レーヴハーモニー輝く星の希望

天羽睦月

第69話 孔雀温泉駅


電車内では平日とのこともあり、それほど人は乗っていなかった。しかし、エレナが騒いでいるので数十人分の騒がしさをしていた。そんな騒ぐエレナのことを愛理は落ち着いて乗ってなさいと鎮める。

「ごめんなさーい。 でも電車初めて乗るし、旅行も楽しみで動きたくなっちゃう!」

エレナが騒ぐ気持ちは分かるが、もう少し落ち着いてほしいと頭を抱える愛理。そんな愛理に楓はエレナが楽しそうでいいじゃないと言っていた。愛理はママがいいならいいけどと言い、エレナと共に景色を見ることにした。

「まだ都会的な建物が多いけど、徐々に変わってきたわね」

愛理は電車の窓から景色を見てしみじみと感じていた。都会から離れることがほぼなかった愛理は、孔雀温泉に行く道を電車で進みながらこんな景気もあるんだなと微笑みながら見ていた。エレナはそんな愛理の顔を見て愛理が楽しそうで良かったと思っていた。エレナは愛理に購入したお菓子を渡して、一緒に食べようと言った。すると、ありがとうと言って一緒に食べ始めた。

「旅行で食べるお菓子っていつも以上に美味しいね!」

エレナは笑顔で愛理に話しかけながらモグモグと頬を膨らませて食べ進める。愛理はそんなエレナを見てこんなに純粋な時って私にあったかなと思い返すも、思い出せないやと諦めた。そして、電車に揺られること二時間が経過すると、目的地である孔雀温泉駅に到着した。

孔雀温泉駅に到着すると、電車から多数の人々が下りていた。愛理たちが乗っていた車両以外には多くの人が乗車していたようで、孔雀温泉駅には平日ながら多くの観光客で溢れていた。ホームに降りた三人は、階段を下りるために歩いている。階段を下って右に進むと、改札が見えてきた。そこでは、多くの観光客が写真撮影をしたりお土産を見たりしている。愛理たちは改札を通って駅前広場に出る。そこでは駅前にある足湯や駅と併設されている駅ビルの入り口などがある。愛理たちは駅ビルに入り、そこの建物の三階にある料理屋を目指してエスカレーターを上っていく。

「ここ孔雀温泉は海鮮料理が有名らしいわ! 楽しみね!」

楓はいつの間にか持っていた観光ガイドの本を見ながら二人に言う。エレナは海鮮料理楽しみと笑いながら一番先頭を歩いて行く。三階に到着すると、そこには多数の料理屋が並んでいた。海鮮料理屋ばかりであり、その中で三つある料理屋の中の一つである海鮮遊楽という料理屋を発見し、楓はここが美味しいらしいわと二人に言う。

「ここが美味しい海鮮料理屋! お店の料理全部食べたい!」

ディスプレイに並べられている海鮮料理の数々を見たエレナがそう言うと、そんなに食べれないでしょと愛理はもうと言いながらエレナを止めた。

「ここで食べましょう! 楽しみだわ、海鮮料理!」

愛理は先に店に入る楓に続いてエレナと共に入っていく。入った海鮮料理屋は評判が高く満員であったが、ちょうど会計をしていた人がいたのですぐに席が用意された。

「少し値段は高いけど、美味しいから楽しみね!」

楓は料理が書かれている紙を見ながら笑顔でエレナと共に料理を選んでいた。「私たちは決めたけど、愛理はもう決めたかしら?」

愛理が周囲を見渡している間に、楓とエレナは注文する料理を決めたらしい。愛理は紙をもらって、食べてみたい料理を選ぶ。焼き魚料理や海鮮丼、船盛と様々な料理が絵と共に書いてある。愛理はその料理の中で海鮮丼を注文することにした。

「私はこの海鮮丼でいいわ」

愛理のその言葉を聞くと、楓は従業員を呼んで注文をしようとする。従業員が楓のもとに来ると、楓は海鮮丼二個に焼き魚定食を注文した。エレナは楽しみだなと笑顔でウキウキとしていた。楓はエレナと共に楽しみだねと料理について話している。愛理はそんな二人を見ながら温泉楽しみだなと考えていた。

「星空理事長が戦闘もなく静養してほしいとのことだけど、本当に静養できるのかな……ゆっくりしたいけど、怪物がここに出現しないとも限らないけど……」

悩む愛理だったが、今は温泉旅行に来ているので怪物のことは考えることはやめることにした。すると、料理が運ばれてきてエレナは海鮮丼だと両腕を上にあげた。

「やっと食べれる! これが海鮮丼だー!」

エレナはサーモンやマグロの切り身、サバの切り身などが添えられている料理を小皿に醤油を注いでわさびを溶かして海鮮丼にかけた。エレナはいただきまーすと元気な声で割り箸を二つに割りながら言って食べ始める。楓は良い声で言うわねと言いながら焼き魚定食を食べ始め、美味しいと幸せそうな顔をして食べ始めていた。愛理はエレナと同じく小皿に醤油とわさびを入れて、海鮮丼にかけて食べ始める。

「いただきます。 はむ……このサーモンの脂……この噛み応え……口の中で溶けた……」

愛理は一度箸をおいて目を閉じると、美味しいと声を上げて両手で両頬を抑えた。

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