転生して帰って来た俺は 異世界で得た力を使って復讐する
32-2★
直後、俺の手からサバイバルナイフが出現し、それを構える。まだ電話がかからずにいて混乱しているババアがそれを目にしてさらにパ二クり出すが無視する。
未だ寝台から動かないでいる杉浦は、ナイフを向けられてもなお騒ぐことはせず、ただ俺に哀れみの目を向けてきやがった...!
「は...?何だその目は?遅川は死にたくないだのと喚いてたのに、えらい静かだなお前は?」
「たけし君を、殺したのか......その様子だと殺したのはたけし君だけじゃないな?何人、いや何十人も殺してきている...」
「ああその通りだ。説田も池谷も殺した。これはお前には関係無いことだが、学校で俺を虐めた連中や前の会社で遅川と同じように俺を排除した連中も殺してきた!俺を虐げて除け者にして排除した奴らは全員この手でぶち殺してやったぞ!!!」
少し熱くなって全部話してしまった。相手が冷静過ぎるからか、俺は今まででいちばんムキになってる気がする。もういいだろう、後はコイツを滅多刺しにして終いだ...。
「君を、そうさせてしまったのは......僕やたけし君、そして僕ら世代の大人たち、君を虐めた子らを放任してきた親世代......なんだろうな。僕も無自覚に君を傷つけてしまっていたのか...」
「さっきから何が言いたい?ベラベラ語りやがって...」
すると杉浦は布団から出てきて、その場で土下座を取りやがった...!
「...!?」
「すまなかった。君をそうさせてしまったのは、僕のせいでもある。あの時君の言う通り、たけし君にも厳しい処罰を科すべきだった。君が言っていたことを真に受けなかった僕の責任だ...!」
今までに無い展開に俺はしばし絶句してしまった。がすぐに気を持ち直して言い返す。
「今さら何だ!?今さらそう言うてもな、お前ら社会にとってはそれが当たり前だったんだろ!人間関係が良好の奴の方を庇って、そうでない奴は容赦無く切り捨てる!たとえ前者が悪人で後者が正しいことを言いって正しいことしてた奴でもだ!!それがお前らの世代が創り上げた糞社会ってやつなんだろうがっ!!!」
「......そうなのかもしれないな。それを当たり前にしてるのが今の社会なのかもしれない。それによる被害をいちばん受けてきたのが、君だってことを理解したつもりだ」
「あっそ。理解したからと言って俺がこのまま退くと思うな?お前はここで殺す。それで復讐は成し遂げられる...穏やかな老衰からの安楽死は諦めろ、苦しんで死ね」
「そうか...。僕を殺す、か...」
杉浦は尚も騒ぎだり喚いたりはせず、ただその事実を受け入れた様子でいる。あまりにも拍子抜けする展開になったが、もう気にすることはしない。いざ復讐を執行しようと歩を進めたその時、また杉浦が話しかけてきた。
「最後に......妻と息子は見逃して欲しい。殺すなら僕だけにして欲しい...。頼む――」
「黙れ死ね」
ドスッ!ブシュウウ!!グサッ、グサッ、ザクゥ...!
奴の頼みなど知るかとばかりに俺は無慈悲にナイフで杉浦を滅多刺しにした。
血の噴水を上げて、肉と骨が斬れて、杉浦俊哉という人間をあっという間に破壊して殺した...!
「あ、あああああああああ......!!」
その一部始終を見ていたババアが恐怖と絶望でへたり込むのを一瞥してから、部屋にオイルを撒いて火をつけた。そして大岩を窓と玄関ドアの前に生成させてから天井を破って出て行った。俺と同じように天井から出ない限りは、家に閉じ込められたまま炎に焼かれて死ぬだけだ。
「お前が言った通り、二人には直接何もしないでおいたぞ?後は二人で何とかしろってんだ」
そう吐き捨てて俺は帰宅した。これで...社会人時代での復讐対象は全員消した。最後は何か、違う終わり方だったがまぁいい。殺せたんだから納得するしかねーよ。
「ハァ...なんかたりー。しばらく寝るか」
帰り途中で手軽に食える物を適当に買い込んで、飲み食いしてからすぐベッドへ向かって横になった。
だが、ベッドに入って数分後微睡んできたところで......
『(バイクか何かの騒音)』
「.........うるせぇな」
魔術で防音と防振動を施しておくのを忘れていたせいで外の音がモロに聞こえるようになってるのを失念していた。そのせいで今しがた通路を通りがかったバイクか車の比較的うるさい音が聞こえてしまった。
この部屋は安アパートなので隣部屋と外の音がけっこう聞こえてしまう。生前のここでの生活も...以前殺した瀬藤は言うまでもなく、他には今みたいな外の騒音をよく拾ってしまい、それはそれは不快極まりない日々だった。引きこもり生活なんかはより多くの騒音を拾う羽目に遭った。日中の騒音バイク・車の通過音は仕方ないと割り切ったが(納得はしていない)、夜時間のああいう騒音とかイキりかウェイ集団のデカい声での会話騒音とか、ああいうのには凄く殺意が湧いたものだ。
極めつけは、今みたいに就寝しようってところでの騒音だ。毎回殺したいって思ってたな......当時にそんな力は無かったから泣き寝入りに終わったのだが...。
今は違う。俺には人を簡単に殺す力がある...。たとえ今騒音鳴らして通過していったカス運転手をも殺せる術を持っている!
「...というわけだから、殺します」
“追尾爆殺弾”
小型ミサイルを創り出し、それに追尾性能をつけて飛ばす。
“標的はさっきここをうるさい音出して通過しやがったクソ人間だ”
そんな雑な命令でも俺の武器はきちんと任務を全うしてくれた。10秒もしないうちに爆発音が遠くから響いてきた。
「夜中に騒音出して住人を不快にさせるような人間も、世の中には必要無いよね?そんな害虫野郎を速やかに駆除した俺の行いは正しい...。やり方なんて知るか。俺が良ければそれで良い。死んで当然のゴミだ」
念願の「騒音出す奴を駆除する」ということを為せて満足した俺は、しっかり防音結界を張って今度こそ就寝した。
(いずれはああいう人間と乗り物もこの世から消してしまおう...必ず)
*
「ダメです...。杉山が利用していたとされる店の周辺の住宅地と賃貸会社を全て回ってみましたが、彼が住んでいるという情報は全く掴めませんでした」
「周辺の宿とかホテルにも行ってみたが、これらにも奴が利用した履歴は確認できひんかった...。となると奴は野宿して過ごしてた言うんか。その割には身なりはきちんとしとったって確認できたしなぁ...何のこっちゃなんやらホンマ...」
こんな調子で、杉山友聖の捜索を担当している刑事たちは捜索に困難を極めている始末であった。彼らの捜索はどれも的を射ているものであり普通ならすぐに標的の尻尾を掴めるレベルではあるのだが、相手が現代には存在しない魔術を駆使して彼らの目から逃れているとは知る由もない。完全に相手が悪過ぎなのだが、その事実を未だ気付けないでいる刑事らは頭を抱える一方だった。
その翌日、彼らは新たな殺人事件を耳にした。東大阪市にある宅急便営業所での惨殺事件と大東市にある引越センターの建物破壊および従業員多数殺害事件とのこと。
何故これらの会社が被害に遭ったのかについてだが、担当刑事らはすぐにその答えにたどり着くことが出来た。
杉山の親によると、彼はかつてその二つの会社で勤めていたことがあったのだ。おそらくそれぞれの勤務先で何らかの殺人動機を持ったことから今回の事件が起きたのだと推測された。
「恐らく彼は自身が通っていた学校と、かつて勤めていた先の職場の人間を殺して回っていると考えられますね。となると...彼が通っていた学校・勤めていた会社の人たちの住宅地域で待ち伏せをしていれば、彼を押さえられるのでは...!」
「だとするなら......おい、奴の遺体が発見された場所はどこだった?」
「二十年前の報道によると、北の方...山形県になりますね」
「なら......次はそこに当たるぞ」
彼らの追跡は、徐々に標的に近づいてきている。
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