レーヴハーモニー輝く星の希望

天羽睦月

第59話 日常の隣に住む恐怖


リビングに戻ると、ソファーにて楓が寛いでいる姿が眼に映った。 愛理はエレナに楓の隣に座っておとなしくテレビを見てなさいと言う。 愛理は少しコンビニに行って飲み物でも買ってくると言い、楓からお金をもらって家を出ていった。家を出た愛理は、家具移動疲れたと言いながらため息をついて道を歩いていた。 周囲を見渡すと、この間の戦いなんてなかったかのような平和な時間が流れていることに気が付いた。

「あの戦いなんて、もうなかったかのようね……気にしていない毎日がいいと思うけど、それでもあの戦いがなかったかのように扱われるのは辛い気がする……」

愛理はもやもやした何かを感じながらも、コンビニへの道を歩いていく。愛理はコンビニが見えたと思うと、コンビニの入り口前に小さな亀裂が発生したのを見た。愛理はその亀裂を見ると、一瞬にして目を見開いて亀裂に向けて走る。

コンビニの側にいた人たちは、その亀裂を見ると一目散に悲鳴を上げながら逃げる人や、その場で腰を抜かす人、コンビニ内に逃げ込む人など様々であった。愛理は亀裂から出てきた赤い甲冑を着ている右手に刀を持っている怪物を見ると、飛び蹴りを甲冑を着た怪物に浴びせる。

「早く逃げてください! 安全な場所まで早く!」

愛理はすぐさまライトシールドを発動させると、甲冑の怪物の攻撃を防ぐ。腰を抜かしている人を守るために動けないので、近くにいる人に助けてくださいと攻撃を防ぎながら叫ぶ。 すると、一人の若い男性が愛理の後ろにいる腰を抜かしているお婆さんを助けにきた。

「助けにきました! 俺が運びます!」

若い男性は愛理に声を開けると、腰を抜かしているお婆さんの抱き起してその場から離れた。 愛理は離れたことを確認すると、ライトソードを発動して左手にライトシールド、右手にライトソードを発動して甲冑の怪物に相対した。

「まさか戦うことになるなんて……もうあんな怪我は出来ないのに……」

愛理は怪我について恐れつつも、周囲にいる人たちを守るんだと言う意思で戦うことにした。 愛理は甲冑の怪物の攻撃をライトシールドで防いでいく。 縦・横・斜めと何度も連続で攻撃をされつつも、愛理はライトソードで防ぐ合間を縫って甲冑の怪物に攻撃をしていく。

「この怪物硬い!? 甲冑に当たってもダメージが!」

愛理の攻撃が効かない甲冑の怪物に、なおも愛理は何度も攻撃をしていく。愛理のその戦う姿を周囲の住民や避難してた人たちが頑張ってと応援していた。

「テレビで見た学校で戦ってた女の子じゃない!? 頑張って! 負けないで!」

一組のカップルが愛理を指さして傷つきながら戦ってた女の子だと言っていた。 そして、カップルに続いてその場にいた人たちやコンビニの中に避難していた数人の客も愛理に向けて頑張ってくれと叫んでいた。

「何度も攻撃してるのに! 防ぐので精一杯!」

愛理は甲冑の怪物が振るってくる刀をライトシールドで防ぐが、一段と高威力で刀を振るってくるので、愛理は一撃一撃を防ぐことで少しずつ後ろに下がってしまっていた。

「この連続攻撃の嵐は何!? 刀ってそこまで振るえるものなの!?」

自身の迫りくる刀を辛うじて防いでいると、愛理は甲冑の隙間を見つけた。 愛理はライトシールドで刀を防いだ瞬間、ライトシールドを消してライトソードを甲冑の怪物の左脇にある小さな隙間に突き刺した。愛理は強く声を上げてライトソードを突き刺すと、甲冑の怪物は呻き声をあげて愛理の腹部を蹴り上げる。 愛理は空気を吐き出すとそのまま地面を転がってしまった。

「ゲホッ! ゲホッ! まさか蹴りが来るなんて……でも、突き刺してかなりダメージを与えられた!」

愛理が自身の腹部を右手で抑えながら立ち上がると、愛理を応援していた女性の一人から特殊魔法部隊に連絡したよと声が聞こえた。 愛理はその声を聞いて、特殊魔法部隊がもうすぐ来てくれると心強さを感じていた。

「特殊魔法部隊が来てくれる! 私が今怪物と戦って皆を守らないと!」

愛理が意気込んでいると、お姉ちゃんと鬼気迫る声で聞き覚えのある声が聞こえた。 愛理は声がした方を振り向くと、そこには制服を着ている奏がいた。

「奏!? 何でここにいるの!?」

愛理はこの場所にいる奏に驚きながら、甲冑の怪物の攻撃をライトシールドで防いでいた。 奏は愛理が実際に戦っている姿を見るのは二度目だが、今回のは病院で見た怪物よりも威圧感や死が目の前にある感覚を発しているので、奏はこのような怪物とお姉ちゃんは戦っているんだと考えていた。

「奏は避難している人たちの側にいて! 私が守るから!」

その言葉を聞いた奏は、お姉ちゃん頑張ってと言いながら避難している人たちの場所に走っていく。

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