女の子を助けたら いつの間にかハーレムが出来上がっていたんだが ~2nd season~

ko-suke

266話 汝は強く、そしてか弱く




アフィアちゃんが帰ってからも、妹達の暴走は止まらなかった。それどころか、勢いを増した。

どこへ行こうにも、後ろをついて回ってくる。僕の部屋はもちろん、トイレまでも。全力で追い出した。

ご飯を食べようものなら、1人1回以上あーんをしてこようとする。もちろん、全力でお断りした。

そして奴らの暴走は、行くところまで行った。風呂にまで入ってきたのだ。一緒に入るだの、背中を流すだの・・・しまいには触らせろとまで言ってきたやつも。

仮にも女の子に暴力は振るいたくないけど、この時ばかりは体が先に動き、自分でも驚きの手刀を繰り出した。

そしてまぁ、ここまで来れば何となくわかるだろうけど、布団に入ってこようとした。丁重に追い返した。

そんなこんなで一悶着どころか10近い暴走に悩まされた。すぐさま鍵をかけて、僕は眠りにつくのだった。

・・・というか、これが毎日とか・・・きっついわぁ。やっぱりやめときゃ良かったかな・・・。



深夜、物音で目を覚ました。

しょぼしょぼする目を擦り、音のする方へ。音は部屋の外から聞こえていた・・・というより、部屋の前からだった。

誰かが、僕の部屋の扉を小さく叩いていたのだ。定期的に、コン・・・コン・・・と音が鳴る。

時刻は深夜2時。・・・まさかとは思うけど、おばけだったりして。

ちょっとした恐怖を覚えながらも、怖いもの見たさで扉の鍵を開けた。すると、ゆっくりと扉があき、そこには・・・

日向「うん?・・・か、叶恵?」

叶恵「・・・よ、よぉ。」

叶恵がいた。よく見ると、小刻みにカタカタと震えているようだった。

日向「だ、大丈夫?なんか震えてるみたいだけど・・・。」

叶恵「・・・えっと」

叶恵はキュッと唇を噛んでから、こう言った。

叶恵「・・・一緒に、寝てもいい?」



日向「え・・・」

叶恵「・・・お願い」

単純に、驚いた。叶恵は、冗談で言い放つことはあっても、こんな風に言ったことはなかった。声も、いつもと違ってか細い。

いつもの叶恵からは想像できない、ただのか弱い女の子が、そこにはいた。

日向「いや・・・それは・・・」

さっきまでのことで、少し身構えてしまう。・・・でも

叶恵「・・・ダメ?」

こんな風に言われて、断れるわけがなかった。いつもの叶恵じゃないことは一目瞭然いちもくりょうぜんだったし。

僕と叶恵は、ベッドに横になった。

叶恵「・・・あったかい」

日向「・・・なぁ、どうしたんだ?どう見ても、いつもの叶恵じゃないけど・・・。」

どうしても気になって、聞いてみる。叶恵は、また少し震えて言った。

叶恵「・・・夢を、見た。」

日向「夢?」

叶恵「うん・・・その、日向が・・・いなくなる夢。」

日向「・・・そっか」

叶恵「嫌だ・・・嫌だよ・・・いなくならないで・・・」

日向「大丈夫、僕はここにいるから」ギュッ

叶恵「うん・・・うん・・・」

日向「大丈夫だから・・・」

叶恵を抱きしめ、慰める。叶恵だって、か弱い女の子なんだ。わかってるつもりで、何も分かってなかった。

しばらくすると、叶恵は自分から腕を緩めた。僕も緩め、少し離れる。

叶恵「・・・ありがとな、日向。かっこ悪いとこ、見せちゃったな。」

日向「いつでも頼ってくれて、いいからね。お兄ちゃんで、彼氏だからさ。」

叶恵「・・・うん。でも、大丈夫だ。今日だけ、今だけだから。」

日向「・・・そっか。」

叶恵「じゃあ・・・おやすみ。」

日向「おやすみ、叶恵。」

僕は叶恵を寝るまで見守り、寝息が聞こえてから眠りについた。

・・・で、朝なんですけども。

日向「あの、腕離して・・・」

叶恵「すー・・・すー・・・」zzz

僕の腕を抱き枕がわりにして、叶恵は寝てらっしゃいましたとさ。解こうとして動かすと、手の位置的にまずいので・・・動かせないんですよね。

日向「・・・叶恵ぇ!起きろぉぉ!」

叶恵「日向・・・すー・・・」zzz

結局、起こすのに30分以上かかりましたとさ。ちくしょうめ・・・。


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