身がつまらない。でも、それももう終わり。ここで人生の糸を切って何もかも捨てて死んでやる。私を捨てた両親のように。もう全てがつまらない。


 私は次の人生がつまらなければいいのにと思いながら、崖から飛び降りた。



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