転生して帰って来た俺は 異世界で得た力を使って復讐する
28
「っぐ!?ここは......」
さっきまで山形にいた俺たちは知らない林の中にいる。検索魔術でここがどこなのかを明らかにする。
「知床《しれとこ》...?北海道か」
どうやら北海道の端地域に移動させられたらしい。4月とはいえさすがは北国といったところか、まだ寒さを感じられる。
「まぁええわ。すぐに飛んでくだけやか――っ!?」
改めて瞬間移動を発動しようとするも、またリリナに妨害される。飛んでくる雷球を咄嗟に剣で弾く...が少し感電してスタンした。
「ぐが......っ!どうしても俺の復讐を邪魔したいようやな?」
「もう止めましょう?そんな悲しいこともう止めてちょうだい」
「るせー。これは俺自身の救済活動なんや...。将来俺を害してたあんなゴミクズどもなんか!!死んで当然やああああああ!!」
“神による選別”
二度目の人生で使った大規模殺戮破壊魔術。レーザーの数が多い程長く溜める必要がある為、今回は要らない日本人全員消すのは無理。という訳で復讐したい奴らの数だけに絞る。
数は......5人やから、5本のレーザーを撃つ!!
「あれは!?国の人間をたくさん殺した魔術...!させないっ!!」
「死ねぇゴミクズども――――ぉ!?」
魔術を発動して1秒も経たない内に復讐の追尾レーザーを発射する......が、その直後リリナも何か追尾系の魔術を放った!
「好きにはさせないって、言ってるでしょおおおっ!!」
魔法杖からは強い魔力を感じる。属性は雷。幾条の雷が枝分かれをして飛んでいく。
「邪魔しまくってぇ!!ウゼーんだよっ!!」
「きゃあ!?」
苛立ちをぶつけるように風の刃を飛ばして奴を斬りつける。胸から腹を切り裂いてそれなりのダメージを負わせる。だが奴の魔術を止めることはできず、雷線は......俺のレーザーに干渉しやがった。
そして数秒後、検索して結果を見ると......、
「二人...失敗した、やと!?」
5人のうち復讐に成功したのは遅川たけし、池谷隼《いけたにじゅん》、説田義一《せったよしかず》の3人...だけ。残りの復讐対象...杉浦俊哉《すぎうらとしや》と平塚大輔《ひらつかだいすけ》の殺害は......失敗した!
「.........お前の魔術の仕業やな?」
「.........」
血を流して倒れているリリナを睨みつけて恨み言を吐く。俺が放ったレーザーが二人に当たる直前、奴は雷の光線でレーザーの軌道をずらしてギリギリ外させた...!!二人とも普通に生きてやがる。
「あのクソゴミ清掃員3人...特に遅川を殺せたのは良かったが、全員殺せなかったんはショックやなァ。やってくれたな女神さんよォ」
「守り、きれなかった......。でも辛うじて、二人は救えた...」
腹に手を添えて治療しながらリリナはふらふら立ち上がる。奴が立つ地面に爆破系の火魔術を撃つ。
「あ......っ」
「これ以上邪魔させるかよ。遠距離でミスったなら、やはり直接殺すしかないなよな!?さぁて、二人のうち誰から殺そうかなァ!?」
瞬間移動を今度こそ発動して現地殺害を再び敢行することに。
しかし動こうとした瞬間、俺は眩暈を起こした。
「ぐ...っ!?魔力もそうやけど、体力も残りヤバいな......っ」
この瞬間移動も楽ではない。それなりに体力を消費する。魔術は魔力を消費して、移動系のスキルは体力を特に消費する。当然多用すれば疲労も激しくなる。二人に復讐する分、残り二回分。それ以上使うとあの女神を殺すのに支障をきたしてまいそうやし、無駄撃ちはできねー。また邪魔されたらそれ以上はスキルの使用は難しくなる...。
まぁさっき奴にけっこうダメージ与えたし足止めもした。これなら邪魔は入らねー!
ここからやと山形へ戻って杉浦を殺すのがいちばん効率的やけど...リリナはそれを見越してこっちにすぐ来るやろうから......
「あえて遠い方を選ぶ!!」
行き先は...数日前なら埼玉の入間市やったけど、肝心の奴はそこにはいない。今奴がいるのは......、
「まさか実家だったとは!」
最近俺も暮らしていたマンション、杉山宅だ...!概ね、感情が抜けておかしくなった二人のことを聞いたあのクソ叔父が二人の様子を見にここを訪ねたってところか。奴はあのクソ母のこととなるとすぐ駆けつけるからな......あの時の、近所トラブルの時みたいに......っ
このマンションにはそのトラブルの原因となったクソ犬を飼ってる奴も住んでる。よし、このマンション全部破壊したろ。クソ叔父も家族もクソ隣人も、全部全部消してやる。ここが俺にとってクソッタレな世の中である以上、この世の中、社会で生きている人間の命は全て無価値!俺に理不尽を強いる世の中をつくったのは結局は人間。ならそいつらを全て消せばこの世が良くなると同義!
「そうや...俺は間違ってへん。自身を害するクソ人間どもを殺すことは正しい!」
両手に魔力を込める...。その状態で日本刀を構えて、刀身にも魔力を渡らせる。
「ぶった切ってやんよ...。何もかも細切れにして殺す...!」
全身に力を溜めて...溜め切った瞬間と同時に刀を振り上げて―――
「やっぱりここだったね。友聖なら、ここに来るって思ってた」
―――斬撃を飛ばすはずだった刀は...突如現れた女神の手によって跡形無く霧散した。同時に俺の今まで溜めていた魔力・気力も全部散って消えてしまった...。
「.........」
俺は呆然と、自身の手とリリナの顔を交互に見やり、絶句していた。すぐに動くべきところを、俺は思考を放棄して固まってしまった。それほど今のは、ショックだった。
「もう、離さない――」
ショックのあまり、一瞬で間を詰められて体にしがみつかれても、俺は咄嗟に反応できずにいて......
“ワープ”
また彼女による妨害を許してしまった――
*
マンション内...杉山宅。
「ん......?何だ、気のせい、か?」
平塚大輔は外に違和感を察知してベランダに出てみる。が、特に変わったものは確認できなかった為気のせいと決めてリビングに戻る。
「洋子...どうやったらお前たちを元の人間らしい状態に戻せるのか...」
リビングには彼の妹で友聖の母でもある杉山洋子とその娘の佳奈子が一言も喋らず無表情で鎮座している。二人の様子がおかしいとそれぞれの職場と学校から連絡を受けた大輔は急遽杉山宅を訪れ、ふたりを病院へ連れた。
が...病状が全く判明できず、脳にも異常は見当たらない結果。なのに人としての感情・心が抜け落ちている...まるで爬虫類のようだと診断される。心の問題かと思われ専門医を何人も呼んだが何も分からず。自宅療養で様子を見るという結論に。
大輔は会社からしばらくの休みの許可をもらってこの家に住むことにした。
(自分の身の回りのことは出来る...。洋子に至っては家事全てもできる...。二人とも要介護人間ではないが...社会で生きていくには困難とされている)
二人はある日から突然言葉すら話さなくなったと聞く。実際大輔もここに来てから一度も二人の声を聞いていない。失語症を患っては当然日常生活にも支障をきたす。しばらくは自分が二人の面倒を見なければならないと大輔は二人をそう評価している。
「友聖は......どこで何をしている?家族がこんなことになっているのに...あの薄情者は...!」
大輔は一人...甥である少年に憤りを感じている。彼がここに来た時には甥はどこにもいなかった。連絡しようにも彼を知っている人は家族以外誰もいず、捜索のしようがなく、諦めた。もはや彼が帰ってくるのを待つしか方法がなく、二人の状態を治す方法の模索と同時に彼の帰宅も待っているのが現状だ。
「昔は、昔は...みんなでよく一緒に出掛けて、遊んで...。よく笑う子だった...。だが中学生になってから...おかしくなったと洋子から聞いてた。虐めとか何とか...。友聖。お前にも何か悩みや問題があるのなら......ここに帰ってきて俺に全部話してくれ...。早く、帰ってきてくれ...!お前の家族は...たった一つしかないんだぞ...!!」
大輔はリビングから離れて一人呻くように甥......杉山友聖の帰りを呼んだ。彼が今どうなっているのか...彼がついさっきまで自分らのところに来てあまつさえ殺そうとしていたことなど、気付かないまま。
そして.........杉山洋子がベランダに目を向けて、
「............友聖」
――僅かに悲し気な顔を浮かべて彼の名を小さく発したことにも、気づくことはなかった......。
さっきまで山形にいた俺たちは知らない林の中にいる。検索魔術でここがどこなのかを明らかにする。
「知床《しれとこ》...?北海道か」
どうやら北海道の端地域に移動させられたらしい。4月とはいえさすがは北国といったところか、まだ寒さを感じられる。
「まぁええわ。すぐに飛んでくだけやか――っ!?」
改めて瞬間移動を発動しようとするも、またリリナに妨害される。飛んでくる雷球を咄嗟に剣で弾く...が少し感電してスタンした。
「ぐが......っ!どうしても俺の復讐を邪魔したいようやな?」
「もう止めましょう?そんな悲しいこともう止めてちょうだい」
「るせー。これは俺自身の救済活動なんや...。将来俺を害してたあんなゴミクズどもなんか!!死んで当然やああああああ!!」
“神による選別”
二度目の人生で使った大規模殺戮破壊魔術。レーザーの数が多い程長く溜める必要がある為、今回は要らない日本人全員消すのは無理。という訳で復讐したい奴らの数だけに絞る。
数は......5人やから、5本のレーザーを撃つ!!
「あれは!?国の人間をたくさん殺した魔術...!させないっ!!」
「死ねぇゴミクズども――――ぉ!?」
魔術を発動して1秒も経たない内に復讐の追尾レーザーを発射する......が、その直後リリナも何か追尾系の魔術を放った!
「好きにはさせないって、言ってるでしょおおおっ!!」
魔法杖からは強い魔力を感じる。属性は雷。幾条の雷が枝分かれをして飛んでいく。
「邪魔しまくってぇ!!ウゼーんだよっ!!」
「きゃあ!?」
苛立ちをぶつけるように風の刃を飛ばして奴を斬りつける。胸から腹を切り裂いてそれなりのダメージを負わせる。だが奴の魔術を止めることはできず、雷線は......俺のレーザーに干渉しやがった。
そして数秒後、検索して結果を見ると......、
「二人...失敗した、やと!?」
5人のうち復讐に成功したのは遅川たけし、池谷隼《いけたにじゅん》、説田義一《せったよしかず》の3人...だけ。残りの復讐対象...杉浦俊哉《すぎうらとしや》と平塚大輔《ひらつかだいすけ》の殺害は......失敗した!
「.........お前の魔術の仕業やな?」
「.........」
血を流して倒れているリリナを睨みつけて恨み言を吐く。俺が放ったレーザーが二人に当たる直前、奴は雷の光線でレーザーの軌道をずらしてギリギリ外させた...!!二人とも普通に生きてやがる。
「あのクソゴミ清掃員3人...特に遅川を殺せたのは良かったが、全員殺せなかったんはショックやなァ。やってくれたな女神さんよォ」
「守り、きれなかった......。でも辛うじて、二人は救えた...」
腹に手を添えて治療しながらリリナはふらふら立ち上がる。奴が立つ地面に爆破系の火魔術を撃つ。
「あ......っ」
「これ以上邪魔させるかよ。遠距離でミスったなら、やはり直接殺すしかないなよな!?さぁて、二人のうち誰から殺そうかなァ!?」
瞬間移動を今度こそ発動して現地殺害を再び敢行することに。
しかし動こうとした瞬間、俺は眩暈を起こした。
「ぐ...っ!?魔力もそうやけど、体力も残りヤバいな......っ」
この瞬間移動も楽ではない。それなりに体力を消費する。魔術は魔力を消費して、移動系のスキルは体力を特に消費する。当然多用すれば疲労も激しくなる。二人に復讐する分、残り二回分。それ以上使うとあの女神を殺すのに支障をきたしてまいそうやし、無駄撃ちはできねー。また邪魔されたらそれ以上はスキルの使用は難しくなる...。
まぁさっき奴にけっこうダメージ与えたし足止めもした。これなら邪魔は入らねー!
ここからやと山形へ戻って杉浦を殺すのがいちばん効率的やけど...リリナはそれを見越してこっちにすぐ来るやろうから......
「あえて遠い方を選ぶ!!」
行き先は...数日前なら埼玉の入間市やったけど、肝心の奴はそこにはいない。今奴がいるのは......、
「まさか実家だったとは!」
最近俺も暮らしていたマンション、杉山宅だ...!概ね、感情が抜けておかしくなった二人のことを聞いたあのクソ叔父が二人の様子を見にここを訪ねたってところか。奴はあのクソ母のこととなるとすぐ駆けつけるからな......あの時の、近所トラブルの時みたいに......っ
このマンションにはそのトラブルの原因となったクソ犬を飼ってる奴も住んでる。よし、このマンション全部破壊したろ。クソ叔父も家族もクソ隣人も、全部全部消してやる。ここが俺にとってクソッタレな世の中である以上、この世の中、社会で生きている人間の命は全て無価値!俺に理不尽を強いる世の中をつくったのは結局は人間。ならそいつらを全て消せばこの世が良くなると同義!
「そうや...俺は間違ってへん。自身を害するクソ人間どもを殺すことは正しい!」
両手に魔力を込める...。その状態で日本刀を構えて、刀身にも魔力を渡らせる。
「ぶった切ってやんよ...。何もかも細切れにして殺す...!」
全身に力を溜めて...溜め切った瞬間と同時に刀を振り上げて―――
「やっぱりここだったね。友聖なら、ここに来るって思ってた」
―――斬撃を飛ばすはずだった刀は...突如現れた女神の手によって跡形無く霧散した。同時に俺の今まで溜めていた魔力・気力も全部散って消えてしまった...。
「.........」
俺は呆然と、自身の手とリリナの顔を交互に見やり、絶句していた。すぐに動くべきところを、俺は思考を放棄して固まってしまった。それほど今のは、ショックだった。
「もう、離さない――」
ショックのあまり、一瞬で間を詰められて体にしがみつかれても、俺は咄嗟に反応できずにいて......
“ワープ”
また彼女による妨害を許してしまった――
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マンション内...杉山宅。
「ん......?何だ、気のせい、か?」
平塚大輔は外に違和感を察知してベランダに出てみる。が、特に変わったものは確認できなかった為気のせいと決めてリビングに戻る。
「洋子...どうやったらお前たちを元の人間らしい状態に戻せるのか...」
リビングには彼の妹で友聖の母でもある杉山洋子とその娘の佳奈子が一言も喋らず無表情で鎮座している。二人の様子がおかしいとそれぞれの職場と学校から連絡を受けた大輔は急遽杉山宅を訪れ、ふたりを病院へ連れた。
が...病状が全く判明できず、脳にも異常は見当たらない結果。なのに人としての感情・心が抜け落ちている...まるで爬虫類のようだと診断される。心の問題かと思われ専門医を何人も呼んだが何も分からず。自宅療養で様子を見るという結論に。
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(自分の身の回りのことは出来る...。洋子に至っては家事全てもできる...。二人とも要介護人間ではないが...社会で生きていくには困難とされている)
二人はある日から突然言葉すら話さなくなったと聞く。実際大輔もここに来てから一度も二人の声を聞いていない。失語症を患っては当然日常生活にも支障をきたす。しばらくは自分が二人の面倒を見なければならないと大輔は二人をそう評価している。
「友聖は......どこで何をしている?家族がこんなことになっているのに...あの薄情者は...!」
大輔は一人...甥である少年に憤りを感じている。彼がここに来た時には甥はどこにもいなかった。連絡しようにも彼を知っている人は家族以外誰もいず、捜索のしようがなく、諦めた。もはや彼が帰ってくるのを待つしか方法がなく、二人の状態を治す方法の模索と同時に彼の帰宅も待っているのが現状だ。
「昔は、昔は...みんなでよく一緒に出掛けて、遊んで...。よく笑う子だった...。だが中学生になってから...おかしくなったと洋子から聞いてた。虐めとか何とか...。友聖。お前にも何か悩みや問題があるのなら......ここに帰ってきて俺に全部話してくれ...。早く、帰ってきてくれ...!お前の家族は...たった一つしかないんだぞ...!!」
大輔はリビングから離れて一人呻くように甥......杉山友聖の帰りを呼んだ。彼が今どうなっているのか...彼がついさっきまで自分らのところに来てあまつさえ殺そうとしていたことなど、気付かないまま。
そして.........杉山洋子がベランダに目を向けて、
「............友聖」
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