幼女の、幼女による、幼女のための楽園(VRMMO)
地道な修行?
「さて、まずは……っと!」
目に見える範囲にモンスターがいないことを確認した後、みのりんは膝を曲げて力をため、一気に飛び上がる。
目標は、3メートルほどの高さにある枝だ。
今できる限界まで高めた機動力のおかげで、身長が150センチを切る、みのりんでも何とか手が届いた。
「よっ、ほっ、はっ、と!」
そのまま、木の幹も利用しつつ、手探りでよじ登る。
現実では木登りの経験などないため、何度か失敗して落っこちてしまったものの、最終的には地面から5メートルほどの高さの枝まで、たどり着いた。
「ここまでくれば、大丈夫かな? よし、次は……」
みのりんはキョロキョロと辺りを見回し、手頃な枝を探す。
そして、丁度よさげな枝を視線の先にいくつか見つけると、ホップ、ステップ、ジャンプのリズムに乗って、順番に飛び移っていった。
ここでも、周囲の暗さで目測を誤ったり、踏切の勢いが付きすぎたりして、何度か失敗を繰り返したが、徐々にコツをつかんでいく。
「ふぅ、こんなもんかなっ! 意外とやれば出来るじゃん、私!」
テンポ良く進んでいく特訓に満面の笑みを浮かべつつ、みのりんは次のステップに移るため、いったん地面に降りる。
そして、落ちている石の中から投げやすそうな物を選び、いくつかポケットに放り込んで再び木の上に登った。
「えーっと、近くにモンスターさんは……いないね。ちょっと移動して探さないとっ」
付け焼刃で会得した、まだ拙い動きで、枝から枝に飛び移って移動を開始する。
油断すると、すぐバランスを崩すものの、攻撃や回避など他の事に気を取られなければ、なんとか落ちることなく移動できるようになっていた。
「あっ見つけた! さてさて、どうなるかな~?」
既に夜の時間帯で周囲が暗くなっているせいもあり、発見した白い狼型のモンスターは、こちらに気付いていない。
しかし、【奈落の住人】の称号を持つ、みのりんには徘徊する白狼の毛並みまで、はっきりと見えていた。
「ふっふっふっ~。かくれんぼの始まりだよっ!」
小さな宣言と共に、小石を勢いよく白狼に投げつける、みのりん。
ところが、小石は当たることなく、白狼のそばに音を立てて落ちてしまう。
別にダメージを与えるのが目的ではないが、少しだけ、がっかりした、みのりんであった。
「むぅ……。あっ、それより早く隠れないと!」
白狼は飛んできた小石に警戒を示し、周囲を油断なく見渡して敵の存在を探っている。
素早く幹に隠れたことで見つからなかったようだが、木の上にいるからと言って油断は禁物らしい。
しばらく、そのまま息を殺して待機していると、白狼は索敵を諦めたのか、ゆっくりと移動を開始した。
「よし、このまま後をつけて、かくれんぼ続行!」
ちなみに、これは、ただ遊んでいるわけではなく、一応、訓練だ。
機動力に極限まで特化した今のステータスで行動するなら、たった一度でも攻撃を食らえば、即アウト、街に戻されてしまう。
となると、体の扱いに慣れ、スムーズな移動を身に着けるのは当然として、いざ敵に見つかった時に素早く隠れてやり過ごす技術も必要になる。
そこで、こうしてモンスター相手にかくれんぼを仕掛けることで、潜伏能力を高める練習をしようという狙いだ。
別に、友人たちが来られないから、モンスターを遊び相手にしている訳ではない。
多分、おそらく、きっと。
「ふぅ、さすがにモンスターさんが相手だと、緊張して結構、疲れるなぁ……って、あれ?」
白狼に対する嫌がらせ、もとい、かくれんぼを続けていると、ふいにウインドウが表示された。
ついでに、奈落を脱出した時にも聞いたファンファーレが脳内に響く。
『条件達成おめでとうございます! スキルを獲得しました!』
—————————————————————
獲得スキル
☆【不意射ち】消費MP1。
効果:敵に固定ダメージ1の必中攻撃。
(ただし、警戒状態の敵には使えない)
獲得条件:敵にダメージを与えた上で、
見つからずに警戒状態の解除を待つ。
これを同一の敵に10回、繰り返す。
—————————————————————
「よし、今度はスキルをゲット! これで、石を拾う手間が省けるよ!」
これもまた、みのりんの狙いのひとつだ。
図書館での調べものと、自身の経験により、みのりんは特殊なスキルや称号を手に入れるコツに気付いた。
それは、他のプレイヤーと異なる、オンリーワンなプレイスタイルを貫くこと。
もし、チュートリアルを素直に受けていたら。
もし、調子にのって穴を掘らなければ。
もし、【奈落の住人】を会得しなかったなら。
みのりんは、この条件に気付けなかっただろう。
「でも、スキルを手に入れたはいいけど、MPの心配が出てきたなー。うーん、まぁ、そこは後で考えよう」
MPの自然回復速度は初期状態の場合、1分で最大値の1%なので、MPが10しかいない今のみのりんだと、考えなしに多用する訳にはいかないのだ。
とはいえ、便利なスキルには違いなかった。
「さてと、そろそろ、かくれんぼも飽きてきたし、体の動かし方にも慣れてきたかな。というわけで、次は鬼ごっこだ!」
みのりんは身を隠すことを止めて高らかに宣言し、あえて白狼の近くに飛び降りて姿をさらす。
当然、敵に捕捉されて襲われるものの、機動力に物を言わせて強引に回避した。
「おっに、さっん、こっちら! 手の鳴る方へっ!」
白狼を挑発しつつ逃走を開始する、みのりん。
それを受けた白狼は忌々しそうに雄たけびを上げ、四足を素早く動かして追跡を開始する。
……それから、数時間後。
枝から枝への飛び移りも駆使しつつ、森中のモンスターたちと戯れた、みのりんの元に、またしても例のファンファーレとウインドウが姿を現したのだった。
—————————————————————
獲得スキル
☆【空中ジャンプ】消費MP10
効果:空中を足場にしてジャンプできる。
連続で使用する度に消費MPが倍になる。
獲得条件:地面に足を着かずに1km以上、
継続して移動する。
獲得称号
☆【韋駄天】
効果:機動力が1.5倍になり、
走っても敵に気付かれにくくなる。
獲得条件:5体以上の敵に警戒された状態で、
ダメージを受けずに移動し続ける。
(1時間以上)
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目に見える範囲にモンスターがいないことを確認した後、みのりんは膝を曲げて力をため、一気に飛び上がる。
目標は、3メートルほどの高さにある枝だ。
今できる限界まで高めた機動力のおかげで、身長が150センチを切る、みのりんでも何とか手が届いた。
「よっ、ほっ、はっ、と!」
そのまま、木の幹も利用しつつ、手探りでよじ登る。
現実では木登りの経験などないため、何度か失敗して落っこちてしまったものの、最終的には地面から5メートルほどの高さの枝まで、たどり着いた。
「ここまでくれば、大丈夫かな? よし、次は……」
みのりんはキョロキョロと辺りを見回し、手頃な枝を探す。
そして、丁度よさげな枝を視線の先にいくつか見つけると、ホップ、ステップ、ジャンプのリズムに乗って、順番に飛び移っていった。
ここでも、周囲の暗さで目測を誤ったり、踏切の勢いが付きすぎたりして、何度か失敗を繰り返したが、徐々にコツをつかんでいく。
「ふぅ、こんなもんかなっ! 意外とやれば出来るじゃん、私!」
テンポ良く進んでいく特訓に満面の笑みを浮かべつつ、みのりんは次のステップに移るため、いったん地面に降りる。
そして、落ちている石の中から投げやすそうな物を選び、いくつかポケットに放り込んで再び木の上に登った。
「えーっと、近くにモンスターさんは……いないね。ちょっと移動して探さないとっ」
付け焼刃で会得した、まだ拙い動きで、枝から枝に飛び移って移動を開始する。
油断すると、すぐバランスを崩すものの、攻撃や回避など他の事に気を取られなければ、なんとか落ちることなく移動できるようになっていた。
「あっ見つけた! さてさて、どうなるかな~?」
既に夜の時間帯で周囲が暗くなっているせいもあり、発見した白い狼型のモンスターは、こちらに気付いていない。
しかし、【奈落の住人】の称号を持つ、みのりんには徘徊する白狼の毛並みまで、はっきりと見えていた。
「ふっふっふっ~。かくれんぼの始まりだよっ!」
小さな宣言と共に、小石を勢いよく白狼に投げつける、みのりん。
ところが、小石は当たることなく、白狼のそばに音を立てて落ちてしまう。
別にダメージを与えるのが目的ではないが、少しだけ、がっかりした、みのりんであった。
「むぅ……。あっ、それより早く隠れないと!」
白狼は飛んできた小石に警戒を示し、周囲を油断なく見渡して敵の存在を探っている。
素早く幹に隠れたことで見つからなかったようだが、木の上にいるからと言って油断は禁物らしい。
しばらく、そのまま息を殺して待機していると、白狼は索敵を諦めたのか、ゆっくりと移動を開始した。
「よし、このまま後をつけて、かくれんぼ続行!」
ちなみに、これは、ただ遊んでいるわけではなく、一応、訓練だ。
機動力に極限まで特化した今のステータスで行動するなら、たった一度でも攻撃を食らえば、即アウト、街に戻されてしまう。
となると、体の扱いに慣れ、スムーズな移動を身に着けるのは当然として、いざ敵に見つかった時に素早く隠れてやり過ごす技術も必要になる。
そこで、こうしてモンスター相手にかくれんぼを仕掛けることで、潜伏能力を高める練習をしようという狙いだ。
別に、友人たちが来られないから、モンスターを遊び相手にしている訳ではない。
多分、おそらく、きっと。
「ふぅ、さすがにモンスターさんが相手だと、緊張して結構、疲れるなぁ……って、あれ?」
白狼に対する嫌がらせ、もとい、かくれんぼを続けていると、ふいにウインドウが表示された。
ついでに、奈落を脱出した時にも聞いたファンファーレが脳内に響く。
『条件達成おめでとうございます! スキルを獲得しました!』
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獲得スキル
☆【不意射ち】消費MP1。
効果:敵に固定ダメージ1の必中攻撃。
(ただし、警戒状態の敵には使えない)
獲得条件:敵にダメージを与えた上で、
見つからずに警戒状態の解除を待つ。
これを同一の敵に10回、繰り返す。
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「よし、今度はスキルをゲット! これで、石を拾う手間が省けるよ!」
これもまた、みのりんの狙いのひとつだ。
図書館での調べものと、自身の経験により、みのりんは特殊なスキルや称号を手に入れるコツに気付いた。
それは、他のプレイヤーと異なる、オンリーワンなプレイスタイルを貫くこと。
もし、チュートリアルを素直に受けていたら。
もし、調子にのって穴を掘らなければ。
もし、【奈落の住人】を会得しなかったなら。
みのりんは、この条件に気付けなかっただろう。
「でも、スキルを手に入れたはいいけど、MPの心配が出てきたなー。うーん、まぁ、そこは後で考えよう」
MPの自然回復速度は初期状態の場合、1分で最大値の1%なので、MPが10しかいない今のみのりんだと、考えなしに多用する訳にはいかないのだ。
とはいえ、便利なスキルには違いなかった。
「さてと、そろそろ、かくれんぼも飽きてきたし、体の動かし方にも慣れてきたかな。というわけで、次は鬼ごっこだ!」
みのりんは身を隠すことを止めて高らかに宣言し、あえて白狼の近くに飛び降りて姿をさらす。
当然、敵に捕捉されて襲われるものの、機動力に物を言わせて強引に回避した。
「おっに、さっん、こっちら! 手の鳴る方へっ!」
白狼を挑発しつつ逃走を開始する、みのりん。
それを受けた白狼は忌々しそうに雄たけびを上げ、四足を素早く動かして追跡を開始する。
……それから、数時間後。
枝から枝への飛び移りも駆使しつつ、森中のモンスターたちと戯れた、みのりんの元に、またしても例のファンファーレとウインドウが姿を現したのだった。
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獲得スキル
☆【空中ジャンプ】消費MP10
効果:空中を足場にしてジャンプできる。
連続で使用する度に消費MPが倍になる。
獲得条件:地面に足を着かずに1km以上、
継続して移動する。
獲得称号
☆【韋駄天】
効果:機動力が1.5倍になり、
走っても敵に気付かれにくくなる。
獲得条件:5体以上の敵に警戒された状態で、
ダメージを受けずに移動し続ける。
(1時間以上)
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