レーヴハーモニー輝く星の希望
第81話 屋台
愛理が料金を支払うと、おじさんが三人分のコルク弾を一人ずつの小さな皿に五個入れていた。
「一人五発ね……一発も無駄にできないわ……」
愛理は射的で使うライフル銃の銃口にコルク弾を入れると、狙いを定める。愛理は景品が置いてある段になっている長机の台を見ると、三段目に置いてあるデフォルメされた茶色の毛並みをしている猫のぬいぐるみに狙いを定めていた。
「あのぬいぐるみをゲットする!」
愛理はそう言いながら、一発目を発射した。しかし一発目はものの見事に狙いと違う場所に飛んでしまう。愛理はおかしいわと言いながら二発目、三発目と撃っていくが、それも狙いと違うところに発射されてしまう。
愛理が苦戦をしていると、奏とエレナは各々の欲しいキーホルダーや小さな犬のぬいぐるみなどを落としていた。
「なんで二人はゲットできてるの! 私だけなにもゲットでいない!」
愛理が頭を抱えて悩んでいると、奏がちゃんと狙えば大丈夫だよと言う。
「ちゃんと狙ってるのにぃ……全然当たらない!」
愛理が口を尖らせて眉間にしわを寄せていると、エレナが五発全て命中させてキーホルダーからぬいぐるみまで多様な景品をゲットしていた。エレナはその景品を愛理に見せると、愛理はおめでとうと言いながら羨ましいとエレナに言った。
「ちゃんと狙えばゲットできるよ!」
エレナも奏と同じことを言うと、愛理は私も景品をゲットするんだとライフル銃を構えて目当てのぬいぐるみに狙いを定める。しかし、愛理は五発とも全て景品に当てることが出来なかった。
「もう! 全部当たらなかった!」
愛理はライフル銃を前にある机に置いて、奏とエレナに景品取れてよかったねと言う。エレナは落ち込んでいる愛理に、自身のゲットした景品の一つである親指ほどの大きさの小さな金色の鈴を愛理に手渡した。
「いいのもらっても? せっかくエレナが頑張ってゲットしたのに?」
愛理が申し訳なさそうな顔をしていると、エレナが家族の証として何かあった方がいいと思ってと顔を赤らめながら愛理に言った。愛理はありがとうと言ってその金色の鈴を受け取ると、自身の財布に括り付けた。
「この鈴良いね! 鈴の音色綺麗……」
愛理は鈴の音色を聞いていると、射的屋の初老の男性が愛理に声をかけた。
「その鈴をそんなに気にいってくれるとはね。 その鈴はとある断層から見つかったものらしいが、大量にあったらしく譲り受けたものでね。 気に入ってくれたのなら嬉しいよ」
そう言う初老の男性に、愛理とエレナがありがとうございますと返した。三人は射的屋の側を離れると、エレナが綿あめを食べたいと言い出した。愛理は仕方ないなと言いながら残しちゃダメだよと言って綿あめを購入した。
「はい。 綿あめだよ」
そう言って手渡すと、エレナはすぐに食いついた。エレナは甘いと言いながら黙々とリスみたいに食べ続けて、すぐに食べ終えてしまった。
「はや! もっと堪能すると思ったのに!」
愛理が驚いていると、美味しかったからと頬を掻きながら言った。
「楽しんでくれているのなら良かったわ!」
愛理がそう言うと、奏がいつの間にかアメリカンドッグを持っていた。奏はそれを三人分手に持ち、愛理とエレナにアメリカンドッグを手渡した。
「奏はアメリカンドッグ買ってたんだ! 私にくれるの?」
愛理がそう聞くと、奏は二人に食べて欲しくてと言った。
「ありがとう! いただくね!」
愛理がそう言うと、愛理とエレナはアメリカンドッグを手に取って食べ始めた。
「美味しい! 祭りで食べるアメリカンドッグって何でこんなに美味しいのかな」
愛理がそう言うと、エレナが皆で食べてるからだよと言った。愛理はそうだねと言って美味しいものは美味しいもんねと笑っていた。
「さ、もっと沢山屋台はあるから進もう!」
愛理とエレナは先行こうと言って二人で歩き始めた。奏はその二人を見ると、待ってと言って小走りで追いかける。愛理たちに追いついた奏は、左側を見て沢山の家族が楽しそうにしてると感じた。
「沢山家族連れで来てるね。 私たちはもっと仲良く見えてるかな?」
不意に漏らした奏の言葉を聞いた愛理は、奏の頭を優しく撫でた。
「私はエレナ、パパにママがいるからどこの家よりも楽しいわよ」
愛理の言葉を聞いた奏は、まだパパとママって言ってると微笑していった。それを聞いた愛理は言わないでと頬を膨らませながら言った。愛理たちは尚も先に進むと円形に開けた場所に出た。そこでは太鼓が複数あり、踊っている人たちが沢山いた。
「簡易的だけど夏祭りみたい! 太鼓があったり踊っている人がいたりして楽しい気持ちになるね!」
愛理は踊っている人たちに混ざって踊り始めた。奏はお姉ちゃんと言って止めようとしたが、エレナも愛理に続いて踊りだしたので、溜息を吐いた。
「お姉ちゃんとエレナはもう……ほら、もう遅いし部屋に帰ろう」
愛理とエレナが踊っている途中で声をかけると、二人はわかったと言って渋々踊るのをやめた。そして、来た道を戻って旅館の中に戻っていく。
「晩御飯食べた後だけど、屋台の料理ならすぐ食べれちゃうの不思議よね!」
愛理が自身の腹部を撫でながら言うと、奏がお姉ちゃん太るよと愛理の方向を見て呟いた。
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