「嗚呼!青春の大根梁山泊!」~東海大学・僕と落研の物語~

瞳尻(ひとみしり)

「嗚呼!青春の大根梁山泊!」~東海大学・僕と落研の物語~おわりに

「終わりに」

 タイトル「大根梁山泊(だいこんりょうざんぱく)」の大根(だいこん)とは、小田急線の大根駅(おおねえき)のことである(現在は「東海大学前」という駅名になっている)。
 当時の私には、このダイコンみたいな田舎の駅に、全国から偶然訪れたならづ者たちが集まって「落研」を作ったように感じたのである。
 何をやっても自信のなかった「おちこぼれ」が、笑いの楽園に籠もって大きな城を造り上げた。そこにひょっこりと現れた私のような田舎者にまで、暖かい手を差し伸べて役職まで与えてくれたのである。
 私にとって、東海大は「笑いの梁山泊」だったのである。

 東海大学落語研究部は、現在、約50年以上の歴史を持つ。私は創世記も黄金期の中心も知らない。かろうじて黄金期の最後に立ち会っただけである。ここに登場する出来事は、昭和53年、54年の高校時代、そして55年の大学入学から59年の卒業まで。さらに卒業後は私個人の思い出である。
 中には私の記憶違いや、先輩からの聞き覚えで内容が歪んでしまったものもあるかも知れない。しかしそれも含めて、名もない大学生のドキュメントだと思って欲しい。
 実際、私の心の中では今でも手に取るように、その光景が思い出されることばかりである。

 最後にもう一度、東海大学落語研究部出身の噺家さんを記しておく。林家錦平(はやしやきんぺい)師匠(12期)、柳家一九(やなぎや いっく)師匠(16期)、春風亭昇太(しゅんぷうてい しょうた)師匠(18期)、春風亭昇乃進(しゅんぷうてい しょうのしん)師匠(26期)、古今亭今輔(ここんてい いますけ)師匠(30期)、春風亭柳若(しゅんぷうてい りゅうじゃく)(32期)昔昔亭喜太郞(せきせきてい きたろう)(41期)の7名である。(2020年現在)少しでも、興味を持たれた方は、是非、生で観ていただきたい。

さらに、私とは学生時代を一緒に過ごせなかった後輩達も各分野で活躍している。兵枝(ひょうし・27期・穴吹一郎)君は、劇団を立ち上げて作品が映画化。脚本家として活躍している。大河ドラマ「軍師・官兵衛」の脚本協力まで務めた才人である。この大河ドラマには先輩の昇太師匠が足軽役で出演している。時を超えて、東海落研の再会である。
 そして、黒麿(こくまろ・45期・栗林宜徳)君は、学生落語の全国大会「策伝大賞」で賞を頂き。若者に人気の劇団「地蔵中毒」で役者として活躍。現在は北海道の実家を継いでいるが、記念公演などには今も参加している。

そして、放送作家として活躍し、若くして亡くなった、のん太さん(15期・高橋正秀)、コピーライターをしながら映画の製作にたずさわり、突然、亡くなった、裸ん坊さん(海洋学部・落研・19期・藤野励一)。私は思い出を決して忘れません。

 さらに、実志さん(山崎徹)は、BS朝日で「大人の楽園・昇太秘密基地」(水曜22時~)という番組でブレーンをしている。実志・切奴、黄金コンビの復活である。この番組を見ていると、先輩達の遊び心と拘りがなんとも心地よい。やっぱり、先輩達は凄い!

 また、現在の落研については私はあまり逸話を知らない。
 たぶん聞けば楽しい話が沢山あると思う。その時その時で各世代の落研生が他のどの学生よりも「沢山、笑って過ごした」ことだろう。
 
 この本の続きは、現在の大学落研の皆さんが作ってくれるものと信じている。
 もっと面白くて、運命的で、馬鹿馬鹿しい逸話を残して、ぜひOBたちに聞かせて欲しい。
 
 この本の執筆で、私の長い落研生活が今やっと終わったような気がする。
 読者の皆さんが1人でも落語に興味を持っていただければ幸いです。

 東海大学落語研究部
            第20期・副委員長・三代目・頭下位亭馬好 (放送作家・小林哲也)
       
                           2020年4月24日

            

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