幼女の、幼女による、幼女のための楽園(VRMMO)
みのりんの企み
「なるほどなぁ、伝説の商人の遺産か! 面白そうじゃねーか!」
ラックから話の詳細を聞いたカナは、英雄が残した宝という事で大いに興味を惹かれたらしい。
既に探索に向けて気合いが入っているようで、拳を手の平にパシッと打ち付けている。
ちなみに、その宝は第1層の、とある山から行けるダンジョンに眠っているらしい。
「じゃあ、こんな所で、のんびりしてる暇は無いんじゃない? 早く行かないと他の商人さんに先を越されちゃうよ?」
こてん、と首を傾げて、疑問を口にする、みのりん。
「あー、いや、僕は別に行かなくても良いんですよ。先輩方が宝の情報を持ち帰ってくれれば、それで満足ですから……」
しかし、ラックの回答は予想よりもネガティブなものだった。
「でも、ラックさんの憧れの人なんでしょ? 本当に、それで良いの?」
「そーだぞ、ラック! 自分の手で見つけ出したいとは思わないのか?」
「それは……。でも、僕なんかには……」
僅かに葛藤を覗かせるラック。
そこへ、場違いにテンションの高い声が響く。
「はーっはっはっは! 相変わらずの腑抜けっぷりだね、ラック君!」
嫌みな高笑いと共に現れたのは、同じく商人のベイドだった。
「あっ、ベイドさん。おっは~」
「いや、なんだ、その気の抜ける挨拶は! というか、僕と君は、いつから、そんな気安く接するような関係になった!? 君と友人になった覚えはないぞ!」
「あー、はいはい。ツンデレ、ツンデレ」
「だから、そのツンデレとは何なのだ!?」
「そんなことより、何か用? ラックさんに構って欲しいの?」
以前、デュエルを申し込んだ時のように、みのりんに翻弄され、苦い顔を見せるベイド。
「くっ、君も相変わらず人の話を聞かないな。……まぁ、良い。遺産については安心したまえよ、ラック君。近いうちに、このギルドへ運び込まれる事となるだろうから。いずれ、かの伝説の商人を越える、この僕によって……ね。その暁には穴が空くほど、好きなだけ眺めると良い」
「チッ、てめぇの方こそ、相変わらずの嫌みっぷりだな」
「口の悪さに関して、君に、とやかく言われたく無いけどね。少しは淑女らしい物言いが出来ないものか」
「ごめんあそばせ。これで満足か?」
「棒読みで無ければね。……まったく、君達と話すと、どうにも調子を崩される」
どうやら、みのりんと同じくらい、カナにも苦手意識を抱いたらしい。
自分から話し掛けているので、自業自得ではあるが。
「だったら、いちいち絡んでねぇで、ダンジョンに向かったらどうだ? つーか、お前も出遅れてる癖に余裕ぶっこき過ぎじゃね。お前よりランクの高い商人も動いてんだろ?」
「……フン。余計な、お世話だ。その程度はハンデとして、ちょうど良い」
「だとさ、ラック。ここまで言われて黙ってて良いのか?」
「……そうですね。僕だけなら、ともかく、先輩方まで侮られるのは少し不快です。貴方の、その過剰な自信が砕ける所を見てみたくなりました」
さすがのラックも、ベイドの言動には思う所があるらしい。
その目には、先程までの弱気な色は見えず、静かな闘志が浮かんでいる。
「フッ、言ってくれるじゃないか。それが口だけで無いことを祈っているよ?」
「良く言った、ラック! なぁに、こっちは3人もいるんだ。探索なら俺様たちの方が有利だぜ!」
「いいだろう。纏めて相手をしてあげるよ。遠慮なく掛かって来たまえ!」
バチバチと視線を交わし、火花を散らす3人。
しかし、そんな彼らに冷や水を浴びせるように、みのりんが口を開く。
「あっ、じゃあ私は、ベイドさんとチーム組もっかな! その方が面白そうだし!」
「……えっ?」
「……はっ?」
「……なん……だと?」
ラック、カナ、ベイドの3人は、揃って口を開け、呆然としている。
そんな彼らに、みのりんは不敵な笑みで以て応じたのだった。
ラックから話の詳細を聞いたカナは、英雄が残した宝という事で大いに興味を惹かれたらしい。
既に探索に向けて気合いが入っているようで、拳を手の平にパシッと打ち付けている。
ちなみに、その宝は第1層の、とある山から行けるダンジョンに眠っているらしい。
「じゃあ、こんな所で、のんびりしてる暇は無いんじゃない? 早く行かないと他の商人さんに先を越されちゃうよ?」
こてん、と首を傾げて、疑問を口にする、みのりん。
「あー、いや、僕は別に行かなくても良いんですよ。先輩方が宝の情報を持ち帰ってくれれば、それで満足ですから……」
しかし、ラックの回答は予想よりもネガティブなものだった。
「でも、ラックさんの憧れの人なんでしょ? 本当に、それで良いの?」
「そーだぞ、ラック! 自分の手で見つけ出したいとは思わないのか?」
「それは……。でも、僕なんかには……」
僅かに葛藤を覗かせるラック。
そこへ、場違いにテンションの高い声が響く。
「はーっはっはっは! 相変わらずの腑抜けっぷりだね、ラック君!」
嫌みな高笑いと共に現れたのは、同じく商人のベイドだった。
「あっ、ベイドさん。おっは~」
「いや、なんだ、その気の抜ける挨拶は! というか、僕と君は、いつから、そんな気安く接するような関係になった!? 君と友人になった覚えはないぞ!」
「あー、はいはい。ツンデレ、ツンデレ」
「だから、そのツンデレとは何なのだ!?」
「そんなことより、何か用? ラックさんに構って欲しいの?」
以前、デュエルを申し込んだ時のように、みのりんに翻弄され、苦い顔を見せるベイド。
「くっ、君も相変わらず人の話を聞かないな。……まぁ、良い。遺産については安心したまえよ、ラック君。近いうちに、このギルドへ運び込まれる事となるだろうから。いずれ、かの伝説の商人を越える、この僕によって……ね。その暁には穴が空くほど、好きなだけ眺めると良い」
「チッ、てめぇの方こそ、相変わらずの嫌みっぷりだな」
「口の悪さに関して、君に、とやかく言われたく無いけどね。少しは淑女らしい物言いが出来ないものか」
「ごめんあそばせ。これで満足か?」
「棒読みで無ければね。……まったく、君達と話すと、どうにも調子を崩される」
どうやら、みのりんと同じくらい、カナにも苦手意識を抱いたらしい。
自分から話し掛けているので、自業自得ではあるが。
「だったら、いちいち絡んでねぇで、ダンジョンに向かったらどうだ? つーか、お前も出遅れてる癖に余裕ぶっこき過ぎじゃね。お前よりランクの高い商人も動いてんだろ?」
「……フン。余計な、お世話だ。その程度はハンデとして、ちょうど良い」
「だとさ、ラック。ここまで言われて黙ってて良いのか?」
「……そうですね。僕だけなら、ともかく、先輩方まで侮られるのは少し不快です。貴方の、その過剰な自信が砕ける所を見てみたくなりました」
さすがのラックも、ベイドの言動には思う所があるらしい。
その目には、先程までの弱気な色は見えず、静かな闘志が浮かんでいる。
「フッ、言ってくれるじゃないか。それが口だけで無いことを祈っているよ?」
「良く言った、ラック! なぁに、こっちは3人もいるんだ。探索なら俺様たちの方が有利だぜ!」
「いいだろう。纏めて相手をしてあげるよ。遠慮なく掛かって来たまえ!」
バチバチと視線を交わし、火花を散らす3人。
しかし、そんな彼らに冷や水を浴びせるように、みのりんが口を開く。
「あっ、じゃあ私は、ベイドさんとチーム組もっかな! その方が面白そうだし!」
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