レーヴハーモニー輝く星の希望
第80話 別腹と屋台
「だって、デザートは別腹でしょ! こんなに美味しそうなのに食べないなんてもったいない!」
奏はエレナとそうだよね笑いながら話しながら席に戻っていく。愛理は一人残されて、とりあえずラズベリーケーキをもう一つ皿に乗せて奏たちの後を追った。
「待ってよー! 置いていかないで!」
愛理が小走りで追いかけると、何かに躓いたのか転びそうになってしまう。愛理は危ないと態勢を取ろうとバランスを取る。
「あ、危なかったぁ……ケーキが落ちるところだった……」
愛理が冷や汗をかいていると、エレナが落ち着いてと愛理の側に寄ってきた。
「ありがとうエレナぁ……持つべきものは妹ね! もう一人の妹は心配してくれないけど!」
そう言い奏の方を見ると、ニヒルな笑顔を浮かべて黒羽奏だってこの場で騒ぎにするよと愛理に小声で言う。
「芸能人ってばらして騒ぎにしようとするなんて……」
愛理がこの妹はと歯を喰いしばっていると、奏の背後から見知った顔が現れた。その見知った顔の人は奏の頭頂部にチョップを浴びせると、調子に乗らないのと怒った。
「いたーい! 突然何なの!?」
奏が背後を向くと、そこには笑顔ながらに怒っていると理解できる表情を浮かべていた。
「そんなところで馬鹿やっていないで、早く席に戻りなさいな」
楓が奏に早く来なさいと言いながら先に席に座ると、愛理たちも楽しそうにしながら席に座った。三人共思い思いのデザートを食べ進めている。奏はラズベリーケーキを、エレナはイチゴ、愛理は奏と同じラズベリーケーキを食べている。
楓はデザートを食べずにコーヒーを飲んでいた。楓はコーヒーを飲みつつ、愛理たちが楽しそうにデザートを食べている姿を見続けていた。時折笑ったり、苦いと言っている姿の三人を見て、楓自身も楽しいと感じていた。
「さて、晩御飯も食べ終わったし外に行って屋台を準備していたようだったから見てみようよ!」
愛理がそう言うと、奏とエレナが行くと返事をした。楓は温泉に入ると言って三人で行ってきなさいと言った。
「わかったわ! 三人で行ってくるね! ママはゆっくり寛いでね!」
愛理はそう言い、奏たちを連れて屋台がある場所に歩いて行く。辺りは寄りということもあり薄暗くなりつつある中で、屋台から発している光が目立っている。
その屋台がある旅館入り口近くには、多くの宿泊者と思われる人たちが集まって楽しそうに賑わっていた。射的や輪投げ、金魚すくいなど祭りの定番の物に加えて、焼きそばやウインナーなどの食べ物も提供しているようである。愛理たちは屋台が続く道を歩いていると、数十個も屋台があることに気がついた。
「ここまで大きな屋台があるなんて凄いね! 晩御飯食べたのにこの美味しい焼きそばの匂いとか嗅いでいるとお腹が空くわね!」
愛理が周囲の屋台を見ながら隣を歩く奏に言うと、エレナが愛理と奏に屋台や祭りって楽しいねと笑顔で言ってきた。愛理はエレナは祭り関係は初めてかと思った。大規模ではなくとも、屋台数が多く、射的や金魚すくいに輪投げなども多数あるので今回の数十メートルある道にある旅館主催であろう屋台が開催していてよかったと愛理と奏は思っていた。
「エレナは初めてだよね。 祭りは沢山の人が沢山の人と支え合ってしているんだよ。 誰か一人でも自己中心的な人がいると一気に面白くなくなるから、そうならないように気を付けてね!」
愛理のその忠告を聞いたエレナは、分かったと良い声で返事をした。愛理たちは屋台のある道を歩いていると、エレナが射的をしたいと言い出した。
「射的? あ、左にある射的屋さんでやろっか!」
愛理も射的には乗り気であり、祭りに来ると必ず射的を見つけるとしたいと言っていた。愛理はエレナと共に射的屋の前に移動した。
「奏はやらないの?」
愛理は後ろにいる奏に声をかけると、奏は私もやると右手を上げた。
「だよね! やっぱり皆でやらないとね!」
愛理がそう言うと、エレナと奏が楽しみとハモりながら喋っていた。
「おじさん! 三人でやります!」
愛理は射的の屋台の中に立っている初老と思われる白髪の短髪の男性に話しかける。
「お嬢さんたち三人ね! 一人五百円で三人だから千五百円だよ」
お祭り価格で高く思えるが、愛理は三人分の千五百円を支払った。
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