私、幽霊です!
P.26
この頃には恐怖心というものをすっかり置いてきてしまった和輝は、ふと思った疑問をまひろへ投げかけた。
まひろは得意気な顔を崩さず、さらにはキチンと正座していた背筋をピンと伸ばしなおした。
「同じオカルトマニアからの情報提供よ。あ、私言ってたかしら? ホラーとかオカルトが大好きでね、いっつもネタを探してるの」
と、まひろはやや早口でまくし立てる。
「それで、いつものように中古屋とかでネタを探してたらね、たまたまその場に居た子が教えてくれたの」
「それで、こんなのに引っ掛かったってわけか」
「失礼ね、当たりでしょ? 舞がそう言ってるんだから」
続けてなにか言いたげだったまひろだが、話の途中で舞に袖を引っ張られて話をとめた。
「怖いもの知らずめ」
と優弥が小さくつぶやいた気がする。
それよりもなんだ?
オカルトマニア? ネタ探し?
そんなマニアを目の当たりにするのは生まれて初めてだが、皆同じくこうやってネタとやらを探しているものなのだろうか。
神谷まひろという人物は、見た感じではお嬢様然として優雅な趣味を嗜んでいそうだったが、どうも裏切られたようだ。
それとも、肝試しに誘ってくる時点で悟るべきだったのだろうか。
考えに集中していた和輝は、舞がまひろになにを言っていたかは聞き取れなかった。
まひろは舞に多大な信頼を寄せているらしい。
まひろが探して舞が鑑定する、といったところだろうか。
それはそれで今度は舞の素性が気になるところだ。
その本人はなにか焦っているように見えたが、それを訊く前に優弥の一言がこの場の空気を制した。
「とにかくだ」
纏まりの欠けつつ輪の中で、優弥の低く響く声が全員の耳に行きわたる。
「写真はピッタリ一致するみたいだが、そのビデ……」
言いかけて、またもや言葉は中断された。
だが、今度は誰かにとめられたわけではない。
優弥が喋りだして、優弥がとめた。
ビデオに視線を移してから。
「まひろ……ねぇまひろ! やっぱりおかしい!」
今度は舞がビデオを観ながら声を荒げる。
しきりに、服が伸びそうなくらいまひろの袖を揺さぶっている。
「ビデオが終わんない!」
「え……?」
思わず和輝は一声だけ発した。
「うぉっ……!?」
続けて瞬が心臓から直接吐いたような声を出す。
その時には、まひろも含めた全員がビデオを直視して絶句していた。
理由は明白だ。
ビデオに変化が訪れただけだ。
「おい……井戸からなんか出てきてるんだが」
頭の中が空っぽになった和輝が、精一杯絞り出した台詞であった。
まひろは得意気な顔を崩さず、さらにはキチンと正座していた背筋をピンと伸ばしなおした。
「同じオカルトマニアからの情報提供よ。あ、私言ってたかしら? ホラーとかオカルトが大好きでね、いっつもネタを探してるの」
と、まひろはやや早口でまくし立てる。
「それで、いつものように中古屋とかでネタを探してたらね、たまたまその場に居た子が教えてくれたの」
「それで、こんなのに引っ掛かったってわけか」
「失礼ね、当たりでしょ? 舞がそう言ってるんだから」
続けてなにか言いたげだったまひろだが、話の途中で舞に袖を引っ張られて話をとめた。
「怖いもの知らずめ」
と優弥が小さくつぶやいた気がする。
それよりもなんだ?
オカルトマニア? ネタ探し?
そんなマニアを目の当たりにするのは生まれて初めてだが、皆同じくこうやってネタとやらを探しているものなのだろうか。
神谷まひろという人物は、見た感じではお嬢様然として優雅な趣味を嗜んでいそうだったが、どうも裏切られたようだ。
それとも、肝試しに誘ってくる時点で悟るべきだったのだろうか。
考えに集中していた和輝は、舞がまひろになにを言っていたかは聞き取れなかった。
まひろは舞に多大な信頼を寄せているらしい。
まひろが探して舞が鑑定する、といったところだろうか。
それはそれで今度は舞の素性が気になるところだ。
その本人はなにか焦っているように見えたが、それを訊く前に優弥の一言がこの場の空気を制した。
「とにかくだ」
纏まりの欠けつつ輪の中で、優弥の低く響く声が全員の耳に行きわたる。
「写真はピッタリ一致するみたいだが、そのビデ……」
言いかけて、またもや言葉は中断された。
だが、今度は誰かにとめられたわけではない。
優弥が喋りだして、優弥がとめた。
ビデオに視線を移してから。
「まひろ……ねぇまひろ! やっぱりおかしい!」
今度は舞がビデオを観ながら声を荒げる。
しきりに、服が伸びそうなくらいまひろの袖を揺さぶっている。
「ビデオが終わんない!」
「え……?」
思わず和輝は一声だけ発した。
「うぉっ……!?」
続けて瞬が心臓から直接吐いたような声を出す。
その時には、まひろも含めた全員がビデオを直視して絶句していた。
理由は明白だ。
ビデオに変化が訪れただけだ。
「おい……井戸からなんか出てきてるんだが」
頭の中が空っぽになった和輝が、精一杯絞り出した台詞であった。
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