レーヴハーモニー輝く星の希望

天羽睦月

第65話 不思議な夢


ドアの手前で転びそうになったので、奏が身体を支えてくれた。奏は無理しないでと言って愛理を支えながら二階に降りていく。リビングでは既にエレナが楓と共に食器に料理を盛り付けていた。その料理はカレーライスであり、愛理は美味しそうと言いながら目を輝かせていた。奏はふらついている愛理を椅子に座らせると、自身も椅子に座ってカレーライスを食べ始めようとする。

「まだ私の分がないよ!」

エレナは奏に自分の分を準備していないと言って手伝ってと言うと、奏は仕方ないなーと言いながら立ち上がってエレナを手伝い始める。奏はエレナの分のカレーを盛り付けると早く食べようとスプーンを持って待つ。

「じゃ、食べましょうか。 いただきます」

楓の言葉が終わると、全員がいただきますと言ってカレーを食べ始める。愛理はものすごくお腹が減っていたので勢いよく食べ進めると、むせてしまった。奏は何やってるのと言って水をコップに注いで渡す。

「ごめんね。 ありがとう!」

愛理はありがとういと言いながら水を飲んだ。愛理は水を飲み干すとカレーを再度食べ進める。戦闘の後に数時間寝ていたので、予想以上に空腹であったために、一度食べ始めると止まらなかった。

「二人でこのカレー作ったの?」

愛理は食べながら奏とエレナに聞いてみることにした。すると、エレナが奏と作ったんだよと笑顔で返してくる。愛理はそれを聞くと、私より料理上手いよと驚いていた。「奏と協力して作っても、エレナは料理上手いわ!」

愛理はカレーを食べ進めていると、エレナも自身の作ったカレーを食べ進めていると、もう少し濃くすればよかったかなとしかめっ面をしながら食べ進めていた。楓と正人は美味しそうに食べる愛理や奏にエレナを見ていると、この幸せな空間に戻ってこれてよかったと思っていた。いくらエレナのおかげで愛理が元気になったとはいえ、右腕を失いかけた現実が親として辛かった。エレナには愛理をサポートして補助してほしいと考えていた。

「エレナちゃんに出会えてよかったわ。 ありがとうね!」

楓がエレナにありがとうと言うと、何にありがとうかわからないけどこっちこそありがとうと返す。エレナは口を汚しながら食べ進めていると、もっと食べたいと食べ終えた皿を持ち上げて言っていた。

「お行儀悪いことしないの。 今よそってあげるからね」

楓はお皿を受け取ってカレーを盛り付けていく。盛り付けは最初と同じ量であり、エレナはそのカレーを受け取ると再度食べ進める。愛理はよくそんなに食べれるわねと自身の腹部を摩りながらエレナに話しかけると、美味しいものは仕方ないと眩い笑顔で返されてしまった。

「どこでそんな言葉覚えたの!? もっと他にいい言葉覚えてよ!」

愛理が落胆していると、奏がこの世界の文化知ってくれることは良いことだよと言う。そして、そんな一幕があった晩御飯が終わると愛理は自室にて右腕を触っていた。やはり治ったとはいえ、切断された感触が未だに感じるときがあるので慣れるものじゃないと苦悩していた。愛理はベットに横になっていると眠気が襲ってきて眠ってしまい、夢を見始める。その夢は広い草原に立つ愛理が白い剣を持って佇んでいる夢であった。何を考えるわけでもなく、ただ茫然と愛理はその場に立ち尽くしていた。しかし不意に後ろを振り向くと、そこには奏や葵を含んだ多数の人々の死体が積み重なって広く倒れていた。

血を流していたり四肢が欠損している死体も見える。愛理はその死体の山を横目で見ながら前方へ走っていく。愛理は白い剣を構えて走ると突然空から光の柱が降り注ぎ、そこから人型の怪物が現れ始める。愛理はまたかと小さく呟くと、白い剣を横に振るって軽々と怪物たちを倒していく。夢の中の愛理は現在の愛理とは違い、非情であり冷静であり的確に白い剣で怪物を切り裂いていた。

光の柱から出現した怪物を倒しきると、がらっと風景が変わって砂漠に立っていた。愛理は砂漠に立ちながら額から血を流していた。愛理はその流れる血を気に留めずに白い剣に自身の血を垂らして刀身を赤黒く染めた。その染めた剣に魔力を込めると愛理は空を見上げた。その空には大きな宇宙船と思われる船が宙に浮いていた。

愛理はその宇宙船目掛けて赤黒い刀身に変化した剣を振るうと、宇宙船に向かって魔力の塊の斬撃を飛ばした。その斬撃を受けた宇宙船は真っ二つに船体が割れて大爆発を起こした。愛理は無表情のままさらに二発の斬撃を飛ばすと、宇宙船は爆発を数回起こしながら砂漠に落下して完全に沈黙した。

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