雨のための詩

小鳥 薊

第4話 雨あがり

まだ匂いが残っている

さっきまでいたのに
もういない
もうどこにもいない

目を瞑るとまだいるのに
何の音もしない

祭りのあとの朝みたいに
何もない
何にもなかったことのように
何も残さないで
消えてった

どこへ帰っていったの

水たまり
わざと踏んで帰った
忘れないように
ここにあったことを
踏んずけて帰った

小鳥が
ちゅんちゅん と鳴いた
もうお終いですよ と泣いた
深呼吸して帰った

          

「その他」の人気作品

コメント

コメントを書く