女の子を助けたら いつの間にかハーレムが出来上がっていたんだが ~2nd season~

ko-suke

151話 臆病で、そしてちっぽけで




3月29日、木曜日。さよならするまで、あと3日。

あれから、いつ言おうかとずっと悩んでいた。言う機会があっても、勇気が出せず、結局ずるずると引きずってしまった。

明日の朝の時間に言うらしいから、今日中にアフィアちゃんに伝えなきゃなんだけど・・・。

由良「日向、まだ言えてないの?」

日向「・・・うん」

由良達が、心配そうに僕を見つめる。

江美「寂しいのはわかるけどぉ、ちゃーんと言わなきゃダメよぉ?」

日向「・・・わかってる、わかってるよ」

叶恵「日向、男なら当たって砕けろ!って、お母さんが言ってたよ。」

日向「叶恵・・・」

奈々「骨は拾うの!」

日向「砕ける前提なんだね・・・」ズーン

奈々「あ・・・」

睦月「・・・お兄ちゃんは心に深い傷を受けた。」

衣玖「奈々お姉ちゃ、いけないんだー」

奈々「あ、あう・・・ごめんなさいなの」

日向「ううん、大丈夫。これ以上は・・・もう逃げないよ。」

そう、今日また逃げたら、ただの意気地無しだ。・・・今日は、今日こそは。

そう思いながら登校するこの日、僕はいつもの登下校では感じない、酷く重い圧を感じるのだった。



昼休み。

日向「あ、アフィアちゃん。ちょっといいかな・・・?」

アフィア「え?えぇ、いいけど・・・」

日向「ありがとう。悪いんだけど、こっち来て。」スッ

アフィア「わかったわ。」

よし・・・なんとかアフィアちゃんを呼び出すことに成功。

僕は、屋上に向かう階段の踊り場に連れ出した。あとは、事実を伝えるだけ。

アフィア「いったいどうしたの?なんかいつもとちょっと違う気がするんだけど・・・」

日向「そ、そんなことないよ。僕はいつも通りさ・・・。」

アフィア「・・・???」

アフィアちゃんは頭に「?」を浮かべている。自分でもわかる、今の僕は僕じゃない。

日向「あ、あのね、アフィアちゃん・・・」

アフィア「う、うん。」

ドックン、ドックンと、うるさい僕の心臓の音が聞こえる。落ち着け、僕。一言、伝えるだけじゃないか。

日向「その・・・今日、アフィアちゃんに伝えなきゃいけないことが・・・」

アフィア「え?な、何よ突然・・・」

伝えなきゃ、伝えなきゃ・・・!僕の想いと、日本へ行くことを!

日向「あの、あのね・・・僕・・・明後日に・・・」

アフィア「・・・」

僕は、僕は─

日向「・・・放課後、僕の部屋に来て。2人っきりで、話がしたいんだ。」

─僕は、臆病者だ。

アフィア「へ?今、明後日がどうとか・・・」

日向「放課後伝えるから・・・お願い。」

アフィア「・・・???変な日向。」タッ

アフィアちゃんは、僕の横をすり抜けて行ってしまった。

・・・本当に、何やってんだろう僕は。なんで、伝えるだけのことが出来ないんだろうか。ほんと、呆れる。

・・・お父さん、ごめん・・・僕、そんな勇気ないみたい。


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