レーヴハーモニー輝く星の希望

天羽睦月

第43話 新魔法と料理


投げつけられた枕を正人は華麗に受け止めると、まだまだだなと愛理に優しく投げ返した。 愛理はうるさいと歯を出して正人に言うと、そのまま布団を被って寝ようとした。

「まだ寝るなよー。 今から医師の方から説明があるから」

その言葉を聞いた愛理は、すぐさま起き上がって話を聞く態勢にした。

「まだ治療は完全なわけではないので、一週間入院していただく間に毎日回復魔法による治療と、漢方による治療をします。 これによって残っている痛みや内臓のダメージが治っていきます」

そう言われた愛理は、もうすぐ身体が治ると嬉しそうにしていた。 その顔を見た医師は、運ばれた時より元気になってよかったと嬉しそうにしていた。

「色々していただいてありがとうございます」

愛理は頭を医師に向けて下げた。 医師はこれから入院生活だけど、いい機会だから色々楽しんでくれと言った。

「はい! 退屈だと思いましたが、いい機会なのでゆっくり楽しみます!」

その言葉を聞いた医師は、よかったと嬉しそうにしていた。 そして、ありがとうと言葉を発する。

「何かしましたっけ?」

愛理が小首を傾げていると、医師が私の息子を救ってくれたと言う。 医師の息子は愛理と同じく星空魔法学院に通っていて、あの場にいたらしい。愛理は知らず知らずのうちにたくさんの命を救っていたようで、愛理はこれからも自分の命を大切にしながら救っていきたいと考えた。愛理は私の戦いで、救えて良かったですと笑顔で返した。 愛理の返答を聞いた医師は、ありがとうと再度言い、入院中やこれから先君が怪我をしてここに来た際には、全力をもって治すと約束してくれた。

「愛理はあの戦いで、大きく成長したな」

正人のその言葉に楓はそうねと言うが、もうあんな戦いに身を投じて欲しくないとも言った。 すると正人は、そうだなと返して怪物が現れたことを呪った。

愛理たちが話していると日が暮れ始めて、正人たちは帰るねと愛理に言う。 愛理はもう帰っちゃうのとブーイングを飛ばすも、正人がこの病院は遠いからと言うと、なら仕方ないと愛理は納得した。

「愛理、また来るね! おとなしく入院してなさいよ」

葵はそう言って部屋から出て行った。 正人たちもそれに続いて愛理に言葉をかけていくと、広い個室に愛理一人となった。

「私はもっと力を使いこなして、強くなりたいな……」

愛理はそう呟くと左側を向いた。 左側には小さな机が置いてあり、その机の上に自身の魔法書は置いてあった。誰が置いたかは分からないが、ありがとうと思いながら魔法書のページを一枚ずつ捲っていく。すると、少し前に開いたページ以上に魔法が浮き上がっていることに気が付いた。

「こんなに魔法が! あの怪人のシンと戦ったからかな……」

愛理は浮かび上がっている魔法を読み進めることにした。愛理は新たなページを読み進めると、読める文字と読めない文字があることに気が付いた。 読める文字にはライトブラストやライトバニッシュしか読めず、読めない文字の魔法は五つあった。

「読めないほうが多いじゃないの! どういうことよ!」

愛理は魔法書を布団に置いて、天井を見上げた。 そして再度魔法書を読み始めて、ライトブラストとライトバニッシュを覚えることにした。

「なになに……ライトブラストは小さな光の塊を数十個飛ばして相手を足止めする魔法っと……威力は弱い!? ダメじゃないそれじゃ!」

頭を抱えて喚くと、次にライトバニッシュを見ることにした。

「ライトバニッシュは相手に弱い衝撃破を浴びせる魔法であると……この魔法は実戦で使えそうね……」

愛理は魔法を発動はしないが、イメージで使った場合の想定をし始める。 魔法を発動する際のポーズや自身の動きや魔法の連携を考えていた。そんなことを考えていると夕食の時間になり、看護師が運んできてくれた。 愛理はやっとご飯だと喜んでいると、その量の少なさに驚いてしまう。

「おかゆに鮭だけ!? もっと食べたいよ!」

愛理が文句を言うと、看護師の女性がまだ内臓が痛んでますし、消化がいいもので量はまだ多く食べれませんと一蹴されてしまった。

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