デビル・フレンズ

魔王なおチュウ(魔闇直樹)

【第0章 出会い】 第1話 悪魔との出会い1

 近所の公園に6人の小学生が集まっている。正確には、1人と5人。

「おい、雑魚、食らえー」

「うわーーー!!」

 5人組のリーダー格の1人が電属性の魔法を、浴びせその痛みで、悲鳴を上げる。

「ヒャーヒャッヒャ、悔しかったら俺たちに魔法を使ってみろよ! まっ使えたらの話だけどなーー!」

 他のメンバーが「林太郎くんさすがー」「雑魚に生きる価値はなーい」などと掛け声を入れる。

「う……うーー」
[なんで僕は、魔法が使えないんだろう]

 自分の不甲斐なさに涙が出てくる。

「何泣いてんだよ! お前に決定権はないから」

「そうだぞ、細貝の言う通りだ!」

 2人はそう言うと、片方は炎を、もう片方は氷の魔法を繰り出した。

「あーーーっ」

 苦しみもがく相手に「ヒャハハハ」と笑い声を上げる。

「しっかしこいつは、しぶといなぁ。あざはできるのに、大怪我はしないからな〜。下等な分際で魔力は、高いみたいだしな、まぁそのおかげで、先生たちにはバレないしな」

 いじめられている彼は、魔法が使えないが、魔力は、普通の人よりも高い。魔力が高ければ、体に受けるダメージは、減る。

[こんな毎日、もう嫌だ……]

 毎日、延々と続く苦しい日常に絶望する。その時、

「何やってるんだ? 人間ども、下手な悪魔よりクズじゃねーか」

 大人と比べても大きい身長の人物が彼らに声をかける。

「あん? 俺たちは神の名の下に哀れな奴とサンドバックとして遊んでやって……な……なんだその魔力……」
 林太郎は、間違った正義感を語るのをやめ、とてつもない魔力を感じ冷や汗を掻く。

 他の4人も少しビクビクしている。無理もない、今まで会ったことのない禍々しい魔力。

「あ……悪魔、そっか悪魔かぁ。なぁあんた、一緒にこのゴミ人間いじめようぜ」

 細貝は、起点をきかせてこの悪魔を仲間に誘う。

 悪魔は、邪悪な存在とされている。人間たちはそう語り継がれてきた。だから、悪いことをしている自分らに味方してくれるに違いない。しかしその考えは、古くからの偏見であり……

「なに言ってるんだお前? 同族同士で何頭の悪いことをしてるんだ?」

「なんだと?」

 自分のしていることを侮辱され、林太郎は苛立ち恐怖を消え去る。

「大体状況は、把握した。そんなに魔法を人に使いたいなら、俺が相手になってやる」

「いいだろう、お前らこのクソ悪魔を倒すぞ! 確かに強い魔力だが、こいつは悪魔だ、神が見ている。俺たちは勝てるぞ」

 5人は、一斉に攻撃を繰り出す。

 ズドンッと大きな音を立てる。

 しかし、悪魔には傷一つ付いていない。

「1つ、いいことを教えてやる。神は見ていると言っても、選ばれた人間にのみ力を与える。お前らのような悪ガキどもが滅悪の加護を受けられるわけないだろう」

 悪魔は、2メートルほど浮き、笑みを浮かべて魔力を鳴らす。

「や……やだ……やだやだやだやだ」

 突然現れた存在に彼らは、本能的に怯え体をガタガタ震えている。

「今度は、こっちの番だ。この際にいいものを見せてやるよ、神の配下の天使が使う技を見せてやる」

 悪魔から神々しい光を放ち、天使のような羽が舞う。

「エンジェル・フェザー」

 白い羽が、彼らを覆い、超連続で攻撃する。

「「「「「うわーー!」」」」」

 悪魔の攻撃魔法をうけ、5人は宙を舞い地面に倒れる。それにより全員洋服がボロボロになり、体中から血を流す。

「天使の魔法は、便利だな。殺さずにすんだからな」

 悪魔は、「グワッハッハーー!」と大声で笑い出す。

「さてと、おい!」

「はっはい……」

 いじめられていた少年に声をかける。

「お前も頑張れよ、じゃあな!」

 悪魔は、彼にニヒッと笑みを送る。そして、ゲートを開き中に入ろうとする。

 この時助けられた少年は、突然現れた悪魔の目が悲しそうに見えた。

「あのっ待ってください!」

「ん?」

 禍々しい空気を巻き起こす存在に、彼は勇気を振り絞る。

「僕と……友達に……なってください!」

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