音を知らない鈴
#27 あなたに一つ目の名前が付いた瞬間
あれは、17年前のこと。
私達夫婦に一人の女の子を授かった。
彼女の産声は大きくどこか芯のある声だった。
この子はきっと強くなる。
抱きしめた時そう感じた。
この子の心臓と私の心臓が離れ、近づいた時、お互いに通じあえたと思う。
あなたは私の大切な赤ちゃん。
私がこの手で、責任を持って育てる。
初めての子供に私はそう誓った。
だけど、そう思っていたのは私だけじゃなかった。
「久し振り!親父」
「おう!直彦、久し振りだな」
「お久し振りです、お父さん」
「真那さん、大丈夫だったかな?」
「はい!」
「二人共御出産おめでとう」
「ありがとうございます!」
「この子が初孫かね?」
「はい、女の子です!」
「そうか、良かったねぇ…」
「まだ名前決めてないんだけどな」
「…!?」
「初めての赤ちゃんだから迷ってね」
「あぁ」
「まだ、決めてないのか…?」
「あぁそうだよ」
「紫の華…」
「ん?」
「紫の華とかいて紫華はどうだろう」
いきなり名前を言われたときは驚いた。
私と直彦で思わず顔を見合わせた。
「しか、かぁ…」
「どうだろう」
「あまり聞き慣れない名だなあ」
「だがこの子には合うと思う」
「真那はどう思う」
その名を聞いたときは確かに珍しい名前にあまりピンと来なかった。
紫華。
小さく声に出した時、自分達で考えていない名前に良いのかどうか不安になった。
それでも一度は私の中にいた赤ちゃん。
どことなく名前の波長が合っていくような気がしていった。
「私はいいと思う」
「んー、そうか。親父はそういう直感めいたものには長けているし」
「そうなんですか?」
「まぁ、自慢ではないがこれでも神主、神社に身をおいてるもんでね」
「はぁ、なるほど」
「俺の名前もこんな感じで、急に閃いたっておふくろから聞いたしな」
「へぇー、凄いですね!」
「どうだろうか?」
「よし!そうだな!紫華にしよう!」
紫華、あなたの名前はこうして生まれたの。
この神社で生まれたのよ。
あなたという存在は女の子から紫華ちゃんになった。
そして、私はこの名前が大好きになったわ。
生まれてすぐのあなたももちろん可愛かったけど、名前のついたあなたは更に愛らしくなっていった。
紫華て呼ぶたびに、こっちを向いてくれるのがとっても嬉しかったの。
けれど、その名前のあなたは一瞬だった。
この過去があなたとって大きな変化だっ思わなかったわ。小さな体であなたは受け止めきれていなかっただろうに。
私達夫婦に一人の女の子を授かった。
彼女の産声は大きくどこか芯のある声だった。
この子はきっと強くなる。
抱きしめた時そう感じた。
この子の心臓と私の心臓が離れ、近づいた時、お互いに通じあえたと思う。
あなたは私の大切な赤ちゃん。
私がこの手で、責任を持って育てる。
初めての子供に私はそう誓った。
だけど、そう思っていたのは私だけじゃなかった。
「久し振り!親父」
「おう!直彦、久し振りだな」
「お久し振りです、お父さん」
「真那さん、大丈夫だったかな?」
「はい!」
「二人共御出産おめでとう」
「ありがとうございます!」
「この子が初孫かね?」
「はい、女の子です!」
「そうか、良かったねぇ…」
「まだ名前決めてないんだけどな」
「…!?」
「初めての赤ちゃんだから迷ってね」
「あぁ」
「まだ、決めてないのか…?」
「あぁそうだよ」
「紫の華…」
「ん?」
「紫の華とかいて紫華はどうだろう」
いきなり名前を言われたときは驚いた。
私と直彦で思わず顔を見合わせた。
「しか、かぁ…」
「どうだろう」
「あまり聞き慣れない名だなあ」
「だがこの子には合うと思う」
「真那はどう思う」
その名を聞いたときは確かに珍しい名前にあまりピンと来なかった。
紫華。
小さく声に出した時、自分達で考えていない名前に良いのかどうか不安になった。
それでも一度は私の中にいた赤ちゃん。
どことなく名前の波長が合っていくような気がしていった。
「私はいいと思う」
「んー、そうか。親父はそういう直感めいたものには長けているし」
「そうなんですか?」
「まぁ、自慢ではないがこれでも神主、神社に身をおいてるもんでね」
「はぁ、なるほど」
「俺の名前もこんな感じで、急に閃いたっておふくろから聞いたしな」
「へぇー、凄いですね!」
「どうだろうか?」
「よし!そうだな!紫華にしよう!」
紫華、あなたの名前はこうして生まれたの。
この神社で生まれたのよ。
あなたという存在は女の子から紫華ちゃんになった。
そして、私はこの名前が大好きになったわ。
生まれてすぐのあなたももちろん可愛かったけど、名前のついたあなたは更に愛らしくなっていった。
紫華て呼ぶたびに、こっちを向いてくれるのがとっても嬉しかったの。
けれど、その名前のあなたは一瞬だった。
この過去があなたとって大きな変化だっ思わなかったわ。小さな体であなたは受け止めきれていなかっただろうに。
コメント