レーヴハーモニー輝く星の希望

天羽睦月

第44話 強くなる


「わかりましたぁ……」

愛理はそう言ってお腹を大きくならせながら、おかゆを食べ始めた。 おかゆを食べた愛理は、すぐ食べ終わってしまったので物足りなさを感じていた。

「絶対この物足りなさは嘘じゃない! 全然足りない!」

愛理は夕食が乗せられている可動式の机に突っ伏して、何か食べたいと呟く。 そして、愛理はスマートフォンを操作して葵にお腹空いたとメールを送ると、葵からハンバーグの画像が送られてきた。

「葵いいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!」

愛理はガッデムと一言だけ返信すると、葵から笑っている顔文字だけが送られてきた。

「葵いいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!」

愛理は机に突っ伏しながら葵の名前を叫ぶと、大笑いし始めた。

「まさかこんなに笑うなんて思わなかったなぁ」

愛理は笑いながらこの葵とのやり取りが面白いと感じていた。 魔法学院に入学して怪物との命がけの戦闘があったものの、葵や学友との出会いは大切なものだと感じていた。 愛理が微笑しながら笑っていると、突然部屋の扉が開いた。

「だ、誰!? 突然誰なの!?」

愛理が開いた扉の方を向くと、そこには星空校長が立っていた。 腹部を切り裂かれて重傷なはずだったのに、病室の入り口に立っていることが信じられなかった。

「何で校長先生がここに!? てか、怪我は大丈夫なんですか!?」

愛理は突然の星空校長の来訪に驚きを隠せなかった。 愛理の怪我は大丈夫かとの質問に、星空校長は回復魔法ですくに治したと返答した。

「回復魔法ってそんなに早く治りましたっけ……」

自身が受けた回復魔法とは違うのかと思いながら、星空校長だからかと納得することにした。 星空校長は、愛理の右側にある椅子に座って、愛理に話しかける。

「怪物との戦闘を君一人に任せてしまって申し訳ない。 私が弱いばかりに切り伏せられてしまった……」

椅子に座りながら愛理に向けて頭を下げると、愛理はそんなことありませんと身を乗り出しながら言った。

「校長先生のせいじゃありません! 私の力不足もありましたし、特殊魔法部隊の人たちとの協力もあって切り抜けることができました!」

愛理は自身の力だけではないと星空校長に言うと、君の力のおかげでもあると言ってくる。 星空校長は、愛理の胸の部分に右手の人差し指を向けた。

「私の胸ですか?」

愛理は自身の胸に手を当てて言うと、違うと星空校長は言う。

「戦闘の終盤で、君自身から出現した白い剣のことだよ」

白い剣と聞いた愛理は、今の今まで剣のことを忘れていた。そう言えば出現してたと口を大きく開けて思い出したと叫ぶ。愛理は自身の身体から出現した武器のこと、あの白い剣のことを思い出し、あの時はどうやって出現させたのか愛理は思い出せないが、あの武器を再度出現させることが出来れば、これからの怪物との戦闘が格段に優位に立てると思った。

「星空校長はあの武器のことを知っているのですか?」

その言葉を聞いた星空校長は、私も聞いたことがないと言う。

「私も聞いたことがない身体から出現するその不可思議な武器についてだが、調べるのであまり使用しないでほしい」

そのことを言われた愛理は、気をつけますと返した。 愛理は武器の出し方自体が分からないので、もし出してしまった際はどうしたらいいですかと聞いた。

「その時はその時だが、剣が出現したと言うことは君が危機の時だと思う。 なので、武器を使用して生き残ってほしい」

生き残ってほしい、そう言われた愛理は分かりましたと意思が込められた声で言うと、お互いにもっと強くなろうなと星空校長は言ってくれる。

「はい! もっと強くなりたいです!」

愛理の意思を聞くと、その魔法書に浮かび上がったであろう魔法を覚えていって、剣も扱えるようにしていこうなと星空校長が笑顔で愛理に言う。その後数分星空校長と談笑をすると、そろそろ時間だなと自身の左腕に付けている時計を見て言う。

「君の武器のことを調べるために研究機関に行く予定でね、こちらで失礼するよ」

そう言いながら椅子から立つと、ゆっくり静養するんだよと愛理に言いながら部屋を出ていった。

「まさか校長先生が来るなんて驚いたなー。 私はまだ強くなれるし、葵や校長先生と一緒に強くなるんだ!」

そう決意をすると、寝るかと布団を被って寝始めた。 寝るときは寝ようと決めた愛理は、そのまま熟睡をした。愛理は寝た際に夢は見ずにそのまま朝まで寝続けて、朝の回診にきた医師に起こされた。

「もう朝ですかぁ……もう少し寝させてください……」

そう言いながら布団を被って再度寝ようとすると、医師に布団を剥がされて起きてくださいと言われた。

「はぁい……」

目を擦りながら起き上がると、目の前にいる医師に目や喉に心拍数を計られた。 愛理はされるがままにされていると、回診が終了と同時に朝食が運ばれてきた。朝食はおかゆに鮭と同じような料理であったが、愛理は意外と美味しいのよねと言いながら食べ始めていた。

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