レーヴハーモニー輝く星の希望

天羽睦月

第55話 エレナの部屋


「その時のことは秘密よ! その記憶は消しなさい!」

愛理は両手で奏の両頬を叩いた。 勢いはなかったが、奏の水々しい頬に当たった衝撃で予想以上に大きな音が鳴った。

「痛い! お姉ちゃん!」

奏は自身の両手を使い、愛理の両頬を叩いた。 奏の攻撃を受けた愛理は、ぶぅっと勢いよく空気を吐き出した。 その姉妹の行動を見ていたエレナは、面白いと言っていた。

「面白くないわよ。 もう! 早くたべましょう!」

愛理のその言葉に奏は、そうだねと返してたべ進める。 エレナは既にたべ終えており、ゆっくりジャスミン茶を飲んでいた。

「エレナちゃんは、もう私たち家族の一員よ。 エレナちゃんはこれから、黒羽エレナね!」

黒羽エレナ、そう呼ばれたエレナは、嬉しいと静かに涙を流していた。 愛理たちはエレナのその姿を見た途端、近づいて愛理と奏はエレナを抱きしめた。

「エレナの部屋にいきましょうか!」

愛理がそう言ってエレナの手を引くと、エレナが足に力を入れてそれを拒んだ。

「どうしたの? 何かあったの?」

愛理が聞くと、エレナがまだジャスミン茶飲むといっていた。 愛理は気が済むまで飲んでと言うと、ソファーに座ってスマートフォンを見始めた。奏は電話してくると言って自室に戻り、正人も奏に続いて部屋に戻った。 楓は洗い物をしたり、愛理と一緒にテレビ番組を見て笑っていた。

「満足したよ! ジャスミン茶大好き!」

エレナのその声を聞いた愛理は、行きましょうとエレナを連れて三階に上がった。 愛理と奏な部屋以外にもう一部屋あるのだが、そこは物置部屋となっている。 エレナが住むにあたって、家族総出で片付ける必要があるために、翌日に片付けをするのが決まっていた。

「今は物置部屋になってるけど、私たち姉妹と同じ広さと作りになってるからゆっくり過ごせるわよ」

愛理に見せられた部屋を見て、エレナは目を輝かせていた。

「ここが私の部屋になるんだ! 愛理や奏と同じ部屋!」

未だ物置部屋の部屋を見てエレナは嫌な顔一つしなかった。 愛理はエレナは全てが新しくて一つ一つに感動しているんだと感じていた。

「さて、今日は私の部屋で寝よっか。 隣の部屋が私の部屋よ」

愛理に続いてエレナが部屋に入っていくと、ここがら愛理の部屋かと再度目を輝かせていた。 エレナは愛理の部屋を見渡すことにした。 まず目に入ったのは、部屋の奥にあるベッドと机であった。 可愛らしいピンク色のシーツや掛け布団に、長い白色の長方形の机が愛理らしいと感じていた。

また、左側には棚があった。 その棚には漫画や雑誌が沢山収納してあり、愛理の趣味趣向が見てとれた。 エレナは次に右側を見ると、スタンドミラーや服が入れてある収納スペースを見た。

愛理は可愛らしい服やラフな格好が好きなので派手な服はなかった。 エレナは私もこんな服沢山着たいなとふと思った。 愛理の部屋を眺めていると、愛理が敷布団をどこからか取り出してエレナに今日はこれで寝てと言った。

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